【令和6年3月16日(土)】
結論から書くと、今日は組曲「六つの子守歌」から①「風の子守歌」②「空と海の子守歌」③「いつもの子守歌」④「思い出の子守歌」の4曲を歌い通しました。かなり乱暴なスピード音取りではありましたが、それでも全員が全部のパートを歌っての話ですから、そのスピードによくぞついてきてくれたと思います。
あっぱれあっぱれ!! ですね。
9時25分くらいから、「六つの子守歌」にするか「夜明けのイソップ物語」にするか、それともアカペラの「三つのわらべうた」を歌うか、はたまた二部合唱の「空にかいた12の童話」を練習するか、迷いに迷っていました。
なぜかというと、どの曲を練習するのかは集まったメンバーの顔ぶれと人数で決まるからです。もしも集まったメンバーが3~4人くらいなら、迷うことなく「空にかいた12の童話」をやります。だって二部合唱だから無理なく歌えるし、音楽に元気があって取り組みやすいからね。
はい、8人。おっ、9人になった。おおぅ12人になった…。おはよう、また入ってきたぞ。
そしてそのメンバーの顔ぶれを見ると…。
そりゃぁ「空にかいた12の童話」なら楽しくハモって遊びみたいな感覚でハーモニーが作れるに決まっとるわさ。だけどなぁ、一見とっつきにくそうな曲も、歌い込んでいくと味わいがあるからなぁ。そのように歌い込むためには「最初の苦しさ」「取りつきにくさ」は克服する必要があるし…。
いろいろなことを考えて、結論は「いつもの子守歌」を中心としたハーモニー作りに取り組むのが最も効率が良いと考えました。今日一日だけの「効率の良さ」ではなく、今後の半年間を見据えての今日、であります。
「いつもの子守歌」は「おさかなの子守歌」「眠っちゃいけない子守歌」と並んで詩の読み取りがムズカシイことは確かです。
大人向きの曲かな…と考える人がいても不思議ではありません。
しかし、嶋田先生は大人にしか分からなくて子どもには分からない曲などというものは存在しないと思います。4年生の教科書に載ってる「ごんぎつね」も2年生の教科書に載ってる「アレクサンダとぜんまいねずみ」にしても、大人が読んでも楽しいし味わい深い。それと同じように高校生の国語の教科書に載ってる「山月記」を小学生が読んだって絶対に分かります。分かりますし面白い。
小学生が「山月記」の面白さを分からないとしたら、それは先生の教え方が悪いのです。小学生の頭が悪いからではない。
それと同じように「いつもの子守歌」が小学生に歌えないとしたら、それは指揮者の教え方が悪いのだと思う。思うし信じています。
誰もいない空に
眠れない鳥が一羽おりました
誰もいない空に
風が吹きます
誰もいない海に
眠れない貝が一つおりました
誰もいない海に
波が寄せます
誰もいない山に
眠れない熊が一頭おりました
誰もいない空に
雨が降ります
誰もいない街に
眠れない子供が一人おりました
誰もいない街に
夜が更けます
いつもいつもいつも
誰もいないどこかに
眠れない誰かがおりました
いつもいつもいつも
誰もいないどこかに
眠れない誰かがおりました
12月16日のソラノートも参照してください。詩は、誰もいない海、誰もいない山、誰もいない街、と歌い、それぞれに貝、熊、子供がいて、それぞれに波が寄せ、雨が降り、夜が更ける、と続きます。
これを、本物の「鳥」「貝」「熊」「子供」をイメージしてちゃダメですよ…と説明しました。
ピアノの前奏からして非常に乾いた冷たい印象の音が響きます。
この響きを「誰もいない真夜中の病院の廊下」をイメージしてください…とも言いました。
うす暗い電気の光だけが廊下を照らす真夜中の病院。なんだかオバケが出てきそうですが、そうではないのです。誰もいないように見えますが、そこには真夜中にもみんなのために働くお医者さんがいるのです。
いつ急病人が運ばれてくるかも分からない、いつ緊急手術が必要な患者さんが救急車で運ばれてくるか分からない、だからお医者さんたちは(もちろん代わりばんこですが)真夜中でも眠らないで働き続けてくれているわけです。
そこに「風が吹きます」と詩は歌うのです。
「風」とは何でしょう。「思いやり」であり「愛」ですよね。
病院だけではありません。警察、消防署、そして原子力発電所の職員さんたち。世の中には、ほとんどの人たちが寝静まった夜の夜中に、脈々と動き続けていてくれる人たちがいるのです。
そのような「存在」に私たちは「支えられて」います。そのことに気付いていますか? と別役実さんは問いかけているわけです。
誰もが眠っている真夜中の病院に
眠らずに働くお医者さんがおりました
静まりかえった病院に
風が吹きます
誰もいない交番に
眠らずに働くおまわりさんがおりました
誰もいない交番に
平和が寄せます
みんなが眠っている原子力発電所に
ずっと起きている職員さんがおりました
職員さんのおかげで
安心安全な生活ができます
みんなが眠っている消防署に
ずっと起きている消防士さんがおりました
消防士さんのおかげで
みんな安心して眠ることができます
いつもいつもいつも
誰もいないどこかに
眠らずに社会を支える誰かがおりました
いつもいつもいつも
誰もいないどこかに
みんなのために働く誰かがおりました
この前後に「風の子守歌」「空と海の子守歌」「思い出の子守歌」をザッと通して歌いました。今日は子守歌づくしで大変だったかもしれませんが、「いつもの子守歌」を通して歌えたのは大きい。
がんばってくれたメンバーに大感謝です。
Comments are closed.