SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「あこがれ」

【令和6年3月9日(土)】
 今日は受験メンバーが戻ってきてくれて、全員「目標達成」とのこと。何よりも嬉しいことです。これからは「空」にとって本当の春です。

 父母会の皆さんにもお願いしたいのですが(もちろんメンバーも)、「池辺晋一郎」という人のことをドンドン調べてみてください。
 去年一昨年と「新実徳英先生の名前を教科書で見つけました!今、うちの子が使っている教科書の校閲です!すごい人なんだぁ」なんていうLINEが入っていました。
 来てくださる作曲家のことについて「その音楽だけにしか興味がない」なんて言ってちゃダメですよ。
 今年の9月に81才になられます。日本の作曲界の重鎮中の重鎮。最高峰の作曲家。そんな人がなぜ「空」ごときの子どもの相手をしてくれるのか…。それはそれは、話せば長くなるんだからね。
 
 さて、その池辺先生の音楽を作り上げるために、目標叶った受験生の復帰は心強い。取り上げた曲は「空があるよ」と「寝床」。これはすぐに歌い切ることができました。
 次は「ひらいたひらいた」です。以前にも書きましたが、小学1年生の教科書に載っている唱歌で、単純きわまりないメロディー。その単純なメロディーを使って、これほど多様な響きを生み出すアレンジ(編曲)を作り上げる手腕はまさに魔術師です。
 メロディーが少しずつ変化していき、しかもそのメロディーを受け持つパートも変化して、音取りは一筋縄ではいきません。久しぶりに来て初めて歌った受験メンバーもビックリしたのではないでしょうか。
 しかし、その一筋縄ではいかない練習を支えたのは、これまで地道に練習を積み上げて待っていてくれたメンバーの力です。たったの1時間で「ひらいたひらいた」を最後まで歌い通すことができました。それも全員が全部のパートを歌ってみた上でのハーモニーですからね。ソプラノは音楽室で、アルトは保健室に行って音取りしてきてくださいなんていう方法とは次元がちがう方法です。
 池辺先生独特のハーモニーと日本に古来から伝わる和声と、それを音取りしながら理解するためには、自分のパートしか練習しないなんていう方法はお話になりません。今日もきわめて効率の良い練習を積み上げることができたと思います。

 後半は「あこがれ」。この「空にかいた12の童話」の12曲目にだけ「もし、」がついていない理由を説明しました。
 本当は1~11曲目までを全部歌った後で説明するべき話なのですが、それをやっていては3ヶ月かかってしまいます。だからあえて最初に話をしました。これまでにもソラノートに書きましたから繰り返しません。
 でも少なくとも、池辺先生が
「どうして「あこがれ」にだけ「もし、」がついていないのでしょう?」
なんてクイズを出されたりしたら、全員がパッと手を上げてほしいものです。そうできる合唱団にならなくてはいけません。
 「あこがれ」も音取りは30分もかかりませんでした。
 でも、今書いたとおり、「あこがれ」ほど歌っているメンバーのイメージが膨らんでいないとカラッポになってしまう音楽はありません。シューベルトもベートーヴェンも歌ってきた嶋田先生ですが、正しい音程で美しいハーモニーを作って歌詞を正確に歌えば完全に100点という音楽はあります。あって良いし無くてはならない。そういう音楽は必要です。
 その逆に、歌っているメンバーのイメージが、正しい音程よりも美しいハーモニーよりも正確な歌詞の発音よりも、何よりも優先される音楽も確かに存在する。「白いうた青いうた」はその典型ですし湯山先生の多くの楽曲もしかり。
 ですが、その経験を踏まえても、「あこがれ」以上にイメージが必要な曲を嶋田先生は知りません。
 音取り自体は30分で終わりましたが、本当の勝負はこれからです♪

 残りの時間は「もし、物語の主人公のともだちになれたら」を歌いましたが、この曲も最初から最後まで全部のパートを歌ってから歌い通してしまったことを報告しておきます。

 今日も、みなさんの努力と集中力に感謝でした。

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