SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


みんなで助け合ってゆくもの

【令和5年12月16日(土)】
 集まったメンバーに聞いて、今日は「一匁一丁」を歌うことにしました。「三つのわらべうた」の中で「一度も歌ったことがない」という子が一番多かったからです。もっとも「一匁一丁」を歌ったのは今までに1回だけで、しかも11月11日と18日の2回に分けて半分ずつ音取りをしました。むずかしい曲ですからね。
 結論を書きますと、その2回に分けて音取りをした曲を、今日は10時40分までの1時間10分で最後まで歌い通すことができました。
 つまり、11月に歌った時は正真正銘「全員が初見」「全員が初体験」だったわけですけれども、今日は半分以上が「1回経験している」メンバーだったのです。その経験者がいることによって、嶋田先生の指示が理解されやすく、全員が初見である時と比べて何倍も効率よく歌い進むことができたというわけですね。
 いつの日かは分かりませんが、今度3回目の「一匁一丁」を歌う時には、また何人かの初体験メンバーがいるでしょうけれども、経験したメンバーも今日よりもさらに増えているわけで、だから今日よりももっと効率的に練習が進むことでしょう。
 合唱というものは、このようにして「みんなで助け合ってゆくもの」なのです。

 後半は、「六つの子守歌」から「いつもの子守歌」を選びました。なぜかと言うと、「いつもの子守歌」はまだ一度も歌ったことがないからです。文字通り「全員が初見」「全員が初体験」の曲ですね。アハハ…♪
 それでもねぇ、12時までの1時間で全員が全部のパートを歌ってからハーモニーを作って最後まで歌い通しましたからねぇ。
 「一匁一丁」も初体験だったメンバーは2曲とも初めてだったわけで、それはそれは大変に苦しい練習になったことでしょう。ごめんなさいね。でも、今日の君たちの「苦労」は次に練習する時に「大きな力」になります。だから、がんばってくれたメンバーに感謝の念が絶えません。ありがとう。

 今年は、最初から嶋田先生が持っている財産を全て出し尽くします。同じことを何度も繰り返すかもしれませんが、「この話は半年後にとっておこう」などということはしない。
 毎回の練習で嶋田先生が持っている「池辺芸術の知識」と「表現方法」を全部投入していこうと思っています。
 で、次のように語りました。詩の一部を記します。

 誰もいない空に
 眠れない鳥が一羽おりました
 誰もいない空に
 風が吹きます

 詩はこのように、誰もいない海、誰もいない山、誰もいない街、と続き、それぞれに貝、熊、子供がいて、それぞれに波が寄せ、雨が降り、夜が更ける、と続きます。
 これを、本物の「鳥」「貝」「熊」「子供」をイメージしてちゃダメですよ…と説明しました。
 ピアノの前奏からして非常に乾いた冷たい印象の音が響きます。
 この響きを「誰もいない真夜中の病院の廊下」をイメージしてください…とも言いました。
 うす暗い電気の光だけが廊下を照らす真夜中の病院。なんだかオバケが出てきそうですが、そうではないのです。誰もいないように見えますが、そこには真夜中にもみんなのために働くお医者さんがいるのです。
 いつ急病人が運ばれてくるかも分からない、いつ緊急手術が必要な患者さんが救急車で運ばれてくるか分からない、だからお医者さんたちは(もちろん代わりばんこですが)真夜中でも眠らないで働き続けてくれているわけです。
 そこに「風が吹きます」と詩は歌うのです。

 病院だけではありません。警察、消防署、そして原子力発電所の職員さんたち。世の中には、ほとんどの人たちが寝静まった夜の夜中に、脈々と動き続けていてくれる人たちがいるのです。
 そのような「存在」に私たちは「支えられて」います。そのことに気付いていますか? と別役実さんは問いかけているわけです。

 今日は言いませんでしたが(何しろ歌い終わったのが12時ジャストでした)、だからこの「いつもの子守歌」は、ものすごく温かくて優しくて思いやりのある明るい声で歌う必要があります。
 この曲の歌い出しを、そんな温かくて優しくて思いやりのある明るい声で歌えたら、池辺先生は絶対に指揮を止めて「みなさん、良いですよ」とホメてくださることでしょう。
 これは絶対に間違いありません。
 その日を待ち遠しく、楽しみにしている嶋田先生です。

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