SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


全員で走るリレー

【令和3年6月19日(土)】
今日は「クロマティックチューナーのグリーンランプを5秒点けたらランチ10回」という約束を果たすためのチャレンジタイム1回目をやろうと思っていました(当然2回目をやります)。
先週・先々週に書いたように、440hzの音を5秒続けるなんてことは人間技(にんげんわざ)ではない。鍵盤ハーモニカで試してみてもグリーンランプと赤ランプが両方とも点く。リコーダーで試してもグリーンと赤がパカパカ点く。ただひとつ電子ピアノSA-46だけが安定してグリーンランプを点けます。
手始めに今日も嶋田先生が思い切り本気になってチャレンジしましたがグリーンと赤がパカパカ。で、今度7月16日にリサイタルを開くという恒川先生にもチャレンジしてもらったけれどもグリーンと赤がパカパカ。
だから言ったじゃないのさ。肉でできた人間には不可能だって。
なに?鍵盤ハーモニカとリコーダーは人間じゃないだろうって?
良いところに気が付きましたねぇ。鍵盤ハーモニカとリコーダーは人間じゃない。まぁマシーンの一種と分類できますね。
でもさぁ、そのマシーンの一種である鍵盤ハーモニカとリコーダーを誰が吹いてると思ってるのかね?肉でできた嶋田先生が吹いたわけだよね。
電気掃除機の反対の機械を作って、つまり空気を吸い込むんじゃなくて空気を吐き出す機械を作って、その空気を吐き出す量を完全に正確にコントロールして鍵盤ハーモニカやリコーダーにつなげば、たぶんグリーンランプだけです。人間の身体から吐き出される空気で音を作る以上、鍵盤ハーモニカそのものやリコーダーそのものはマシーンかもしれないけれど、人間の息ではダメです。
だけれども、合唱団「空」のメンバーならグリーンランプ5秒ができるかもしれない。何しろ子どもっていうのは本気になったら恐ろしい力を発揮しますからねぇ。よくテレビに出てるじゃないですか。東京から大阪までの東海道線の駅の名前を順番通りに全部言える小学生とか、明治時代から現在までに発売された自動車の名前を全部知ってる子とか、世界中の国旗を全部知っていて旗を見れば国の名前を言える中学生とか。
だから「空」のメンバーならヒョッとして5秒できる子がいても不思議じゃぁない(笑)。

結果はどうなったかというと全員グリーンと赤がパカパカ。でした。
残念でしたって?
そうじゃないんだよね。
だって全員が「グリーンと赤がパカパカ」だったんですよ。これは大成功のスペシャルGoodです。
どういうことかって?
本気になった恒川先生や嶋田先生と同じレベルだったんですよ。全員が。
嶋田先生が吹いているとは言え、鍵盤ハーモニカやリコーダーと同じレベルだったんですよ。全員が。
こいつぁスゴイことです。良かったヨカッタ。すばらしい。

なに?「グリーンと赤がパカパカ」くらいアホでもできるって?
ジョーダンじゃないですよ。SA-46で出した音を聴いて恒川先生も嶋田先生もメンバーも声を出したんですけれども、その音から半音ズレていたらグリーンランプは点きません。
つまりメンバー全員がSA-46で出した音(グリーンランプが点く音)を捉えていて、その音を中心にフラフラしていたってことです。「その音を中心にフラフラ」は恒川先生も嶋田先生もプロだってフラフラするんですから気にしなくても良い。大切なことは「グリーンランプが点いた」ってことなんです。自信を持って良いです。

自信を持って良いですけれども努力は忘れないでください。先週も書きましたが、限りなくSA-46に近づこうとすること。グリーンランプが長く点くように限りなく努力することを…です。
そのためには「音を聴く」ということ。「聞く」じゃダメですよ。「聴く」ことが大切です。

※聞く → 何をしなくても聞こえてくるまわりの音を耳が感じること
※聴く → ねらった音だけを集中して耳で感じて脳ミソで捉えること

さて、そこまで実験しておいて曲集「われもこう」から2曲目の「忘れ雪」を歌いました。メロディーだけではなく、全部のパートを最初から最後まで全員で歌いました。
これも毎回書いていますが、今は「力を高めて貯金しておく」シーズンなんです。「力」もないのにいくら表現の練習をしても時間のムダです。分かりやすく書くと
◯楽譜(音符の動き)をよく見る。目で捉える。
◯鍵盤ハーモニカや先生の声をよく聴く。耳で捉える。
◯目と耳で捉えた音を自分の声として出して歌ってみる。
◯自分が出した声がグリーンランプに近づくように努力する。
こういうことに力を使うんです。
●楽譜がただ見えているだけ
●先生や鍵盤ハーモニカの音が聞こえて(聴こえて ではなく)いるだけ
●自分の声を出しているだけ(グリーンランプに近づこうとしないで)
だったら、ものすごく時間がかかります。
時間がかかると言うよりも10000回練習したって全くムダです。世の中にはそのような「練習しているつもりになっているだけのムダな練習」というものがいっぱいあるんです。勉強だって同じですよ。

上の◯4つに力を注ぐとどんなに効率が良いか。それを今日も先週も先々週も、みんなが証明してくれています。
 パートも決まっていないのに
 並んでいる場所によって決められたABCのグループで
 1回か2回お手本を聴いただけで
そうやって歌ってもソコソコのハーモニーができるじゃないですか。今日も「忘れ雪」でそれができました。なにしろ今までメロディーを歌ったことはあるけれど、全部のパートを歌ってハーモニーを作るってことは今日初めてやったことなんですからね。

6月いっぱいはこの「力を高めて貯金しておく」シーズンを続けましょう。7月にはパートを決めて表現の練習に入ります。8月22日に新実徳英先生をお迎えするのですからギリギリのタイミングです。
力を貸してください。あなたの力が「空」には必要なんです。
よろしくお願いいたします。


合唱というゲームは全員で走るリレーのようなものです。

高校生・大学生は100mを12秒で走れると思ってください。
中学生は100mを13秒で走れると思いましょう。
小学生高学年は100mを14秒で走れます。
小学生低学年は100mを15秒で走れると思ってください。
みんな「音をよく聴く」という力が高まってきたら…

高校生・大学生は11.9秒に
中学生は12.9秒に
高学年は13.9秒に
低学年は14.9秒に
なれることを目指すのです。それが練習です。
そうやって10人でリレーしたら全員で0.1秒×10人だから1秒早くなります。
だれか1人でも1秒遅く走ったら残りの9人の0.1秒が生きません。
みんなが0.1秒ずつ速くなるように努力する。それが合唱の面白さであり素晴らしいところです。

小学生が高校生より速く走る必要はありません。小学生も大学生も考えることはただ一つ。「自分が0.1秒速くなること」です。

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