SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


レベル の話

【令和3年6月26日(土)】
中学校・高校ではテスト直前(もう終わった学校もある)ということもあって、嶋田先生のガラケーには「欠席します」というメールが5件ほど入っていました。総務の方には嶋田ガラケーでは受信できない連絡も含めてもっと多くのメールが入っていたとのこと。「体調不良」や「転校してしまう友達とのお別れ会」「急に入った習いごと」などだそうです。
みんなが知らない時代、ずっと以前の「空」では考えられないことです。みんなキチンと「欠席します」と連絡を入れてくれる。素晴らしいことですね。欠席をすることは少しも恥ずかしいことではありません。「空」の連絡と共通理解は素晴らしいことだと思います。

さて、それならばこういう練習をしよう…とスグに思いつきました。それは「音と音との関連(つながり)」です。
ピアノの近くに集まってもらって発声練習。
ドードレーレミーミファーファソーソラーラシーシドー
ドードシーシラーラソーソファーファミーミレーレドー
これを全員でやって、その後は一人ずつやってもらいました。全員ができました。

これで【レベル1】から【レベル2】までは自動的に全員が合格のクリアです。

合唱を楽しもうと思ったらクリアしなければならないレベルがたくさんあります。「音と音との関連」に関わるレベルを並べるとこうなります。

【レベル1】声を前に向かって響かせてミミクリーペットを歌わせる
【レベル2】ピアノや鍵盤ハーモニカで出した音を正しく出す
ここまでは今日の発声練習で全員クリアです。問題はその先です。

【レベル3】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「ミ」を声で出す
【レベル4】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「ソ」を声で出す
ここまでは今日のメンバーは全員クリアできました。

【レベル5】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「ファ」を声で出す
これはカンタンそうに思えるけど実はカンタンではありません。今日来たベテランメンバーもかなり真剣に聴かないと危ないアブナイ(笑)。
さらに先に何があるかというと
【レベル6】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「ラ」を声で出す
【レベル7】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「シ」を声で出す
そして
【レベル8】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「♯ファ」を声で出す
これは東海メールクワイアーのオジサンたちでもカンタンではありません。
さらに
【レベル9】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「♭シ」を声で出す
ここまで自由自在にできたら、あんたはプロの合唱団に入れますよ(笑)。
今の「空」は、だいたい【レベル6】まではできるようになっています。定期演奏会で歌った「鮎の歌」や「コタンの歌」なら【レベル6】の力があれば十分に歌えます。

今日、小学校3年生のメンバーに「ドの音を聴いてミの音が分からなければ合唱なんかできるはずがないよねぇ?」と聞いてみましたが、みんな「うん。できるはずがない」と答えてくれました。そうなんです。できるはずがありません。
だから、そのような「耳を鍛える」ことが大切なのです。
ベテランメンバーは【レベル6】ならOKでしょうけれども、そこで満足しないでくださいね。【レベル7】はそうカンタンではありませんよ。
また時間を作って「基礎基本」を大切にした練習をしていきましょう。

付け足しておきますが、これは「音と音との関連」に関わるレベルの話です。つまり耳のレベル。
もう一つ別の話として「声の響き」のレベルがあります。つまり声のレベル。蚊が鳴いているような声を【レベル1】だとすると、ピアノがキーンと共鳴するような声は【レベル5】くらいかな。【レベル9】ならプロ歌手のレベルです。
こちらの話も来週、フェールマミのグランドピアノを使ってレベルアップしていきましょう。

ついでにもう一つベテランメンバーのために書いておきますが、今日やった「音の関連」の【レベル2】ピアノや鍵盤ハーモニカで出した音を正しく声にする ですが、これは全員クリアなんですけれども、やはり細かいレベルがあるということです。ベテランメンバーはこれを分かってください。
つまり、一口に【レベル2】ピアノや鍵盤ハーモニカで出した音を正しく出すと言っても、その出した声をクロマティックチューナーで測ったらどうなるか…というレベルです。できるだけグリーンランプに近い音で…となると相当に真剣にならなくてはなりません。
それが【レベル3】ピアノで「ド」を出すからそれを聴いて「ミ」を声で出す をクロマティックチューナーで測られるなんてことになったら、こりゃガンガンの真剣モードです。

今、嶋田先生はできるだけチャランポランタンのムードで(わざと意識してそうしてます)音や声の話をしていますが、みんなも楽しくチャランポランタンムードで歌ってくれれば良いのですけれども、頭の中では時々で良いですからクロマティックチューナーモードで冷静かつ真剣に声を出してくださいね。お願いしますよ。

今日はもう少し書いておきたいことがあるので、先に曲の報告をしておきます。
今日はバースデーメンバーがいたので、リクエストによって「ともだち讃歌」を歌いました。「歌はともだち」のP120です。
続いて「ぼくは雲雀」の中から「ちいさな法螺」と「やさしい魚」の中から「鳥が」のメロディーを歌いました。曲の感じはゼンゼン違いますが、どちらもとても楽しくて美しいメロディーです。早くメロディーをとらえてくださいね。
新実先生の音楽は(湯山先生も大中先生もみんな同じですが新実先生は特に)メロディーラインが重要です。ハーモニーに回るパートになっても、いつでもどこでもメロディーにチェンジすることができなくてはなりません。これは作曲家の個性であり芸術性です。理解してください。
メロディーラインだけだったら、ホームページの団員専用エリアで「ちいさな法螺」も「鳥が」も聴くことができます。3~4回聴くだけで90%以上メロディーラインをつかむことができるはずです。チャレンジしてみてください。

さて、なぜ今日は「レベル」の話になってソラノートで詳しく分析し説明したか、補足して書いておきます。
なぜかと言うと、それは嶋田先生が音楽大学の教授ではなく、ただの担任の先生だったから…なんです。
クラスの中には漢字が苦手な子もいれば計算が苦手な子もいるし鉄棒が苦手な子もいます。
話を分かりやすくするために「計算が苦手な子」を例にとります。

たとえば
◯一郎君は今日10円かせぎました。次郎君は今日8円かせぎました。三郎君は今日35円かせぎました。かせいだお金を15日分合わせて3人で山分けすることにしました。さて1人いくらもらえるでしょう。
このような問題があったとします。

まずクリアしなくてはならないのは
(10+8+35)×15÷3= 答え
という式が立てられるか…という話です。この式が立てられなくてウンウンと唸っている6年生がいたらどうするでしょう。高校生ならどんなヒントをあげますか?
「根性で考えろ!」と言ってムチでピシピシ、なぁ~んてやってもダメです。根性論で解決する問題ではありません。

嶋田先生はそのような時、「自分で好きなように、数字をメチャメチャカンタンな数字に置き換えて考えろ」とヒントを出しました。問題の数字をカンタンにするとこうなります。
◯一郎君は今日1円かせぎました。次郎君は今日1円かせぎました。三郎君は今日1円かせぎました。かせいだお金を2日分合わせて3人で山分けすることにしました。さて1人いくらもらえるでしょう。
そしたら、よっぽどの子でないかぎり、生活経験の中から「3人足して3円、2日分で6円。それを3人で分けたら1人は2円もらえる」と答えることができます。すると式は
(1+1+1)×2÷3=2
ということが分かります。

次に置き換えた数字を元に戻すのです。10円を1円にした。15日を2日にした。それを元に戻すから…
(10+8+35)×15÷3= 答え という式になるのか。

式ができたら、
【レベル1】10+8 10の足し算 たぶん1年生の2学期
【レベル2】18+35 繰り上がりの足し算 たぶん2年生
【レベル3】43×15 2ケタの掛け算 たぶん4年生
【レベル4】645÷3 3ケタの割り算 たぶん5年生

この、どこのレベルの計算ができないのか、それを探すのです。足し算のレベルか、掛け算のレベルか、はたまた割り算のレベルか。
もし【レベル3】でつまづいていることが分かったら、43×10とか43×5ならできるかどうか調べれば良い。
もし43×10でつまづいていることが分かったら、4×10とか3×10ならできるかどうか調べれば良い。

すみません。小学校2年生とか3年生のメンバーの保護者様、このあたりのことは上手く説明してあげてくださいませ。
肝心なことは「智恵の輪」みたいにコンガラガッテいる【式を立てるレベル】と【レベル1】から【レベル4】までを、いっぺんに考えるのではなく、どんなレベルでつまづいているかを探る努力をする…と言うことです。根性論でガッツで考えたって涙が出てくるだけです。
泣いている子に「なんで分からんのだオミャーは」なんて怒っている親や教師がいたとしたら、その人は「子どもがどこでつまづいているのかを分析してあげられない自分」にこそ怒りをぶつけるべきです。

で、式の立て方さえ分かれば、
◯アメリカは1日でワクチンを1億2000万回分生産しました。日本は1日でワクチンを9,000万回分生産しました。イギリスは1日でワクチンを8500万回分生産しました。この3ヵ国で生産したワクチンを30日分合わせて、発展途上国の8ヵ国に分配することにしました。さて発展途上国1ヵ国は、何回分のワクチンを受け取ることができるでしょう。
なんて話も
(120000000+90000000+85000000)×30÷8
として計算できるようになります。

わぁ~お、また教育論になっちゃった。ごめんなさぁ~い。
でもさぁ、ここまで根性で(笑)読んでくれたメンバーは、この算数の話を「合唱の話」に置き換えてみてください。(120000000+90000000+85000000)×30÷8をハーモニーに置き換えたら、すごい響きになることでしょうね。
願いはただひとつ。楽しい合唱をするためにはどうすれば良いか…という願いがあるだけです。とっぴんぱらりの ぷう。

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