SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


前日の一発勝負

【令和3年3月27日(土)】
今日は「うたにつばさがあれば」を歌いました。久し振りに歌いましたが本当に良い歌ですね。大中先生に大感謝です。
終結部分の「あの子に伝えたい」「お空に飛ばしたい」は音程に注意しましょう。これは今日始まったことではなく、この曲を歌う時には注意しなくてはならない部分です。
大中先生は子どものための音楽が得意だったと、多くの人が錯覚(さっかく)していますが、実は「サッちゃん」も「おなかがへるうた」も大人の、それもプロ歌手が歌うことを想定して作曲されたものです。当時の「歌のおばさん」というラジオ番組で、真理ヨシコさんなどが歌っていました。
大中先生は音楽に対してはとてもキビシイ方だったので、これらの曲も妥協なく作られています。「サッちゃん」の終結部分「おかしいな」「かわいそうね」「さびしいな」を正確な音程で決めることはとても大変です。
だから「うたにつばさがあれば」にも集中して取り組みましょう。
次に「あめふりくまのこ」「地球はひまわり」「歌の広場」「おはよう太陽」を歌いました。もちろん4月4日の本番プログラムだからですが、5月4日のイオン熱田コンサートでも歌うことにします。1ヶ月、4回の練習で全く違う曲を歌えるようにするのは大変ですし、何よりも音楽そのものに「力」があり、聴くつもりがなく歩いている人(買い物客)の足を止めさせる力があると思うからです。
「うたにつばさがあれば」も「あめふりくまのこ」「地球はひまわり」「歌の広場」「おはよう太陽」も、とにかくメロディーを美しく歌うように注意をしました。ハーモニーを作る前に、メロディーが美しくなかったら話になりません。
それとね、今日は言いませんでしたが、自分の歌い方、自分の声。これを自分で聴いていて、自分で「カッコイイ」「美しい」「キレイだなぁ」と思いますか?
ウィーンフィルやベルリンフィルのメンバーに質問すると、ヴァイオリン奏者もフルート奏者もクラリネット奏者も、全ての楽器の奏者が「最も大切なことは美しい音を出すことだ」と言います。そしてそのポイントは「自分で自分が出す音を美しいと思えるまで磨き上げるのだ」とも言います。指揮者の岩城宏之さんの本に書いてあります。
これ、嶋田先生にも覚えがあります。
先生が初めてベートーヴェンの交響曲第9番を聴いたのは中学1年生の時でした。レコード(CD)ではなく、音楽プラザの隣の市民会館で名古屋フィルハーモニーでした。そこで有名な「よろこびの歌」のメロディーを聴いたのですが、バリトン独唱で歌われる「よろこびの歌」のメロディーを自分でもマネして歌っていました。もちろん家へ帰ってから、お風呂や便所の中でです。
ついでに少し後に歌われるテノール独唱のメロディーにも惹かれました。「フロー、フロー」とお風呂の中で歌っていました(ドイツ語で「フロー」とは「よろこび」という意味です)。
そんなことをいろいろな歌で1年2年と続けているうちに、どうやら自分は低い声よりも高い声の方が向いているのではないか…と気が付いていった。つまり自分で「オレはバリトンもバスも向いていない。オレはテノールなのだ」と思った。誰に指導されることもなく、教えてもらうこともなく気が付きました。そしてカッコいいテノールの声かどうか、自分の歌声を自分で聴いて、自分で評価していたのです。「おっ、今の声はカッコよかったなぁ」とか「おっ、今の歌い方キレイだったなぁ」とか思える時は自分で嬉しかったです。もちろん「カッコ悪い」「キタナイ声だ」と思う時の方が多かったですけれども。
それで「カッコイイ声」になれたかどうかは別問題です。しかし、自分で自分の声や歌い方をコントロールして歌うことの大切さに気付いた。分かりやすく言えば「あんな声を出してみたい」「出せるようになりたい」という憧れを持ったということです。
今、思い返すと、一番大切な勉強方法でした。
みんなも、自分で自分の声をカッコいいと思ってくれると良いな…と思います。世界一カッコイイだなんて思っちゃダメですよ。それは自惚れ(ウヌボレ)というやつです。比べる相手は一人しかいない。自分自身しかいないんです。そして点数をつける(評価する)人も自分自身しかいない。

大中先生の曲だろうと湯山先生の曲だろうと、そして新実先生の曲も、みんなメロディーが美しくて楽しくて魅力的です。その上にハーモニーを作っていく。回り道かもしれないけれど、この基本を大切にしていきましょう。

「コタンの歌」は後半の50分。今日の嶋田先生は「本番通りに指揮をする」ことを心がけました。みんなが声を伸ばしている時に男声に対して合図を送る部分が多くあります。その男声に対して送る合図に女声パートが反応してしまうとメチャクチャになってしまいます。だから部分部分で「ここは男声に向けたサインだよ」と確認をしました。
もちろん表現に対するアプローチがゼロだったわけではありません。ですが「どこまで伸ばすか」「どこで切るか」「どこで息を吸うか」などの確認が主体となりました。
来週は4月になります。4月3日(土)は「みんなでどのような表現を作るか」に全力集中します。午前中にそれをやって、午後には東海メールクワイアーをお迎えします。
本来の合唱練習で一番楽しい部分ですが、それを今まではやらずに通してきました。普段なら有り得ないことですが、一番楽しい部分を本番前日のリハーサルでの一発勝負に賭けます。

みんなの総力を結集することができますように。祈るような気持ちです。力を貸してください。よろしくお願いいたします。

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