SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


ひたすら「耳を鍛える」

【令和3年3月6日(土)】
3月に入りました。緊急事態宣言が解除されて最初の土曜日です。これまで防御担当者を受け持ってくれていたメンバーが何人か攻撃担当者に回って顔をみせてくれました。久しぶりに合唱団の体裁(ていさい・形)が整いました。
もっとも嶋田先生はあまり体裁を重視しません。体裁とは写真に撮った形と言っても良い。写真に撮って記録できる形よりも、その中で何が行われたかを重視します。
先週までの緊急事態宣言発令中、たしかに体裁は悪かった。写真に取ったら9人か10人か、カッコ悪い形が残ったことでしょう。しかし先週までの練習の中身は非常に質の高いものでした。「コタンの歌」の練習は進みませんでしたがこれは「わざと」であって、そのかわり「白いうた青いうた」を使ってメンバーの基礎的基本的な合唱力を確実に高めることができました。
3月になって体裁が整ったからといっても、メンバーの基礎的基本的な合唱力を高めることを疎か(おろそか・いいかげん)にしては意味がありません。今日の嶋田先生の頭の中にはそういう考えがありました。
結論を記しましょう。曲集「ぼくは雲雀」の中の「ふたりで」を使って、頭の中にあった計算以上の成果を上げることができました。

まずはメロディーを歌って全体の形をとらえます。前回歌ったのは2月13日、その前が12月5日ですから攻撃担当者も防御担当者も関係ありません。まずはメロディーをキチンと歌う…これは合唱の基本中の基本です。今日のポイントはその後にありました。
5小節目から12小節目まで、ソプラノを全員で歌います。これ、ミード、ミード、レーレレ ミファソ。ミード、ミード、レーレファ ミレド。となっていて基本中の基本の音階です。サッと歌ってなかなかの音程ですがチクッと釘を刺します。「最後のミレドとか、音程を正確に」。
そう言うだけで少し聴き方が変わるのを感じます。「カンタンな音程だと思ってバカにしちゃいけない。こういう音程をキチッとハメるのは実はとっても難しいんだ」と言うと、もっと集中力が高まります。
そう感じているのは先生が甘っちょろいのでしょうか…。これを80ポイントから90ポイントになったなどと数値化することはできません。だから証拠を示すこともできません。あくまでも先生が感じたこと。証拠があるとすればメンバーの一人一人の中にある。
話を戻しましょう。このノートは今日の防御担当者に練習内容を伝えるのも目的ですから。
次に5小節目から12小節目まで、メゾソプラノを全員で歌います。これ、ドレミ、ドレミ、ファミレ、ファミレドシ。ドレミ、ドレミ、ファミレ、レドシド。となっていてやはり基本中の基本の音階です。サッと歌ってなかなかの音程ですがチクッと釘を刺します。「最初のドレミとか、音程を正確に」。
次は5小節目から12小節目までアルトを歌う。そしてその次がとっておきのトレーニングです。
ソプラノを5小節目から12小節目まで歌って、すぐにメゾソプラノを5小節目から12小節目まで歌って、音楽の流れを止めないでアルトを5小節目から12小節目まで歌いました。その後、
Aグループは ソプラノ→メゾソプラノ→アルト の順で。
Bグループは メゾソプラノ→アルト→ソプラノ の順で。
Cグループは アルト→ソプラノ→メゾソプラノ の順で。
長くなりましたがここまでで1セット。

2セット目は13小節目から20小節目までを全く同じ手順と方法でチャレンジしました。
3セット目は21小節目からですが、これは9小節目からの1セット目とほとんど同じですから時間はかかりません。
これで1番の全パート・全ての音の構造を全員が全部耳にし声に出したことになります。

P15から2番が始まりますが最初の8小節間(1セット目)はユニゾンです。次の8小節間(2セット目)はソプラノパートに新しい動きが出てきますが、これも高い集中力で乗り切ります。3セット目はアルトパートが新しい形ですが音は三つしかないのでこれもクリア。

こうして実際に歌ってみると、新実先生がいかに基本を忠実に考えて作曲されているかが分かります。

ほぼほぼ1時間で、「ふたりで」の全部のパートの音を全員が歌って、全部のパートで実際にハーモニーを作りました。ここをこう歌う、あそこをああ歌う…という表現の練習ではなく、またイメージを高める話でもなく、ひたすら「耳を鍛える」ことに尽きました。

筆が走ってしまいました。今日はもう一つ、すごく嬉しいことがありました。新入団員を迎えることができたのです。ソラノートは世界中に発信していますので名前や学年などを書くことはできません。みんな会ったら声を掛けてあげてくださいね♪
だから最初は「ハローハロー」を歌い、「ドレミの歌」をハモらせ、「手のひらを太陽に」を歌いました。今日はこの「好きな歌を好きなように歌うコーナー」にも40分を投入したのですから、いつもながらスゴイ効率でしたね。

今日も最後に30分の時間が余るように工夫をして練習を組み立てました。そして後半の30分で「コタンの歌」を通しました。これは来週もそうするつもりです。
5週間前に「地に足が着いた表現」を目指そうとして、かなり深い表現を要求し、そして成果を上げました。
しかし、その深い表現を追求すればするほど、いわゆる「攻撃担当メンバー」と「防御担当メンバー」との間に経験値の差が生まれてしまいます。
漢字でも計算でも、クラスの中で経験値の差を過大に生み出すことは良い学級経営とは言えません。これは嶋田先生の信念です。だからコロナが心配なので練習への参加を自粛するメンバーがいる間は「コタンの歌」は最後に1回だけ通す…という練習にしました。
だからねぇ、ひとつだけお願い。「攻撃担当メンバー」と「防御担当メンバー」もCDを聴いて、歌詞だけは全部覚えておいてくださいね。その努力だけは忘れないでください。
そして4月3日(土)のゲネプロで全員が揃ったら、ここ一番、乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負をしましょう。その準備を全員で努力しましょう。
よろしくお願いしますネ。
今日は久しぶりに「コタンの歌」を歌ったというメンバーが多くいましたが楽譜は1回も開きませんでした。音は鍵盤ハーモニカで徹底的にサポートし、歌詞と曲の全体構造の確認に全力を集中したのです。「何回失敗してもOK。上手く歌うための時間ではない」と確認して歌い始めましたが、相当なレベルで音楽を再現できたことを報告しておきます。

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