SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


そういう仲間がいたから

【令和3年2月28日(日)】
緊急事態宣言が今日までで解除されることとなりました。本番1ヶ月前にギリギリ間に合いました。「空」には合唱の神様がついていてくれるようです。
今日は2回目となる東海メールクワイアーとの合同練習でしたが、集まってくださった「空」と東海メールのメンバーに最初にキチンと伝えました。

……合唱団「空」にも東海メールクワイアーにも、宣言期間中は合唱を自粛しますというメンバーがいます。その仲間のためにも、本当の表現の練り上げは4月3日(土)の前日練習に全てを賭けます。今から歌う練習は、その4月3日に全てを賭けるための「準備」と考えてください。……

合唱を続けて50年…という東海メールのメンバーからも何の異議(反対意見)もありません。
今日、全てのメンバーの参集は望むべくもない。ならば集まれなかった仲間のために、今日は準備を積み重ねておこう。
これが大人も子どもも一致した共通理解でした。自分のためだけではなく、仲間のためにチーム全体を支え、高めておく。そして仲間が揃った時に全ての力を結集する。
道徳の教科書や授業では学べない「チームワークの真実」です。しかし東海メールのメンバーにとっては当たり前のことなのかも知れません。

東海メールの元会長だった宮崎正孝さんは、ご自身がお医者さんでしたが白血病に倒れました。長い入院生活の中、全日本合唱コンクールで全国1位となった記念の定期演奏会のステージに、医者の制止を振り切り40度の高熱を押して参加されたそうです。その時に歌われた「オーベルニュの歌」のソロは絶品で今でも録音が残っており、嶋田先生の手許にもあります。そして演奏会の後、ほどなくして天へ帰られました。
その時、東海メールのメンバーには「あなた、ずっと練習に来てなかったのに、本番だけステージに乗るのですか?」などと言う人は一人もいませんでした。
仲間の死、転勤、会社の多忙など、「空」のメンバーには想像もできない過酷な試練を何度も乗り越えてきた東海メールクワイアーです。コロナごときで仲間が集まれないなんてことは屁(おなら)みたいなものなのかもしれません。今日参加できない仲間のために準備をしておく…なんてことは、当たり前のことなのです。嶋田先生も「準備をするメンバー」になったこともありますが「今日参加できない仲間」になったことの方が多いのです。

「空」も東海メールも約半数のメンバーで歌った「コタンの歌」は、しかし前回1月24日とは比べものにならないほど密度の濃い演奏となりました。いかにして歌詞をそろえるか、そのためにテンポをどう感じるかなど、多くの成果がありました。
何よりも、みんなとは違う時間と場所でコロナと闘いながら七転八倒(しちてんばっとう)して練習を重ねてくださった東海メールの男声ハーモニーが安定してきて、その男声ハーモニーと重ねることができたことは良い経験になったことと思います。

ですが、今日の練習は初めに宣言したとおり、あくまでも4月3日の合同リハーサルのための準備でした。おそらくは3月21日(日)の合同練習も「4月3日の合同リハーサルのための準備」になることと思います。
本番の前日を、たった1回の「表現を練り上げるリハーサル」とすることは、コロナで異例のことではありますが、東海メールのメンバーは百も承知と受け止めてくれています。「空」のメンバーもそのように承知してください。

嶋田先生も「今日参加できない仲間」になったことの方が多いのです と書きました。それは平成7年のことです。名古屋市教育委員会からの依頼で「教育課程編成委員」となり(教育課程とは名古屋市の全ての学校に配られる「先生の教え方のマニュアル」です)、会議は連日深夜0時を回り、地下鉄の終電車が出た後に学校を出るという日々で、ほぼ半年間、ただの1度も東海メールの練習に参加できませんでした。
しかし毎朝、学校へ行く地下鉄の中で楽譜を見て、頭の中で音楽を鳴らしていました。そして半年ぶりに練習会場に入った時、「シマダふっか~つ!」と叫んで飛び込みました。その時、東海メールのメンバーは「おおぅ!」と言って拍手してくれたのです。そういう仲間が嶋田先生にはいました。定期演奏会を36年間、一度も欠かさずにステージに乗ることができたのは、そういう仲間がいたからです。

合唱団「空」も同じです。そう嶋田先生は信じています。いいえ、嶋田先生が信じても信じなくても、合唱団「空」はとっくにそういうチームになっていると思います。

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