SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


最後の競演が「コタンの歌」になります。最高の演奏にしたいです。

【令和3年2月20日(土)】
今日は曲集「われもこう」の「卒業」からスタートしました。嶋田先生の記録では最初の紹介を含めて今日が3回目の「卒業」です。みんなメロディーなら掴んでいるようなので、まずはメロディーを確認。ビミョーな音程にも注意して聴いていましたが、キチンと音を掴んでいるようで感心しました。
メロディーをキチンと歌う…。これはカンタンそうに思えますが実は非常に大切なことなのです。冷たい言い方(書き方)をすれば「メロディーを歌えない人にハーモニーが作れるはずがない」ということになります。
メロディーをキチンと歌うというのは、たとえばドラえもんの歌を気楽に歌い飛ばすってレベルではなく、ドラえもんならドラえもんでも良いからカラオケバトルのスーパーマシンで100点満点を取るぞっていうレベルです。これが音程の話。
「あんなこといいな」の「い」とか「あんな夢こんな夢」の「め」とか「とっても大好き」の「ても」などを全力集中で音程を決めて歌おうなんて思う人はいない。アニメの歌は気楽に歌えば良いんだけれども、それは自分が楽しんで歌う範囲の話です。誰かに聴いてもらおうっていう範囲の話なら2年生の教科書に載ってる「ゆうやけこやけ」だろうが3年生の教科書に載ってる「春の小川」だろうがキチンと歌う力がなくてはならない。
そして、「メロディーが持っているエネルギーを感じる」ことができるかどうか。これは少し高級な話ですが「卒業」は非常に分かりやすい曲なので、ここで説明し記録しておきます。
5小節目から8小節目までが第1フレーズ。歌詞は全部「ルルル」ですね。
9小節目から12小節目までが第2フレーズです。
第2フレーズは最初から最後までクレシェンドが入っていると感じませんか?記号として書かれているクレシェンドではなくて、歌えば自然に感じるクレシェンドです。
これに対して第1フレーズは、ある程度の起伏はありますが、第2フレーズほど大きな動きは感じないと思います。
この「感じる」「感じない」というのは数字で表すことができないけど、「何だか歌う心が高まってくるよ」というような感覚です。感覚の問題。だから少し高級な話。
で、ここが大きな問題で、その「高まる感じ」をメンバーが感じているか感じていないかは数字で表せるものではなく、もちろん感じることが義務ではありませんから「わたしゃぁ5小節目から12小節目までなぁ~んにも感じないよ。ずっと平べったく感じるよ」と言う人がいても自由です(笑)。
自由なんだから、そういう人の感性を否定はしませんが、「何も感じない」と主張するのはチョット寂しい気がします。「空」のメンバーがそういう「感性」を豊かに膨らませてくれると良いな…と願っています。
メロディーをキチンと歌うということは、音程や呼吸する位置は言うに及ばず、そのメロディーが持っているエネルギーを感じていることだと思います。
ページをめくって2番「紙飛行機…」に入ると、新実先生が書き込んだmfとかfとかクレシェンドなどが具体的に記されています。ここから3番までは書かれている表現記号のとおりに歌えば良いのですが、嶋田先生が言いたいことは1番の「ルルル」にも必然的なエネルギーが存在するということです。
今日の練習では1番を使ってメゾソプラノとアルトも歌いました。ただしリズムは刻まないで長く伸ばして歌い、音程のみに集中してその結果生まれるハーモニーがどうなるかを試してみました。結果は非常に上手くいったと思います。
続いて「われもこう」。これも徹底してメロディーをキチンと歌うことを集中して聴いていました。音を取るのは本当に速いです。
以前にも書きましたが21小節目からの「にわかに秋の日 かがやく深い紅」の8小節間は、いったいどこがメロディーなのか分からない。もちろんソプラノがメロディーなのですが、それにしてもメゾソプラノとアルトの対旋律が美しすぎて、ここはハーモニーを作って歌わないとヒステリーが起きます(笑)。
ちなみに「この部分は、どのパートが一番好きですか?」と聞いてみたところ、メロディーのソプラノパートに上がった手が一番少なかった。メゾソプラノとアルトは半々の引き分けでしたね。
メロディーだけではなく、他のパートの旋律の流れにも魅力を感じてくれるのは非常に嬉しいことでした。もちろん迷って迷って「やっぱりソプラノ」と感じた人の存在も頼もしく思います。
続いて曲集「ぼくは雲雀」から「なぎさ道」。その後は「ぼくは雲雀」を歌いました。とても分かりやすいメロディーで、音程もエネルギーもなかなか良い感じです。
「なぎさ道」はどうしても詩に目が行ってしまいます。嶋田先生の悪いクセです。

ぬれたわけ おしえましょ
 (私が泣いた訳を 教えてあげるわ)
うすい虹が消えるとき
 (私の初恋が 消えてしまった時に)
通り雨 あびたのよ
 (涙がいっぱい あふれたのよ)
髪が燃えているわ
 (心が どうしようもなくなってるの)

うぎゃ~!!!! これは少女の心だぁ。嶋田先生のような貧相な(ひんそうな)男には分からない世界だぜぇ~。まぁ「空」の男子メンバーなら分かってくれると思いますけどね。歌うのはメンバーだし指揮するのは新実先生だから嶋田先生がどれだけ貧相でも何の問題もありません。良かったヨカッタ。
また時間のある時にHPの団員専用エリアにある参考音源を聴いておいてくださいね。

今日は最後に1時間分の時間が余るように工夫をして練習を組み立てました。そして後半の1時間で「コタンの歌」を通しました。これは来週もそうするつもりです。
3週間前に「地に足が着いた表現」を目指そうとして、かなり深い表現を要求し、そして成果を上げました。
しかし、その深い表現を追求すればするほど、いわゆる「攻撃担当メンバー」と「防御担当メンバー」との間に経験値の差が生まれてしまいます。
漢字でも計算でも、クラスの中で経験値の差を過大に生み出すことは良い学級経営とは言えません。これは嶋田先生の信念です。だから緊急事態宣言が出ている間(練習への参加を自粛するメンバーがいる間)は「コタンの歌」は最後に1回だけ通す…という練習にします。
だからねぇ、ひとつだけお願い。「攻撃担当メンバー」と「防御担当メンバー」もCDを聴いて、歌詞だけは全部覚えておいてくださいね。
そして宣言が解除されて全員が揃ったら、ここ一番、乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負をしましょう。その準備を全員で努力しましょう。
よろしくお願いしますネ。


報告です。
浜田真代先生が4月4日の演奏会をもって合唱団「空」を勇退されます。
すでに一昨年から少しずつ各合唱団の伴奏を退かれ、昨年11月の時点では合唱団「空」を残すのみ…となっておられました。
本来であれば11月1日をもって勇退される予定であったとのことですが、「空」の状況を見て現在まで続けてくださいました。
12年間、「空」の伴奏を支えてくださった恩恵は計り知れません。無限の感謝を捧げたいと思います。
ですが、浜田先生には 合唱団「空」名誉ピアニスト の称号を贈り、今後も「空」を見守っていただきたく思います。
また、嶋田先生の希望として、近い将来に合唱団「空」が合唱組曲「鮎の歌」を歌うことになった場合には客演ピアニストとして弾いていただけるようにお願いをしました。
「今まで、いろいろな合唱団が「鮎の歌」を歌ってくれたけど、「鮎の歌」は合唱団「空」が最高です」
これは湯山先生のお言葉です。このお言葉は浜田先生の伴奏があったればこそです。「鮎の歌」ウィーン初演も弾いてくださった浜田先生。
嶋田先生のワガママかも知れないけれど、浜田先生のピアノなくして「鮎の歌」を指揮することはできません。
最後の競演が「コタンの歌」になります。
みなさん、どうか力を貸してください。最高の演奏にしたいです。

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