SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


30年前の子どもたちにゴメンナサイ

【令和2年12月19日(土)】
うーん、やっぱり耳って大切だな…と実感して練習から帰ってきました。「聴く力」です。今日の練習は大部分が「聴く力」を大切に…という話だったと振り返っています。
その手始めは先々週から始めていて今日が3回目となる「白いうた青いうた」の紹介です。
来年10月の第25回定期演奏会で歌う曲集をメンバー自身で決めるために、実際に声に出して歌ってみて、どんな曲かという理解を深める…というのが目的ですが、(みんなも耳にタコができているとは思いますが)聴いたメロディーを今すぐだったら正確に声に出して再現しよう…、それができるような「聴き方」をしよう…というわけです。
実は先週の練習から今日までの間に、三重県の津市の父のところに2日間行っていました。その他の日は主に資料の片付けをしていました。自分の授業を記録したカセットテープやビデオテープ、写真、子供たちの記録など、膨大な資料を整理する必要があるのです。45分間回しっぱなしにして録音した授業のカセットテープを聞くと「まぁ何というヘタクソな授業だったのか」と今さらながらに恥ずかしくなります。
その資料の中に合唱部のビデオテープやカセットテープがあります。この一週間整理していたのは平成元年度の音源資料でした。
当時の宝南小学校は部員は70名。4年連続でNHKコンクール名古屋市1位、2年連続愛知県代表で、元年度は全国大会で銅賞受賞という、いわば全盛期の子どもたちの歌声です。
しかし音程が悪い。複雑なメロディーになると各パートの音程が決まらず、だからハーモニーにも曇りがあります。
当時のメンバーの名誉のために補記しておきますが、小学生のハーモニーとしては超一流のレベルです。よくもこんなふうに歌ってくれたものだと感心します。しかし音程が良くない。
当時のメンバーに「ごめんなさい。もっとキチンとした練習をしてあげるべきだった」と言いたいです。反省し、恥ずかしくなりました。
小学生のハーモニーとしては超一流かも知れませんが、合唱としては二流三流です。今日の「空」の方が格段に正確な音程であり、正確なハーモニーです。
「空」は小学生だけではなく中学生高校生もいるのですから、比べること自体に無理があるのですが、それにしても同じ嶋田先生が指導しているわけで、いったい何が違うのだろう…と反省するわけです。今日の「空」の10数人と、全国大会出場の70人の小学生と、声の厚みやパワーはともかく音程に限って言えば全くレベルが違う。圧倒的に今日の「空」の方が上です。
整理したビデオテープは平成元年7月7日とありましたから楽譜を手渡して練習を開始してから3ヶ月後の記録です。ほぼ毎日練習して3ヶ月。でも音程が決まらない。対して今日の「空」は全員が初めて歌う初見のメロディー、つまり練習開始1日目です。初めて歌う曲なのに音程はピシッと決まっていた。
同じ嶋田先生なのに何が違うのか。そりゃぁ30年間、嶋田先生が年を取ったんだわさってのは事実ですが正解ではありません。
指揮のテクニックから言えば30才の嶋田先生の方が今よりも良いかも知れません。ですが、当時の(30才の)嶋田先生がやっていなかった練習方法がある。それが分かりました。
ピアノの弦を声で鳴らすというトレーニングは30年前に発見した方法ですから当時もやっています。鍛えるべきパートの前に座って鍵盤ハーモニカで音程を補助することも30年前にもやっていました。
30年前にやっていなくて今やっているのは、「聴いた音をスグに声で再現する」という今日のトレーニングです。もう一つは「全員で全部のパートを実際に歌うこと」です。
決定的な違いはメンバーの「聴く力」です。「聴こうとする力」と言っても良い。当時のメンバーに「ごめんなさい」と言いたくなったのはその部分です。

今日は
曲集「はたおりむし」から「はたおりむし」
曲集「第1・2・3集」から「島原」
曲集「われもこう」から「とげのささやき」
曲集「南海譜」から「鳥舟」
曲集「火の山の子守歌」から「夏のデッサン」
曲集「ぼくは雲雀」から「なぎさ道」
の6曲を紹介しました。
最初に書いたように、曲の紹介というのは表の話で、聴いた音をスグに声で再現するというのが裏の話です。もちろん裏の話の方が重要であり、それが十分に達成された(30年前にもやってあげたかった)トレーニングになったことを、今日のメンバーへの感謝とともに報告したいと思います。

続いて曲集「やさしい魚」の中から第5曲目「やさしい魚」の続きです。ですが先週のソラノートに書いたとおり、来年度の(第25回定期に向けての)パートも決まっていない状況でハーモニーを作ろうとするのは無理があると思ったので、主旋律を全員で歌って最後まで通すことを重視しました。
だから「白いうた青いうた」と同じように、「聴いた音をスグに声で再現する」ための耳の練習の続きみたいになりました。
新実先生の音楽は独特のハーモニーと各パートが複雑に絡み合う構造に魅力と特徴があります。だからメロディーだけを通して歌っても新実先生の音楽の魅力は理解できません。その意味で今日のメンバーは苦しかったと思うし、今日感じたイメージが「やさしい魚」の全てではありません。しつこいようですが今日の練習は「耳の力」に尽きます。

後半は「コタンの歌」。主にソロを確認しました。また来週も確認します。全員の声を聴いた上で「誰と誰を組み合わせると最も効果的か」を考えたいのです。全員が練習に出席するということはなかなか難しいので嶋田先生も苦しいのですが、毎週少しずつ確認していくことでカバーしていきたいと思います。

Comments are closed.