SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


思わず飛び出してきた言葉

【令和2年11月14日(土)】
最初に結論を書くのが良い報告書(小学校の作文も同じかも)のセオリーです。
結論は今日も良かったです。とても良くハモリましたし、集まったメンバーの収穫も大きなものでした。
毎年のようにこの時期は受験生が冬眠に入ります。加えてテスト前という欠席連絡もあり(コロナの影響で通常とは少し異なる学校年間計画かな?)、さらには今日が運動会あるいは展覧会という小学校があることは教頭先生ですから分かります。その上で増加するコロナ感染状況ですからね。「空」にとっては苦しい条件がたくさん重なった日でした。
だから今日はソプラノ4人、メゾソプラノ2人、アルト3人という状況で、恒川先生がメゾソプラノとアルトを状況に応じて側面支援してくださったとは言え、写真を撮ったら「何じゃ、こりゃぁ!」という人数です。
にもかかわらず、良くハモリましたねぇ。それに今日は、歌い方が良かった。嶋田先生が「こう歌ってみましょう」と指示したことがすぐに表現となって実現し、その上に「こう歌いたいな」というメンバーの「思い」を感じることができました。

まずは「ゴーゴーゴー」という訳の分からない(?)曲を歌ってもらいました。「歌はともだち」のP76です。知っている子100%でしたから音取りは必要ありません。嶋田先生をトップにして一人ずつ、1対1で赤組と白組の歌を歌っていきました。
何を注意したかと言うとですね、3つあります。
①3小節目、赤組の「た」が♭シ、白組の「だ」はドです。ここがキチンとぶつかるか。
②8小節目、赤組の「ぱい」は♭シで白組の「ぱい」はレです。ここがキチンとハモるか。
③16小節目、赤組が「あかー」の伸ばす音はド、対する白組は「し」をレでぶつけます。
そんなことを意識して運動会で「ゴーゴーゴー」を歌った子は一人もいないでしょう。運動会では力いっぱい声を張り上げて歌えば良いのです。相手の音なんかどうだって良い。私の学校でも応援団長をしている「サッカー大好き音楽大嫌い」の6年生男子が、体をのけぞらせて歌っていました(笑)。
ですけどね、「空」は合唱団ですからね。①②③のようなツボを押さえて歌ってみることが肝要(かんよう・大切なこと)です。ところが、このツボが面白いように決まるんですねぇ。いやぁ、もうちょっと下手かと思ってました。上手く歌えなかったら「ああしろ」「こうしろ」というヒントを用意していて、みんなを笑わかそうと思っていたのですが、そのヒントは出さずじまいでした(涙)。
次にP54の「お正月」を一人ずつ歌ってもらいました。作曲は何と滝廉太郎です。
何を注意したかと言うとですね、2つあります。
①楽譜は♭が付いていますからヘ長調ですが、その調性でドレミで歌うと「ドーレドレ ミソミー レレドレ ミー」となります。続いて「ドドララソソソー ドドレレミー ミミレレドドドド レレミミソー」です。以下、最後まで1回もファとシが出てきません。「ドレミソラド」が日本の伝統音楽の音階なのです。
②2小節目「ねると」はミソミーです。10小節目「こいこい」もミソミミです。この音程をカンタンだとは思わないで、注意して歌いましょう。
そんなことを意識して「お正月」を歌った子は一人もいないでしょう。お正月にはノンビリしていてタップリお年玉をもらえば良いのです。聴いている人なんかどうだって良い。私もお年玉をあげる立場ですから良く分かります。
ですけどね、「空」は合唱団ですからね。①②のようなツボを押さえて歌ってみることが肝要(かんよう・大切なこと)です。ところが、このツボが面白いように決まるんですねぇ。いやぁ、もうちょっと下手かと思ってました。上手く歌えなかったら「ああしろ」「こうしろ」というヒントを用意していて、みんなを笑わかそうと思っていたのですが、そのヒントは出さずじまいでした(涙)。

いよいよ湯山作品です。アンコールに予定している「大漁」を歌ってもらいました。同じメロディーを1小節ずらして歌うだけですからカンタンと言えば簡単です。
ですが、「ゴーゴーゴー」と同じように、不協和音になって決めるべきツボと言う部分があります。いっぱいありますよ。代表的な部分はP37の2段目の4小節目。ソプラノの「だ」(ラ)とアルトの「い」(ソ)です。そして3段目「するだろう」のソプラノが「うー」とレで伸ばしている部分でアルトが「ろ」と一瞬ぶつけるドです。練習では言いませんでしたが他にもいっぱいあります。
次に「大漁」は基本的に「お正月」と同じで「ドレミソラド」の音階で作られていると言うこと。ファにあたる♭シは1回も出てきません。
偶然と言えば偶然ですが「ゴーゴーゴー」と「お正月」でツボを押さえておいたおかげで、ずいぶん久し振りだったのですが「大漁」を上手く歌うことができました。
全く別の曲で「ここがポイントだよ」と押さえたことを「大漁」に見事に応用してくれたメンバーに拍手です。何よりも、その「応用力」がメンバーの中に育っていることが嬉しかったですね。

続いて「コタンの歌」はソロが心配でした。ソロはいっぱいあります。コロナさえなければ高校生にソロを受け持ってもらう予定でしたが、今日は高校生は一人もいません。このまま緊急事態宣言などに突入すれば、練習をすることなく最悪の場合にはソロなしで「コタンの歌」を歌うことにもなりかねません。そこで今日は来てくれたメンバーだけでも良いから、ソロを全部歌ってから帰ってもらおうと思いました。明日にしよう、来週にしよう、来月にしようなどと言っていたら、本番はすぐに来てしまいます。心配なことは「今、解決する」。これは嶋田先生のモットーです。
結論は良く歌えたと思います。ソロと言っても音程は難しくなく、バーンと声を出す度胸があるかどうかが決め手になります。全てのソロを一通り押さえることができたことは望外(ぼうがい・思っていた以上)の成果でした。

途中、これも望外の成果がありました。それは「アツシの歌」です。P41の2段目から「しかし ごらんなさい」というフレーズが出てきます。ここは思い切り明るく歌いましょう。
おばあちゃんが紋様に願いを込めて織り続けていたアツシ。その縦糸にも、横糸にも、見てごらんなさい。あなたが生まれた喜びや、あなたが結婚した喜びが、縦糸にも横糸にも織り込まれているよ…と一瞬だけ錯覚(さっかく)するのです。
縦糸 横糸 縦糸 横糸…という喜びのエコー(こだま)は男声が受け持ちます。
そして次の瞬間、「悲しみだけが残っている」と歌う立体感。「おばあちゃんは、やっぱり悲しかったんだ…」と歌う共感。その立体感と共感が、P43の「動かなくなった機が…」という「おばあちゃんの死」をより鮮明に描き出すことでしょう。そして、おばあちゃんの「虹色の願い」をも鮮明に…。
このような指示が嶋田先生の口から飛び出したのは予定ではありません。思わず飛び出してきた言葉です。そのような言葉と指示を嶋田先生に吐き出させたのは、たった9人のメンバーだったのです。本当に拍手です。

これが全員になったらどんな歌声になるんだろう…?と嶋田先生は夢を見ています。嶋田先生が経験したこともない「合唱の神様の声」が聞こえてくるような予感がしました。
みんな、ありがとう。

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