SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


みんなでウオッカを飲もう

【令和2年9月26日(土)①】
今日も最初の30分は「アツシの歌」をオサライしました。先週のメンバーに加えて今週のメンバーの理解をプラスし、曲をとらえる理解度の裾野(すその)を広げていこうという作戦です。
今日は理由は分かりませんが声が非常によく響いていて、美しいハーモニーが生まれます。何と言っても「アツシの歌」はハーモニーの音楽なので、気持ちの良いことこの上もありません。
今とても苦しいのは、「コタンの歌」は男声の低い響きが必要なので、いかに美しくハモろうとも完成された響きにはならない…ということです。いやいや、メンバーは心配しなくても良いですよ。今日の練習で生み出されたハーモニーは正確で非常に美しかった。きっと気持ち良かったことと思います。
苦しいのは嶋田先生だけだからホカッておけば良ろしい。なぜ嶋田先生が苦しいのかというと、少年少女の(女声合唱の)ハーモニーに男声が加わった、ようするに最終的なゴールの響きを知っているからです。「空」のメンバーだけでも美しいハーモニーですから、今のみんなは「そうか。私たちはこんなふうにハモるんだ」と思っておいてください。今はガマンして(だからガマンしているのは嶋田先生だけだっちゅうの!)少年少女のハーモニーを磨いておきましょう。
ただ、みんなは楽しみにしておいてほしいのです。「船漕ぎ歌」から「カエルの子守歌」まで、「空」のハーモニーに男声が加わった時のハーモニーを…。これぞ混声合唱の醍醐味。そもそも少年少女合唱団が混声合唱を歌うなんてメッタにないことです。

具体的に予告しておきましょう。
今日歌った「アツシの歌」ならば何と言ってもP45の最後のハーモニーです。「空」だけならばソプラノが♯レ、メゾソプラノが♯ソ、アルトがミで、ミ・♯ソ・♯レのハーモニーです。いやぁ美しかったです。アルトのミとソプラノの♯レがブツカッていますが、この手のブツカリは「空」のお手のもの。いつも練習でやっていますから何のことはない。手慣れたものです。「鮎の歌」にもこのような音のブツカりはたくさん出てきますしね。
でもね、楽譜を開いて男声の和音を見てください。テノールが♯ド、バリトンが♯ソ、バスが1オクターブ低い♯ドです。これは完全5度と言って、東海メールクワイアーだけで練習していても良くハモります。ですけれども
「空」だけならミ・♯ソ・♯レのハーモニー
東海メールだけなら♯ド・♯ソのハーモニー
なんですよ。全然違うハーモニーでしょう?そのくらいなら分かってくれるよね。
いわば「空」だけならマヨネーズ味。
東海メールだけならケチャップ味。です。こいつを混ぜたらどうなるか。

ぜひ台所で実験してみてください。マヨネーズとトマトケチャップを1対1で混ぜてソースを作るんです。それをナメルだけでもオイシイのですが、甘夏ミカンを剥いてかけてみてください。何とも言えない複雑かつ絶妙(ゼツミョー)な美味ですよ。

ポイントはソプラノの♯レです。アルトのミとブツカッていることは上に書きました。ところが男声が入るとテノールとバスが1オクターブで♯ドをブツケてくるんです。
男声の♯ド、ソプラノの♯レ、アルトのミ。♯ド・♯レ・ミです。これ、どうなると思います?

たぶん「空」のメンバーは「ケロヨ~ン!」とか何とか叫んで、泡を吹いてぶっ倒れると思いますよ。在団10年のベテランメンバーでも経験したことのない未知のハーモニーです。こいつがどうハモるか。嶋田先生は今は苦しいですがメチャメチャ楽しみです。いやいや、どうハモるかよりも楽しみなのは、「空」のメンバーが「ケロヨ~ン!」と叫んでぶっ倒れる瞬間です。まぁ実際にその場で倒れる子はさすがにいないと思いますが、ゾゾ毛が走るとは思います。その時の顔が楽しみだぁ。
そのハーモニーを味わうためには条件があります。それはメゾソプラノとバリトンが協力して♯ソをガッチリと固めることです。この土台が崩れると「ケロヨ~ン!」ではなく「オエ~ッ」とゲボを吐くことになります。

混ぜるとゲボって言うのはですね、お母さんがいない時に台所へ行って砂糖と塩を1対1で混ぜてみましょう。小さじ半分ずつでヨロシイ。混ぜると小さじ1杯くらいになる。こいつを口に入れるんです。よほどの味覚オンチでない限り「オエ~ッ」とゲボを吐くことになります。ただしゲボの後始末は自分でやってくださいね。先生は知りませんよ。

こういう例は他にもいっぱいあります。分かりやすい部分をあと一つだけ紹介します。
P78下段、「パナンペ・ペナンぺのリムセ」の最後のハーモニー。「空」だけならラ・レ・ミ・ラで、これは「さくら」の和音だと何度か説明しましたし、きれいにハモっています。ところがこの部分、男声は何とソ・レ・シ・ミなんですね。下からつなげて書けばソ・レ・シ・ミ・ラ・レ・ミ・ラなんですよ。これは文章で書くことは不可能です。ソとラとシでブツカッって、他の場所でレとミがブツカる。これはねぇ、みんなにとってはロシアのアルコール80度数のウオッカ(世界一強い酒)を飲むようなもので、間違いなく未知の体験です。こいつぁ、ひっくり返りますよ、絶対に。

今日は筆が走ってしまいました。その後は「猪譚」を練習したのですが、それに関するノートは明日書くことにします。おやすみなさい。今日はありがとう。素晴らしかったです。

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