SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「緊急事態宣言」で練習中止

【令和2年3月14日(土)】
新型コロナの心配が続いています。合唱団「空」としての対応は以下のように「緊急事態宣言」を追加します。

①「空」の練習は当面(状況が悪化しない限り)続けます。
②嶋田・浜田・恒川とメンバーの子供本人に罹患陽性が出た場合、当面の練習は中止します。
③メンバーや先生の同居の家族(つまり父母会)に罹患陽性が出た場合、その人は練習を休んでください。
④とは言え、練習への参加は最終的には各家庭の保護者の判断に委ねます。
⑤【追加】日本政府から「緊急事態宣言」が発令された場合、当面の練習は中止します。
各家庭におかれましては、日曜日から金曜日までの健康保持に十分に注意してください。

現在、日本の人口1億2000万人のうち1421人の感染者(3月14日朝現在)。つまり10万人に1人の割合です。この状況ではコンビニに買い物に行く、ちょいとした散歩に出るなどの普段の生活をしていて感染するリスクが100だとすると、「空」の練習に参加して感染するリスクは101にも満たない。「空」の練習に参加することでリスクが150になると言うなら話は別ですが、つまり「空」をやってもやらなくてもコロナに罹る罹らないの不運・幸運に変わりはという状況です。名古屋市内でも罹患が出ていますが、「空」は1週間に1回(2時間30分)、20人前後の活動です。バス・地下鉄などで練習会場に来るメンバーはマスクの着用に専念してください。
繰り返しになりますが、「緊急事態宣言」が発令された場合には政府や愛知県・名古屋市の行政指示に従います。その場合にはメールや電話での連絡網伝達は必要ありません。「緊急事態宣言」=練習は中止 と読み替えてください。

今日は「鮎の歌」から「わさび田」。先週のノートに記した「同じ音のキープ」がカンタンではなく合唱の醍醐味だ…ということを実感してもらいたいと思っていました。
冒頭の「湧き水は」の部分、メゾソプラノはソ、アルトはミの音が2小節にわたって継続しています。そこでソプラノはソラーラドーレーと上昇音型。最初の「わ」だけはミとソで協和音ですが「き」になったとたんメゾソプラノのソとソプラノのラが不協和音になり、「ず」で一度ミソドのきれいな協和音になりますが「は」でアルトのミとソプラノのレが不協和音になります。
不協和音不協和音と書きましたがそれはイケナイ音ではない。むしろビリビリする感じの非常に美しい響きになります。
この美しい不協和音を生み出すためには、アルトとメゾソプラノの音がミとソでキッチリ安定していて、その上でソプラノに極めて正確な音程が要求されます。
しかし本当に1回聴けばすぐに歌えるという力に支えられて、非常に美しくハーモニーを響かせることができました。
約1時間20分。「わさび田」の全ての部分で各パートの音の役割を説明し、ハーモニーを構築していきました。
全員が全てのパートを同じレベルで歌ってみて、それでABCの3つのグループに分けて全員がソプラノ・メゾソプラノ・アルトの全てのパートを歌ってハーモニーを作りました。言い換えれば「全員がソプラノにもメゾソプラノにもアルトにもなれる」という準備を完璧に行うことができました。
この準備と言うかトレーニングは時間がかかります。事実「わさび田」1曲に80分の時間を投入しました。しかし、この準備はパートを決めて表現の練習になった時に生きてきます。ハーモニーを作る力を全員が同じレベルで共有していれば、ほとんどプロと同じくらいの短い時間で表現を練り上げ高め合うことができます。
「わさび田」という教材を使って、今日もみんなの「合唱力」を高めることができたと自負しています。ありがとう。

休憩の後は「雉」です。これも今日が初見だったメンバーが多い中で、全てのパートを全員が歌った上で、全てのパートを全員が担当してハーモニーを作ることができました。約50分ですから驚くべき効率です。途中、休符になっている部分を助け合って歌うことや、湯山先生独特のドファラのハーモニーで並行して動く部分のことを説明しましたが、それ以上に最後の5分の歌声の変化が凄かった。
最後の5分、好きなパートで「とにかく好きなように歌ってみましょう」と指示した後、歌詞の内容に少し触れました。今日欠席だった子は楽譜の後ろの歌詞のページを見ながら読んでください。

山芋(さんが言いました)あけび(さんが言いました)
野茨(さんが言いました)もみじ(さんが言いました)
「歩いて(逃げろ)走って(逃げろ)雉くん」
「飛んじゃいけないよ、止まっちゃいけないよ、雉くん」
木々の葉をくぐって(逃げるんだ、雉くん)

この( )で書いた部分は嶋田先生の説明です。詩には書かれていない。日本の詩というものは俳句がその最たるものですが、言葉の省略が特徴で、その省略された部分、つまり( )で書いた部分を読み手が補足してイメージを拡げることが肝要なのです。書いてない部分を読み手が想像するのがポイントなんです。だから2番はこうなる。

栗(さんが言いました)ぶな(さんが言いました)うるし(さんが言いました)
熊笹(さんが言いました)桂(さんが言いました)
「歩いて(逃げろ)走って(逃げろ)雉くん」
「飛んじゃいけないよ、止まっちゃいけないよ、雉くん」
風下に回って(逃げるんだ、雉くん)

雉は猟犬に追われている。犬だけならば飛んで逃げればカンタンなのですが、猟犬の後ろには鉄砲を持った漁師がいるのです。雉が飛び立った瞬間を漁師は虎視眈々と狙っているわけです。だから飛ぶことはできない。

そんな状況を少し説明しました。そうしたら最後の5分の歌声は、すごく熱量に溢れた非常にドラマチックな表現になりました。もちろん初見なのですから荒っぽい部分はありますが、とにかく非常に劇的な声でした。これは驚きでした。やっぱり歌詞をイメージするって大切なんだなぁ…と実感して帰路についたことを報告しておきます。

くれぐれも感染予防に専念してください。嶋田先生を含めて誰か一人でも陽性になったら練習中止です。「緊急事態宣言」が発令されないことを祈りましょう。ではまた来週。

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