SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


自分で表現方法を発酵させること

【令和2年1月25日(土)】
今日も新入団員を迎えることができました。本当に嬉しいことです。合唱は一人ではできないもので、自分が仲間を支えることで友達が伸び、力の伸びた友達が自分を支えてくれるので自分も伸びることができる、そのスパイラル(繰り返し)なのです。だから、仲間が増えることはひとえに合唱団「空」のレベルが増加することにつながるのです。先生がやっていることは、みんなの相互の助け合いを支援し、その伸びる方向性を整えているに過ぎないのです。今日も嬉しい一日になったことを報告しておきます。
前半は11月の定期演奏会で歌う「小さな目」、後半は来週に迫った大中先生追悼コンサートの曲を練習する予定は先週と変わりありません。
「小さな目」の練習は「どのように歌うのか」という表現の練習ではありません。「あんた、何回おんなじことを書いたら気が済むんじゃ?」という声が聞こえてきそうですが、大切なことだし心の底から分かってほしいことなので今日も書きます。「小さな目」を使って「合唱の力」を高めておく。これが現在(4月か5月まで)取り組むべき「小さな目」の練習です。だから今日は「おうちの人」と「ちゅうしゃ」の2曲でしたが、徹底的に全員で全部のパートを歌うことに終始したわけです。
今日は特に嶋田先生が自ら歌ってメンバーがマネをする(同じことをする)方法を何回か行いました。P6の2段目「だってさ」はソプラノがシッラレ、メゾソプラノがソッソ♯ファ、アルトは♯ドッドレです。これを「シッラレ、ソッソ♯ファ、♯ドッドレ」と続けて全部歌ってから好きなパートを歌ってハーモニーを作る。同じトレーニングが「妹が言った」でも可能です。また、「ちゅうしゃ」のP13「スゥーッと止まった」でも同じことができました。
これは音と音との関連性を身体で感知する能力の育成です。自分のパートの動きを覚えるのではなく、自分が声にして出す音に対して相手がどんな音で応えてくるか…という関連性。「だってさ」と「スゥーッと止まった」とに共通するのは、前半の「だって」「スゥーッと止まっ」までは不協和音になる音が入っていて、最後の「さ」と「た」はキレイにハモる協和音の音が使われているということです。
ムズカシイことを書きましたけれども、要するに音と音との関連性。これが一度身に付くと、あらゆる曲のあらゆる部分で、たとえ生まれて初めて見た楽譜でも頭の中で和音がポンッと鳴る感覚になります。で、話が決着しますけれども「合唱の力」です。

後半は「うたにつばさがあれば」のポイントを押さえました。新しい仲間も、この曲は合唱団「空」の団歌なのですし、2月2日の後は予定が無いだけで、機会があれば歌うことの多い曲ですから、早く覚えて(自分のものにして)ほしいです。
それにしても今さらながら、「いぬのおまわりさん」や「サッちゃん」の作曲者が「空」のためにと書いてくださった曲を持っているなんて、本当に幸せなことだと思い、大中先生に感謝の思いを禁じ得ません。
今日はインフルエンザや発熱で何人かのメンバーが欠席しており、本来のハーモニーを響かせることは十分にできず、またパートの人数バランスも良くないという条件でしたが、先生は気にしません。気にするのは「今、目の前にいるメンバーの力をどう高めるか」だけです。
「元気のヒミツ」は「葉っぱに隠れたカタツムリ ツバメが作ったヒナの家」の歌詞が伝わるように。ソプラノは表記してある強弱記号よりも少し強めに歌い、メゾソプラノとアルトは表記してある記号よりも少し押さえて歌うように指示しました。
「あめとひまわり」は「今日は誰も通らない」の部分を明るい声で歌うこと。「雨の日の絵を描くとして、その絵に描く空を何色で塗りますか?」と聞きました。そして「おそらく誰もが灰色で塗るはずですよね」と続けました。その灰色で塗った画用紙の真ん中に金色に輝くヒマワリを描いてください。そのヒマワリは灰色じゃダメだ。メチャクチャ明るいまっ黄色の絵の具を使うんです。声も同じです。こんな指示を出しました。
「となりのカンタロウ」と「きみとぼくと地球のうた」は上手です。問題なし。
「うたにつばさがあれば」の2番、「遠く離れた友達に 今は会えない友達に」の部分。今回の追悼コンサートに限って…と前置きしておいて「友達という言葉を大中先生と置き換えてイメージして歌いませんか?」と提案しました。実現すれば、こうなります。
遠く離れた大中先生に 今は会えなくなった大中先生に
私たちの歌に翼を付けて お空に飛ばそうよ みんなで力を合わせて

合同の混声合唱は「海の若者」「秋の女よ」「じゃあね」の3曲しかできませんでした。しかも歌っているのを止めて注意をしたり、同じ場所を繰り返して反復練習したり、ということは1回もありませんでした。ただただ音程の確認をしただけです。しかしですね、今日の嶋田先生の感想は「混声合唱が一番うまかった」というものでした。「海の若者」の氷のような声の表現や「秋の女よ」のシットリとした歌い方など、そんなふうに歌えなどと一度も言っていないのに、メンバーの中から溢れ出る表現に酔いしれていました。
「空」のメンバーは音程と歌詞の意味を理解してしまえば、あとは自分で表現方法を発酵させることができるんだな…と感じて、とても嬉しかったです。
次回の土曜日(2月1日)は新実徳英先生が指揮してくださいます。すごい贅沢な時間ですね。本当に楽しみです。
午前中は、久しぶりに駆けつけてくれるメンバーや卒団生を交えて、全員で全力を尽くして「月のうさぎ」と「うたにつばさがあれば」5曲を通します。力を貸してください。よろしくお願いします。

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