SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


混声合唱の貴重な体験

【令和2年1月18日(土)】
湯山先生の「小さな目」の練習が進んでいます。全部で10曲あるので「今日はどの曲を歌おうかな」と考えるのは楽しい時間です。しかしこの日は午後から大中先生追悼コンサートの合同練習が予定されているので、その練習も必要だな…というのが事前に考えていた「予定」でした。
練習会場に入ると見学者が来てくれました。こんな時、メンバーが誰も知らない曲があるのは本当にありがたい。見学の子もベテランメンバーも同じ土俵に立って一緒に歌うことができるからです。
で、予定通り(笑)に「小さな目」から選んだのは3曲目の「おとうちゃん」です。曲の練習を始める前に、ドの音を聴いてミの音を出す、ドの音を聴いてソの音を出す…という練習を久しぶりに少ししました。この「ドが分かればミとソも同時に分かる」という力がいかに大切か、「おとうちゃん」はその大切さを証明しメンバーにナットクしてもらえる要素を持っている曲だからです。
楽譜を見れば最初から、アルトはドドドード ドドドドドーです。メゾソプラノはドドドーミ ミミミミミーです。ソプラノはドドドーミ ソソソソソーです。ハ長調の「ドミソの和音」をイキナリ作るわけです。7小節進んだ「シーンとなる」の部分でミ・♯ソ・シのハーモニー。これはホ長調の「ドミソの和音」です。練習番号Cの「いかす」はレ・♯ファ・ラで、これはニ長調の「ドミソの和音」です。そして「おとうちゃんは」の「は」の部分は嬰ハ長調の「ドミソの和音」。最後の「笑い出した」の終結部分はミ・ソ・ドで再びハ長調の「ドミソの和音」を作る。ただし、曲の最初は「ドミソ」ですが曲の最後は「ミソド」です。実にウマく作られています。これほど徹底して「ドミソの和音」で押し通してある曲に取り組む時、前述した「ドが分かればミとソも同時に分かる」という力を持っていなかったら、底もフタもない桶で水を汲むのに等しい状態になります。
これを最初にホンの少し「ドミソの和音」について注意を高めておいて「おとうちゃん」を歌ったワケです。
残るは10曲目「おかあさんの手」だけになりました。この曲は最後の部分から攻めていきました。まずP41の「言う」のハーモニーを作ります。次に「誰が言うのかな?」と前置きしておいて「お父さんは言う」のハーモニーを作りました。続いて「お父さんは何を言ったのかな?」と前置きしておいて「たくさん洗ったからだとお父さんは言う」のハーモニーを作りました。そして「何を洗ったのかな?」と前置きしておいて「ぼくたちのオシメをたくさん洗ったからだとお父さんは言う」のハーモニーを作りました。これらの作業は全て「全員が全部のパートを歌ってから」進めた作業です。だから「おとうちゃん」にしても「おかあさんの手」にしても、パートは関係ない。大中先生追悼コンサートのパートは決まっていますけれども、「小さな目」に関しては全員が全てのパートを知っている状態を徹底しました。
しつこいようですけれども、この作業はメンバー一人一人に「本当の合唱力」を身に付けてもらうために必要なものなのです。

練習の後半はサスガに「合同の混声合唱」をやらないわけにはいきません。見学の子には「ごめんね。今からチョッとムズカシイ曲を歌います」と謝っておきましたが、それでも一緒に歌ってくれたのはウレシイことでした。
「わたりどり」「海の若者」「秋の女よ」「草原の別れ」の4曲を全員でソプラノ・アルト・テノールのパートを歌いました。このように書いていても笑えてくるのですが、日本中の少年少女合唱団の中でテノールパートを歌ってみる合唱団が他にあるでしょうか。小学生もいるのにテノールを歌う。これは普通の音楽教師なら考えもつかない話だと思います。ようするに「その曲をどう歌うか」だけを考えていては一生思いつかないでしょう。嶋田先生は普通ではないので「その曲をどう歌うか」を考える前に「その子にどんな力を付けておくか」を考えるワケです。大中先生の混声合唱にチャレンジすることによって合唱団「空」のメンバーが得た「力」は計り知れないものがあったと思います。これも大中先生が「空」にくださったプレゼントなのかもしれません。
「いぬのおまわりさん」と「サッちゃん」はサスガにテノールを歌うわけにはいきません。大中先生は混声合唱のスペシャリストなので、男声パートを小学生が歌える限界を超えています。しかし曲が面白いので楽しく歌うことができました。
大中先生に「いぬのおまわりさん」の犬は何犬ですか?とお尋ねしたことがあります。「柴犬ですか?それとも秋田犬ですか?まさかスピッツではないですよね?」と聞いた記憶があります。大中先生は何と答えられたと思いますか?それは次週の「ソラノート」をお楽しみに。

午後の合同の混声合唱は素晴らしいものでした。女声合唱団も男声合唱団も各自の練習を深めているのでしょう。素晴らしく美しいハーモニーが響いていましたね。合唱団「空」だけでは味わうことのできない深い響きのハーモニーです。男声の低音が入ることでハーモニーの深さが広がります。
これは少年少女合唱団がいかように努力しても研鑽を積んでも実現することのできない「混声のハーモニー」です。だから残る2月1日と2日の練習と本番は、「空」のメンバーにとって貴重な体験になるはずです。単なる体験だけではなく「合唱力」を高めるための大きなチャンスです。それを忘れずに参加し歌ってくださいね。
加川先生の「秋の女よ」と大橋先生の「じゃあね」のソロを聴くことができたのも大きな収穫でした。みんなはどう感じて聴いていてくれたのでしょうか。

次回の合同練習は新実徳英先生が指揮をしてくださいます。これはすごいチャンスです。鋭意、スケジュールの調整をお願いします。それから「月のうさぎ」と「うたにつばさがあれば」に関しては、2月1日の午前中の練習に全てを賭けます。遠隔地から来てくださるサポートメンバーも2月1日に向けてスケジュール調整をお願いいたします。

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