SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


令和2年の歌い初め

【令和2年1月11日(土)】
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
今日は、おめでとうの2倍でした。新入団員を迎えることができたのです。新年の最初の練習を始める前に、自己紹介のリレーをすることができたことは本当に嬉しいことでした。
だけではありません。見学者も来てくれていて、いっしょに歌ってくれました。来週も来てくれるといいな。本当に嬉しく思います。
新入団員がいて見学者がいるのですから、楽しい歌、分かりやすい歌、ベテランメンバーも知らない歌などから取り組むのが鉄則です。しかしながら来週は「大中先生追悼コンサート」の合同練習を控えているので、「小さな目」だけに集中するわけにはいきません。前半は混声合唱の合同曲と「うたにつばさがあれば」全曲、そして「月のうさぎ」を1回通しました。
本当に通しただけです。歌うのを止めて注意をしたり、より良い表現を目指すために繰り返したりということを一切しませんでした。ただただ歌っただけです。ですから今日は参加できなかったメンバーと参加できたメンバーとの間に「うたにつばさがあれば」「月のうさぎ」に関して何か決定的な差が生まれたということはありません。
しかし特筆すべき点がありました。それは「月のうさぎ」の最後の場面、「月の世界へ送りました」の部分です。ソプラノの最高音(高い♯ソ)が極めて美しいピアニシモで響いていました。凍り付くような冷たいピアニシモでした。そして、ソプラノを支えるメゾソプラノとアルトが、非常に安定した温かい響きを持っていました。
このハーモニーは定期演奏会に向けてのトレーニングでは要求していなかったものです。定期演奏会では全てのパートに向かって「凍り付くような冷たい声で」と要求していたはずです。
ソプラノは極めて冷たい、青ざめたピアニシモを出してくれました。しかし今日はメゾソプラノとアルトが何だかとても温かく優しい響きでソプラノを支えてくれました。
これは一瞬のできごとでした。しかし、新しい表現が生まれつつあるのは事実です。ソプラノの「静(せい)」とメゾソプラノ・アルトの「動(どう)」。あるいは凍り付く声と温かい声との融合(ゆうごう)。分かりやすく言うとですね、どこかの喫茶店で売っている熱々のホットケーキの上に冷たいソフトクリームを乗っけてくるやつ。あれですよ。熱々のケーキの上にソフトクリームを乗っけようなんて馬鹿げているにもこの上ないのですが、しかしこれがウマい。温かいハチミツをかけるのが普通でしょうがソフトクリームもウマいんだなぁ。
思うにメンバーの心の中で「月のうさぎ」という楽曲が11月から1月にかけてさらに発酵(はっこう)し、旨味を増している…そのように感じました。一瞬のできごどでしたけれども。
この新しい表現は、本番前日の練習か当日の朝の練習で共通理解し、やってみたいと思っています。

「小さな目」は「えんそく」から入りました。前回も歌ったのですが今日が初見のメンバーも多いので効果的に進みます。「ばなな ばなな ばなな半分あげるよ」の音程を確認しました。
「えんそく」は、なぜ輪唱になっているのか分かりますか?分からないでしょうねぇ。Aさんが「先生センセイ、あれを見て」と言ってくる。先生は「ふんふん、あれはね…」などと答えているヨユウは無いのです。なぜか言うとAさんに返事をする前にBさんが「先生センセイ、これを見て」と言ってくるからです。AさんとBさんの二人だけではないのです。CさんDさんEさんが同じことを言ってきて、30人くらいが同時に話しかけてくるんです。気が狂いそうになりますよ。この気持ちを本当に理解したいと望むのならば教員採用試験を受けて合格してください。そうすりゃぁ分かりますって。
「おうちの人」は湯山先生の言葉を借りれば「仕掛けがいっぱいある」曲です。冒頭の「パパは」の最初の「パ」にスタカートが付いています。つまり「パッパー」と弾んで歌うことになります。直後の「やさしい」はタッカリズムにも関わらずスラーが付いています。つまり弾むことなくナメラカに歌うことが必要です。直後の「から」はスラーが付いているからナメラカに。しかし「ら」にスタカートが付いていますから短く切ります。
このように最初の2小節だけで4つの仕掛けがあります。「おうちの人」だけではなく10曲全部に細かい注意点がありますから、「カンタンな曲だ」などと思って歌っていると大目玉を食います。でも10カ月ありますから、そこは任せてください。
「手紙」は初めて歌いました。今日は言いませんでしたがP21の3段目の「みると」にはアクセントとスラーとスタカートが付いています。どんな表現になるか予想しておいてくださいね。「きずだらけの顔で」とか「ひょうたんみたいな」などのハーモニーは一発で正確なハーモニーを響かせることができました。驚きでした。
「えんそく」も「おうちの人」も「手紙」も全部のパートを全員で歌いました。これは必ずやります。合唱力を身に付けることが曲を理解することよりも上位であるからです。その上での正確なハーモニーでしたから大したものだと思います。

午後は楽しく新年会を行うことができました。その最中に新実徳英先生から2回もメールが入り、その返信内容について矢代さんと相談して返信したりしていましたので、何だかケータイばかり見ていて申し訳ありませんでした。
その席上で聞いたのですが、新実徳英先生の曲を近未来に歌ってみたいという子がほとんどだったので、2月1日の夜、新実先生に相談してみようと思います。

令和2年も最高のスタートを切ることができました。メンバーとスタッフ、父母会の方々に大感謝です。あらためて、今年もよろしくお願い申し上げます。

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