SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「ドミソの歌」終結部のハーモニー

【9月9日(土)】
今日は見学者が3人も来てくれたので、その子たちが入団してくれた時のために(つまり来週以降)に効率よくスタートできるような練習を急遽組み立てました。まずは湯山先生が指揮をされる「童謡歌曲集」と「ドミソの歌」とをさらっておくことは賢明な判断だったと思います。団員の中にも久しぶりに来てくれた子もいるので、まずは湯山先生指揮の曲を確認しておくべきでしょう。

そこで「童謡歌曲集」からスタート。
「ひとつの地球」で重視したことは言葉の立て方です。P.370の「あなたの心分けてください」の歌詞です。結論を記せば「あなたの」「心」「分けて」「ください」と聞こえるようにしたいのです。しかし、1拍目と3拍目が強くなる自然な歌い方をすると、「あなた」「の心」「分けてく」「ダサい」と聞こえてしまいます。
2番の「あなたの痛み分けてください」も3番の「あなたの笑顔分けてください」も同様の現象が起こります。直後の「私の思い」「私の涙」「私の愛を」もボケ~っと歌っていると「私」「の思い」、「私」「の涙」、「私」「の愛を」と聞こえてしまう。
行進曲が持っている1拍目と3拍目が強拍になる歌い方ではいけない。3拍目を弱くして、その裏拍をハッキリと歌うことによって、歌詞が伝わることを確認しました。
「走れフェニックス」では1番2番3番が同じメロディーになる部分でも、歌詞によってアクセントの部分が異なることを確認しました。P.363の「鹿を追い」「風光る」「星を追い」ですが「鹿を追い」と「星を追い」は同じ歌い方で良いのですが2番の「風光る」は変えなくてはなりません。つまり「しかを」「おい」であって「しか」「をおい」ではないのです。また「ほしを」「おい」であって「ほし」「をおい」ではない。これに対して2番は「かぜ」「ひかる」であって「かぜひ」「かる」ではないのです。
どういうことかと言うとですね、「中 山太郎(なか やまたろう)」という子がいたとします。以前の中日ドラゴンズの監督に中監督という人がいましたし、手塚治虫の知られざる名作に「山太郎かえる」という作品がありますが、まあ、それはどうでもヨロシイ。
次に「仲谷 魔太郎(なかや またろう)」という子がいたとします。かつての愛知県知事に仲谷知事がいましたし、藤子不二雄の知られざる名作に「魔太郎がくる」という作品がありますが、まあ、それはどうでもヨロシイ。
そして「中山 太郎」という子がいたとします。サッカーの名選手に中山選手(ゴン)がいましたし、太郎という名前は日本ではチョー普通の名前ですが、まあ、それはどうでもヨロシイ。
問題は「好きよ、中 山太郎くん」という歌詞と「好きよ、仲谷 魔太郎くん」という歌詞と「好きよ、中山 太郎くん」という歌詞が1番2番3番だったとして、それらの歌詞を4拍子で同じように歌うと、全部同じ名前に聞こえてしまう…ということです。
おなじことが「白い花火」のP.326「まつりの ふえ」「あの おもいで」「あたたかーく」にも言えます。「白い花火」にはこの注意点が非常に多いので、自分で確認してみると良いと思います。
「ねこのマズルカ」と「ぞうのこ」は4小節+4小節。前の4小節と後の4小節を違う人物が語っているように、声の質を変えたいところですね。以前の空ノートを参照してください。
「歌声よ いのち新しく」はP.283「ああ歌声よ いま生きる子らと、ああ歌声よ いのち新しく」の部分のmf、f、piu.f、ffの強さの階段をハッキリと歌いましょう。
「妖精のワルツ」はロマンチックな表現で。3番の「私の心を ゆすぶるイジワル」などという歌詞を乙女の心で歌いたいですね。私の心の中の妖精が私にササヤクのです。「ねぇねぇ、あのイケメンくんに告白しちゃいなさいよ。ホラ、今がチャンスよ」なんてね。私ら男には分からん世界だがゃ。でもこの詩、阪田寛夫さんなんですよね~。
「12の月のうた」はスラーが付いている歌詞とスタッカートが付いている歌詞との歌い分けを明瞭に。

休憩をはさんで「ドミソの歌」。よくハモります。見事なもんです。だから音の確認もしましたが、歌い方の工夫もしました。たとえば「ドミソれしましたミスターT」「ファラドうしましょうミセスS」「ソーシレああしろドクターD」はシャレでありまして、それぞれ「御見それしましたミスターT」「アラどうしましょうミセスS」「そうしろああしろドクターD」なんです。
ミスターTは、誰に対しても何が起こっても「御見それしました~」と言ってクリアしてしまう調子の良い紳士です。
ミセスSは、誰に対しても何が起こっても「あらら~、どうしましょう」と言う、自分で判断できない淑女です。
ドクターDは、誰に対しても何が起こっても「そうしろ、ああしろ」と命令ばかりしている、威張った博士です。
だから、何度も出てくるこのフレーズを、ちゃんと声の色を変えてその人物にふさわしい表現で歌いたいものですね。そして、終結部の盛り上がりです。調子の良い紳士も判断できない淑女も威張った博士も、いろんな人がいるんだけれども、それぞれの人にそれぞれの役割があり、それぞれの持ち味があり、その役割と持ち味が融合して一つになって世界をを支えていく…そんな終結部にしたいものです。
今日は「ドミソの歌」の練習を始めてから半年で、初めてそんな終結部の響きを生み出すことができたように思いました。
その終結部のハーモニーを生み出してくれたメンバーに、心からの大感謝を贈ります。

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