SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


大中恩先生の教え

【9月3日(日)】
今日は大中恩先生を囲むフェールマミ20周年記念コンサート、本当にご苦労様でした。参加してくれたメンバーと支えてくださった父母会の方々、指導にあたってくれた恒川さん、高倉さん、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
12時30分にサイプレスガーデンホテルに集合し、控室に入って荷物を置いた後、15分ほどでしたが直前練習ができました。「ブランコ」は昨日なかったアルト下が安定した響きでハーモニーに厚みが加わり、何よりも声が柔らかく温かいもので、曲にふさわしい歌声です。
「うたにつばさがあれば」も手慣れた表現で、嶋田先生が「ああしろ」「こうしろ」と言わなくても、一人一人が「このように歌いたい」「こう歌うのがベスト」と思っていることはハッキリと分かります。ソロは中学生5人にお願いしましたが、非常にうまくいったと思います。

本番も良かったと思います。その後のパーティーで、何人かの見知らぬ人から声をかけていただき「素晴らしい歌声で感激しました」「初めて聴いた曲ですが、すご懐かしい感じで聴いていました」「ブランコが良かったです」などの感想をいただきました。
嶋田先生は3番の冒頭「ゆれるブランコ」のところで「しずむ」という指示を出して指揮をしてしまい、一瞬ですがみんなに戸惑いを与えてしまいました。ごめんなさい。
ですが、指揮者が間違えてもカバーしてくれるメンバーに感謝。ちゃんと「ゆれるブランコだよ」と歌ってくれました。ありがとうね。

大中先生は総括の挨拶の中で「言葉の大切さ」について何度も何度も繰り返されました。「言葉」「歌詞」がある音楽は合唱と歌曲だけなのです。楽器で演奏される音楽の楽しさや素晴らしさを讃えられた上で、しかしなお、歌詞のある音楽すなわち合唱の素晴らしさを強調されました。人間が人間に対して気持ちや思いを伝える手段は「言葉」しかないのです。その「言葉」を伝える合唱の存在意義を再三にわたって語ってくださり。最後に「言葉を伝えることのできる合唱団になってください」という言葉で締めくくられました。
ムズカシク考える必要はありません。音楽や合唱のスペシャリストになる必要もありません。みんなは一つだけ受け取ってください。
「言葉を伝えることのできる人になってください」というのが大中先生の真意です。本当に言葉を伝えることのできる子はイジメやイジワルとは無縁の子です。相手の気持ちを思いやり、友達の気持ちを受け入れることのできる子。言葉を伝えられなければ、決してそういう子にはなれません。
大中先生は戦争にも行き、その時はおそらく「死」を考え、奥様を早い時期に亡くされ、そのような悲しみや辛さを乗り越えて「いぬのおまわりさん」を作曲されたのです。その大中先生が限られた時間の中で選ばれたメッセージが「言葉の力」でした。
「言葉」は人間と人間との心を結びつける架け橋なのです。幼稚園の子に分かりやすく説明するのなら、「ありがとう」や「ごめんなさい」を発音するだけならカンタンです。その言葉を相手に対して自分の気持ちが伝わるように「言う」ことはムズカシイことです。
嶋田先生は思うのですが、そのように「言う」ことのできる子は優しい子です。先生の経験上、それができる子はみんな友達を大切にすることのできる子でした。

大中先生は上に述べたようなことを、真底から(嶋田先生の100倍も1000倍も)理解しておられます。だからこそ「サッちゃん」のような曲が書けるのです。「サッちゃん」みたいな曲、今の優秀な若手作曲家が全員で挑んでも絶対に書けないですよ。「言葉の愛」の度合いが違います。
みんなは、大中先生のお話をどう聞いてくれたのかなあ。嶋田先生はこのように聞きました。参考になさってくだされば幸いです。

パーティーの最後は大中先生ご自身の指揮での「わたりどり」。テンポ速かったですね。あの躍動的なテンポ感、みんなも覚えておいてください。あのテンポと躍動感が作曲者の思いなのです。
みんなにとってはなかなか経験できない混声合唱の響きも味わうことができました。素晴らしい一日に感謝です。

嶋田先生は子供たちから、また「生きる力」をもらいました。ありがとうございました。

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