SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


平成29年度合宿 1日目 斉唱について

【8月11日(金)】
今年も合宿が時がやってきました。例年以上に充実したものになるように…との思いをもって電車に乗り込みました。
美合の青年の家に到着して、まずはホワイトボードに目標を書きました。
先生の目標は「来てくれた子、参加した人にレベルアップして帰ってもらう」ということ。
みんなの目標は「聴いた音を(1分以内なら)正確に声に出して再現することのできる集中力を見に付ける」ということと「積極的に強い声で歌う」ということです。

最初の練習は、湯山先生の「斉唱で歌い上げる新選童謡歌曲集」です。このタイトル、湯山先生ご自身の発案ですし、選曲も歌う曲順も、全て湯山先生が決めてくださったものです。みんなに手渡した楽譜は、湯山先生がご自宅の作曲部屋で印刷してくださったものです。日本中を探しても、このような幸せに恵まれた合唱団は他にないと思います。
この演奏会にかける湯山先生の熱い思いに応えなくてはなりません。
このステージ、「斉唱で歌い上げる」というサブタイトルがポイントです。嶋田先生は久我山の湯山先生のご自宅で確認しました。「曲の最後とか一番盛り上がる部分などにハーモニーを付けてはいかがでしょう?」
こんな時、湯山先生はいつも即答です。
「いいえ、この8曲は全て斉唱でいきます」
嶋田先生は12才の時に合唱部に入ってから40年以上のキャリアがありますが、コンサートで1曲まるごと完全ユニゾン(斉唱)で演奏したことは、実は合唱団「空」の第13回定期演奏会が初めてです。この時は「あめふりくまのこ」などの童謡を合唱しましたが、「きいろいちょうちょ」と「サスケとともだち」という2曲を斉唱で歌いました。もちろん湯山先生に相談をした上での話です。この時は「この2曲を合唱にアレンジしてください」とお願いするのではなく、「この2曲は斉唱で歌いたいのです。お許しください」とお願いしました。
こんな時、湯山先生はいつも即答です。
「ああ、いいですよ。その方が良いですね。賛成です」
では、なぜ「きいろいちょうちょ」と「サスケとともだち」の2曲を斉唱でやりたかったかというと、メロディーの美しさや詩の内容の魅力もさることながら、メロディーにもピアノ伴奏にも無駄な動きや音が一つとしてなく、必要な音が全て配置され、不必要な音は全て排除されている…と感じたからです。もはやハーモニーすら必要なく、メロディー1つで全てを表現している…そんな感じでした。第13回定期演奏会でのその2曲の演奏が快心のものであったことは言うまでもありません。

その後、「電話」という歌曲を数回、「空」は斉唱で歌っています。そして湯山先生ご自身も、合唱団が斉唱で歌曲を歌う(合唱で合唱曲を歌うのが普通の合唱団だ)ことの面白さと効果を再発見されたのではないでしょうか…。と、そこまで傲慢な自信はありませんが、湯山先生が合唱団「空」の斉唱表現を認めてくださっているのは確かです。その集大成が昨年、第20回定期演奏会の童謡ステージでした。半分くらい斉唱だったことは、みなさんの記憶にも新しいことと思います。

集大成…と思っていたところが、今回は全部斉唱です。ステージの初めから終わりまでハーモニーはただの1つもありません。このアイデアが作曲者本人から出てきたことは驚くべきことです。

斉唱…というと合唱よりカンタンだと思っている人がいることと思います。30人のメンバーが10人ずつで3つのパートを受け持つことは、30人全員で1つのロディーを歌うことよりムズカシイという考え方は、なるほど一理あります。しかしですね、全員がメロディーを歌い、お客様にはメロディーしか聞こえないということは、ゴマカシが効かないということなんです。メロディーの歌い方に多少問題があっても、そこで鳴っているハーモニーが美しければ、お客様の耳はハーモニーの方に向いてしまってメロディーの問題に気が付かないということは有り得ます。

しかし、メロディーだけを歌うということは、ちょっと音が狂っただけでもすぐにバレてしまいます。あるいは嶋田先生がよく言う「日本語が別の意味に聞こえてしまう歌い方」をやると、せっかくのメロディーが壊れてしまいます。魅力のある旋律であればあるほど、そのリスクは大きくなる。だから、このステージの演奏は、合唱団「空」のレベルアップに大きなチャンスであり、また、「空」の新たなる可能性を探る試金石ともなります。

配ったばかりの楽譜で、当然のことながら全員が初見にもかかわらず、どんどん音が入っていきます。まるでスポンジが水を吸収するように。音の把握と理解は本当に速く、大人顔負けです。メロディーの流れが自然で音が取りやすいということもありますが、目標に書いた「1分以内なら正確に再現できる集中力」が生きています。午前中の90分で6曲の音取りを終え、昼食の後に残りの2曲を完了。約2時間で8曲を歌い切りました。さぁ、次は、いかに定着するかです。このステージは参考CDがないのでちょっと心配。ですが、きっと大丈夫だと信じています。

午後の残りは「ブランコ」と「北陸の子ども歌」、夜は「北陸の子ども歌」の後半とソリスト決めを行いました。そのことについては、最後の総括で触れることといたします。

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