SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


受験生がもどってきてくれた♪

【3月17日(土)】
今日は会場に入ると、受験を終えた中学3年生(もうすぐ高校生)が4人います。嬉しかったです。今の「空」には高校生が少ないのでとても力強いです。
そろそろ「向日葵の歌」や「ねむれないおおかみ」にも取り組もうかなぁ…という気持ちがありましたが、スプリングコンサートで歌う曲を全部さらっておくこととしました。
「エーデルワイス」や「世界の約束」など初見の曲がありましたが、さすがにこれまで培った基礎基本があるので、音取りは難なくクリアできたようです。歌い込んでいくうちに発酵する「共感」は1日や2日で高まるものではありませんが、「共感」というものはバスや地下鉄の中の通学途中、あるいは風呂に入っている間にも、フッと浮かんできたメロディーを頭の中で歌うだけでも発酵していきます。だから焦らずに、まずは音取り。曲の骨格をつかむことです。
「未知と言う名の船に乗り」はソプラノが先行して歌う部分を全てアルトが助けることとしました。すなわち、Aは「未知という名の ホホー」(2番のみ)、Bは「こころにかぎは かぎはー」(1番と2番)、Cは「ちょっとふしぎ ちょっとふしぎもー」と助けてください。ソプラノは助けてもらう部分を、いずれも声を伸ばしていますからクレシェンドをかけること。黙っている部分を減らして全体の音に厚みを加えていくことが狙いです。
同じことが「歌の広場」の「こんにちは~」の部分にも言えます。ソプラノは音を伸ばす時にクレシェンドです。
特筆すべきは「花は咲く」の歌い方でした。「誰かの歌が」「誰かの笑顔が」「誰かの思いが」「誰かの未来が」の「が」が全てデリケートになっていて、非常に注意深く歌っていることが分かりました。ちょっとやりすぎかな…と思うくらい、助詞(~が、~を、~の、~に etc)の処理が音楽的でした。ちょっとビックリです。

「文部省唱歌集」はブレス(息継ぎ)を気楽にしないように…と指摘しました。配ってある楽譜は小学校の教科書のコピーです。つまり授業で使うもの。「春の小川」「茶つみ」「富士山」「とんび」に付いているV記号は、小学校3年生~4年生が「息を吸う場所があるんだ」ということを学習するために付けられたものであり、合唱団が忠実にそこで息継ぎをしていてはいけない。実際に4小節をつないで歌うと、2小節目の終わりや3小節目の頭にエネルギーの頂点があることに気付きます。「フレーズを感じる」とはそういうことなのです。
もう一つの指示は、ヘ長調(♭が一つ付いている曲)の「もみじ」「こいのぼり」「冬景色」「ふるさと」のラ(ヘ長調で読めばミ)の音程です。不思議と低くなる。これは「空」の子の実力が不足しているからではなく、東海メールクワイアーでも同じ現象が起こります。授業ではそんな高いレベルの話はしませんが、注意しておく必要があります。
「さくら」では「はなざかり」の部分を繰り返して自由な速さで歌う練習をしました。ミ・ファ・シ・ラの音が混ざり合って雅楽の和音を響かせ、同時に「はなざかり」という歌詞もバラバラになって桜の花びらが夕日の中で散り舞い落ちる情景を表現しようとするものです。ただし、これは一人一人が花びらになって、友達(の花びら)とは違うタイミングで違う方向に違う舞い方で落ちていかなくてはなりません。揃えることや合わせることを本能的に重視する合唱人間にとっては苦手な領域です。
しかし今日の練習では、少なくともミ・ファ・シ・ラの雅楽ハーモニーを十分に響かせることができました。あとは一人一人がバラバラになれるか、度胸の問題です。やるかやらないかは本番の5分前に決めましょう。
嶋田先生としては「冬景色」「おぼろ月夜」「ふるさと」のリット・フェルマータ・スローテンポを含めて、小学校の教科書の楽曲でも「こんな豊かな表現が可能なんだよ」とお客様に提示したいのです。ただ歌うだけなら小学校の教室での授業で十分ですから。
「新・愛唱曲集」では「世界の約束」で少し変わった練習をしました。それは曲の後半(29小節目の間奏)からピアノにただの1度もメロディーが出てこないということです。ピアノはアルペジオという分散和音を弾いています。楽譜を確認してください。で、この分散和音のピアノ伴奏を弾いてもらい、メンバーは黙って聴いている…ということをやったわけです。
この練習、東海メールクワイアーでも時々やるのですが、本気になってかけねなく集中して聴いていると、ピアノの音には全くメロディーが無いのですが、メロディーが頭の中で鳴り響いて聴こえてくるという現象が起こります。
メンバーの脳ミソの中にメロディーが聴こえたかどうかは嶋田先生には分かりません。聴こえなかったかも知れません。しかし一つだけ言えることは、メンバーは非常に集中してピアノを聴いていたということです。これは保証できます。大切なことは、そのような集中力でピアノを聴く、聴こうとする、そこが大切なんです。よく「伴奏をよく聴いて」などという指示がありますが、何をどのように聴くかのポイントが不明確なままで10000回聴いたって効果はありません。みんなメロディーを捉えよう、自分には聴こえるだろうか…と思って聴いていました。それが大切なんです。その経験を積んでいけば、必ず聴こえるようになります。
弾いていない音、鳴っていない音が聴こえるようになる。これはモノスゴイ耳の力です。でも、小学校の1年生でも聴こえるようになります。ボケっとしている人は大人になっても(死ぬまで)聴こえません。
またやりましょう。
今日も楽しい練習ができました。大感謝です。ありがとう。

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