SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


立行司の結びの振れ

【1月19日(土)】
インフルエンザの流行で名古屋市内の小学校では100校以上が学級閉鎖の措置を取っています。この波は合唱団「空」にも降りかかっていて、体調不良で休みますというメールが続々と届きます。みなさん、ウガイと手洗いの励行に努めましょう。
受験シーズンも本番を迎えています。受験メンバーの健闘を心の底から祈っています。ベストを尽くしてくださいね。

さて、今日は「瑠璃色の地球」の楽譜を配りました。歌詞にはアルファベットでローマ字(ローマ字は世界共通の音声記号)が振られています。つまり、リトアニア少年合唱団から送られてきた楽譜です。
合唱団「空」からは「夕やけこやけ」と「ふるさと」が送ってあります。すなわち、合同演奏は
「Skriski,Lietuvelen」
「瑠璃色の地球」
「夕やけこやけ」
「ふるさと」
の4曲ということになります。
楽譜を印刷して持っていったものの、嶋田先生はこの曲について知るところはなく、かといって下調べをする時間もなく、不安を抱えて楽譜を配ったのです。
ところが「瑠璃色の地球」は松田聖子の持ち歌だということが分かり、メンバーの多くが知っている曲だということが分かり、このノートを描いている今、22時に奥さんに「瑠璃色の地球という曲を知っているかね?」と聞いたら「うん、松田聖子の歌だよ」という答えが返ってきて、知らないのは自分だけ…という自覚が襲い掛かってきて落ち込んでいる嶋田先生です。
そんなアヤフヤな状態で練習に取り掛かったのですが、メンバーと浜田先生と恒川先生に助けられて、短い時間で音取りをすることができました。大感謝です。相変わらず音取りは速いですね。鍵盤ハーモニカの音を聴いて1分以内ならその音を正確に再現できるように聴く…という集中力の賜物です。
今日は歌いませんでしたが、「文部省唱歌集」の楽譜は毎回持ってきてくださいね。これが「空」の単独ステージになります。

続いて「うたにつばさがあれば」の2曲目、「あめとひまわり」を歌いました。練習では言いませんでしたが、この曲は組曲の5曲の中で一番最後に作曲されました。ほかの4曲は作曲まで終わっていてリハーサルも済んでいるのに、残りの1曲の詩がどうしても書けない…思い浮かばない…と春口先生は悩んだそうです。
初演コンサートの直前に「大中先生、どうしても詩が書けません」と泣きそうになって相談した春口先生に大中先生は「何でも良いんだよ。自分の気持ちに素直になれば良いんだよ。素直になってごらん。きっと書けるよ。書けたら持っておいで」と言われたそうです。
その帰り道、小雨が降る中をトボトボ歩いていた春口先生は、道端に咲いている濡れたヒマワリに目を留めました。そして一気に、本当に見た瞬間に、詩が浮かんできたそうです。雨に濡れてちょっと寂しそうなヒマワリの気持ちを歌ったウタ。電話で詩を伝えた春口先生と受け取って1時間で作曲を終えた大中先生。予定されていた初演コンサートは大成功となったとのこと。
この話、大中先生と春口先生と3人で銀座の喫茶店でコーヒーを飲みながら聞いた話です。
その作曲者と詩人とがともに亡くなられた今、この曲の本質を語ることができるのは日本中で自分だけなのではないか…と嶋田先生は自覚し責任を感じています。みなさん、力を貸してください。
例によってメロディーを全員で歌った後は全てのパートを全部、全員で歌います。少ないメンバーでもそれができてしまう。ありがたいことです。3声に分かれるとサスガに厚いハーモニーを作ることはできませんでしたが、終結部のドとミにシをぶつけるハーモニーもキレイに響かせることができました。

休憩の後は思い切って「海と祭りと花の歌」から「ちょうちん囃し」に取り組みました。18小節をユニゾンで歌い、その後12小節をドミソを基調にしてハモり、8小節をドファラを基調にしてハモる。これが4回繰り返されるという構造なので、1番を歌えるようになれば後は4番まで押し通すことができます。
もちろん細かい部分に注意点はいろいろありますが、湯山先生の曲は歌う子どもたちの負担を最低限に抑えておいて聴く人にとっては最大限の効果を(聴いていてムズカシそうだな…という印象を与える)ように作られています。だから20分で全部を全員が歌うことができた。しかし書くのはカンタンです。実際に歌ってくれたメンバーのガンバリに拍手です。
ラスト5分。「雪はりんりん」の謡曲部分を1回だけ歌いました。その後、
「初場所の立行司の結びの振れを1度だけで良いから聞いてください」とお願いしました。具体的には、こうです。
「番数も、取り済みましたるところ、片や〇〇〇(力士のしこ名)、〇〇〇、こなた△△△(力士のしこ名)、△△△、この相撲一番にて、本日の打ち止め」と謡います。14日目まではこのとおり。15日目だけは最後の部分が「この相撲一番にて、千秋楽」となります。
謡曲ってなあに?落語ってなあに?能ってなあに?狂言ってなあに?なんて言っていちゃダメです。そんなこと学校では教えてくれません。でも日本の伝統文化なのです。学校で教えることなんて、ほんの一握りのケシツブみたいなものです。
ですが湯山先生は、それらの日本文化を全て把握した上で作曲されています。
学校は文部科学省が打ち出す新しい方策をクリアするために青息吐息です。日本文化は、身の回りにゴロゴロ転がっています。それは自分で嗅ぎ取らなくてはならない。嗅ぎ取ろうとする、そういう感性が必要です。
明日は日曜日。8日目です。千秋楽までの1日で良いから、大相撲の立行司の結びの振れを聞いてみてください。何かが分かるはずです。

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