SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「火の山の子守歌」イメージ

くれぐれも確認しておきますが、これは嶋田先生のイメージです。
合唱団「空」のメンバーに「このように思え」という意味ではありません。
そうではなくて、嶋田先生のイメージをヒントにして、自分自身のイメージを膨らませることのできる子になってください…というのが願いです。
みんなの心の中に、もっともっと豊かでステキなイメージが拡がり、膨らんでいってくれることを心から願っています。


女声合唱とピアノのための「火の山の子守歌」

1 青い花

ひめやかにやさしく
恋のたね埋めたので
ひめやかにやさしく
恋の草 芽をだした
かもめなくまちの影
吸わせたなら いつひらくだろう
ひとしずくの南のうみ
きみの目にゆれるとき青い花
ひめやかにやさしく
春たつかおりは窓辺の
ふたばに

【イメージ】
 目立たぬように 優しく
 恋する気持ちを 埋めたので
 目立たぬように 優しく
 恋する気持ちが 芽を出した
 君の声が聞こえる街の空気を
 吸いこんだなら 恋の芽はいつ花開くのかな
 ひとしずくの君の涙が
 君の目にきらめく時 恋の芽は花になる
 目立たぬように 優しく
 花は春の香りを窓辺に送り
 二人にも送ってくれる…

※この詩は本当に「読んだとおり」です。秘密めかした裏の意味や隠された意味はありません。読んだ人が自分の心のままにイメージすれば、それが真実の意味でしょう。
※でも、青い花とは何でしょうか?
【候補1 ネモフィラ】
花言葉は「どこでも成功」「可憐」「あなたを許す」
【候補2 ワスレナグサ】
花言葉は「私を忘れないで」「真実の愛」
【候補3 ヒスイカズラ】
花言葉は「私を忘れないで」
【候補4 オオイヌノフグリ】
花言葉は「忠実」「信頼」「清らか」
【候補5 スミレ】
花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」 ただし色は紫です。
みんなもいろいろな青い花を思い浮かべて自由にイメージしてください。図鑑で写真を調べてイメージを拡げよう。


2 夢幻

 一
あなたの夜 わたしの夜 つないだら
カシオピアを さがしている 河になる
ふたつの水 どこまでひとつ
都をすぎても はてない旅
星ゆらゆら 波ちらちら 知らぬまに
わかれた河 ほほえみあう 岸へだてて

 二
あなたの朝 わたしの朝 かさねたら
南へゆく わたり鳥の 爪になる
おさない知恵 谷間に裂いて
見すてるかなたの さけびは何
風ちりちり 胸ほろほろ のこるのは
つばさの影 抱きしめてる 羊歯のゆめ

【イメージ】
  一
 あなたの生命(あるいは夢)と私の生命(夢)をつないだら
 幸せの星を探している河(天の川)になる
 ふたつの生命(あるいは夢)はどこまでも一つ
 永遠に続く 果てしない旅
 星が光り 波が輝き 二人が離れている理由は人知を超えているけれど
 どんなに離れていても あなたと私は岸をへだてて微笑み合う

  二
 あなたの生命(あるいは希望)と私の生命(希望)を重ねたら
 別の世界(希望の土地)へ行く鳥(の羽)になる
 小さな(儚い)人知は 引き離されているけれど
 現実の土地(世界)をかなぐり捨てる二人の声は
 風に舞い 胸に刻まれ
 翼の光を抱きしめる二人の 夢のまた夢

※そもそも「夢幻」とは何でしょう?読んで文字のごとく「ゆめ」「まぼろし」です。そのものズバリ「ゆめまぼろし」で良いのですが、本当は仏語(ホトケさまの言葉)で「人生がきわめて儚い(はかない)もの」「人知(じんち・人の知恵)を超えたもの」という意味があります。
※カシオペア座は北の空にある星座ですし、ギリシャ神話の女神の名前ですが、この詩の場合は単純に「星」で良いのでは…と思いました。
※また、羊歯(シダ)には「魅惑」「夢」「愛らしさ」「誠実」という花言葉がありますが、そのうちの「夢」を取り上げると「羊歯のゆめ」は「夢のまた夢」となります。
※なぜ「二人が離され引き裂かれているのか」は分かりませんが、ウクライナ情勢の不安が拡がる現在ではやはり「戦争」をイメージせざるを得ません。


3 傘もなく

 一
傘もなく雨 午後の店 雨
つめたい 首すじ
百合を買うのは いまを売ること
この手の くぼみに しずくを ためよう
靴にしむ雨
葉書の 一文字
ながれうかび消えて

 二
傘もなく雨 鳩のむれ 雨
ひとの名 ぬれゆく
霧を買うのは 影を売ること
めがねの くもりを そのまま あるこう
泥と襤褸 雨
この世は ただよう
うすみどりの波に

【イメージ】
  一
 避けることができない運命 一日中運命が忍び寄る
 私の身体を冷やす運命
 純粋純潔であるために 生きる時を失うのか
 私の手に 運命を受け入れよう
 足元から忍び寄る運命
 脇目もふらずに生きようと決めていたけれど
 その決心も 流れ 漂い 消えてゆく

  二
  避けることができない運命 平和に忍び寄る運命
  人々の(私の)存在もぼやけて
  集まり消えるさだめは 光を失うこと
  あふれる涙を そのままに歩む
  ドロドロの ボロボロな 運命
  世界は さまようのみ
  (運命の)刃の波に

※「一文字」には「脇目もふらずに物事をなしとげる」という意味があります。
※「露」には「細かく集まって消える様子」という意味があります。
※「うすみどり」は平家物語に伝わる太刀の名称。源義経がつけた名前と伝わります。


4 落葉

しゅっぱ しゅっぱ きば
ちゅっく ちゅっく とげ
ぴぃひゃらしゅう 秋がくる

でぃら でぃら あか
きゅら きゅら しろ
てぃらりこひょう 落葉ふる

風のばか 風のうそ              
海しらず きえた恋

ちれ ちれ 文字
とべ とべ なぞ
しゃらしゅららら しゅるしゅるる

【イメージ】
 スパッ スパッ 牙は抜けて
 チクッ チクッ 棘も抜けて
 ピィヒャラ シュー 人生の折り返し

 デラッ デラッ 情熱も
 キラッ キラッ 純潔も
 ティラリコ ヒュー 人生が消えてゆく

 人生を奪うやつバカ 人生を奪うやつウソ                
 お母さんも無情を止めることはできず、恋の思いも無情に散らされる

 砕け散れ 理解できること(生きること)
 飛び回れ 理解できないこと(死ぬこと)
 しゃらしゅららら しゅるしゅるる

※「きば」は「牙」と考えて間違いないでしょう。
※「とげ」は「棘」なのか、牙を「研げ」なのか不明。掛詞かもしれません。
※第2段「赤」「白」第3段「ばか」「うそ」第4段「文字」「謎」が並立の関係ですから、この第1段も「牙」を「研げ」という主述の関係ではなく、「牙」「棘」の並立と考えるのが無難と思われます。
※「秋」は「人生の折り返し」と読めます。すると「落葉」とは「死んでいく生命」と読むことが可能です。
※「風」とは「葉を無情に散らすもの」つまり「生命を無情に奪うもの」と読むことが可能です。すると「赤」は「情熱」、「白」は「純潔」とも読め、「情熱も純潔も関係なく死んでいく」となります。そのような「風」は「ばか(来てほしくないもの)」であり「うそ(偽り)」ということでしょうか。
※「海」とは母性の象徴、つまり「母」です。だから「母もその無情を止めることはできず、恋の思いも無情に散らされる」となります。
※「文字」とは「理解できること」、「なぞ」とは「理解できないこと」。すると「理解できることは吹き飛び」「理解できないことが飛び回る」と考えられます。
※しかし上のことは全て間違いで、単純な「擬音の言葉遊び」と考えるのが正解…と思います。


5 夏のデッサン

 一
水色の輪をかきます
蓮の花ひらかせます
きよらかであついのが
かぜのなかのまことなら
蜜蜂を住まわせます
朝も夜もゆられながら

 二
空よぎる弧を引きます
かおり立つ木をそえます
にぎやかでくらいのが
たびのはてのねむりなら
揚羽たちとまらせます
ひしゃく星かぞえないで

【イメージ】
  一
 水の上にデッサン(スケッチ)を描きたいな
 清らかな心が開くように描きたいな
 清らかな情熱が
 風が吹く本当の理由なら
 蓮の花に幸せ(蜜蜂)をとまらせよう
 朝も夜も揺られている蜜蜂を…

  二
 空の中にデッサン(スケッチ)を描きたいな
 幸せの木が香るように描きたいな
 星いっぱいに輝く空が
 旅人が杖を休める安らぎなら
 天に上がっていく揚羽をとまらせよう
 北斗七星よりも輝くように…

※蓮(ハス)の花言葉は「清らかな心」「神聖」「離れゆく愛」
※蜜蜂(ミツバチ)は「繁栄」「豊かさ」「幸福」の象徴と言われます。
※揚羽(アゲハ)には「上がる」「高める」「勢いがある」という意味があります。


6 ぼくという名のひとり

 一
はこべの道に ゆうひ ちらばり
シベリアゆきの バスこないのか
ひょろながい きざな子が
石ころけり 消えるよ
よこがおだけを 空に のこして
ぼくという名の ひとり

 二
つばめのように うみを こえたい
はじける水を 耳ぬらしのむ
たびずきな ばかな子が
駅通りを かけだす
だれにもみえぬ 春に 追われて
ぼくという名の ひとり

【イメージ】
  一
 恋人たちが会う道に夕日が輝いて
 知らない国へ行ってみたい
 あっ あの子はボク
 石ころをポーンと蹴って 消えちゃった 
 言いたかったことを 空に告げて
 ひとりぼっちの もう一人のボク

  二
 ツバメのように外国に行ってみたい
 知らない言葉がいっぱい聞こえるだろうな
 あっ あの子はボク    
 電車に乗って 消えちゃった
 誰にも気付かれずに 春の風にのって
 ひとりぼっちの もう一人のボク

※ハコベの花言葉は「ランデブー(恋人が会うこと)」「愛らしさ」「初恋の思い出」など


7 春

眠らぬ恋よ
谷間のつらら
とけても炎
身ぶるいするピアノよりはげしく
ゆれてるしずくは
地べたに落ちたら、すみれのつぼみさ
くもの巣つけて
木霊がつぶやく春

【イメージ】
 安らぎのない恋
 空から狙っている危険物(爆弾)は
 落ちてきて炎をあげる
 炎の中でピアノがもだえる 弦が切れる音より
 はげしく揺れる涙は
 地べたに落ちる 開かなかった小さな幸せ
 悪魔に捕らわれたと
 精霊がつぶやく 哀しい春

※スミレの花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」
※木霊(こだま)とは樹木に宿る聖霊という意味があります。


8 火の山の子守歌

夜が くばる やさしさの便り
あおい 鐘が 鳴りはじめたら
火の山のふもと ナルコユリ咲く
ささやかな風に 吹かれて ひとりで
月の ひかり 縄ばしごおりる
指を ひらく 影法師よ ねむれ

【イメージ】
 夜(月)が やさしさの便りを配る
 月光の中で やさしさの鐘が鳴り
 荒れ果てた大地にも「元気を出して」と手紙が届く
 ささやかな(優しい)風に ひとり私も包まれて
 光(優しさ)が 降りてくるのを
 受け止めようと手を拡げ 私自身の影が眠りにつく

※ナルコユリの花言葉は「元気を出して」「小さな思い出」「心の痛みのわかる人」。花は小さな釣り鐘そっくりで白い花の花弁の先は緑色(碧)です。
※「影法師」を「自分自身」とイメージしました。

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