SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


基礎基本と「ことばあそびうた」

【令和4年3月19日(土)】
今日は嬉しいことがたくさんありました。
まず、今日も見学の男の子が来てくれました。4月からは小学校2年生だとのこと。だから、この後に書くように、合唱の基礎基本となる練習をいっぱい、そして楽しく歌いました。
次に、受験という冬眠から目覚めたメンバーが三人復活して来てくれました。すでに復活していたメンバーも含めて協力メンバー(強力メンバー)ばかりですから、これからは練習での声の響きもさらに豊かなものになることでしょう。

さて、最初は新実先生の新曲を歌っていたのですが、それは後に記します。

見学の子を迎えて取り上げたのは「ドレミの歌」です。この曲は10月23日(日)の第26回定期演奏会でも歌いますから、今のうちに暗譜(楽譜を見ないで歌うこと)できていると良いです。
文字通りのドレミの歌なのですが音程に気を付けて歌いましょう。特に途中でドミミ ミソソ レファファ ラシシと細かく刻む部分がありますが、最後のラシシは注意が必要です。ウソだと思ったらお風呂か便所で歌ってみてください。ドミミやミソソに比べてラシシの「シ」が不安定に感じませんか?
「本当だ。不安定な感じがする」という人は耳がヨロシイ。かなり音感が育っています。
「へっ?分からんよ。感じない」という人は、ヨッポド完璧なスーパー音感を持っている人か、あるいは自分の音が違っていることに気付かない音感ゼロの人か、どちらかです。
「なんでラシシだけムズカシイんですか?」と質問する人は見所があります。
その理由はねぇ。
分からんよ(笑)。
合唱のプロか音楽学者なら分かるかもしれませんが、嶋田先生ごときの小学校の音楽教師では分からん。
分からんけれども、嶋田先生の50年の経験則から割り出しても、この「ラシシ」を正確に歌うことはムズカシイということは分かる。
音楽って楽しいけれども難しいです(涙)。

「エーデルワイス」は二つのことを言いました。
いつも言っているように「ド」を聴いたら「レ」も「ミ」も「ファ」も「ソ」も「ラ」も分かるようにする。これは非常に大切な力で、この力がないと合唱はできません。
でも、いつもアルトが「ド」を受け持ってくれればメゾが「ミ」でソプラノが「ソ」とか言ってりゃ良いんですが、実際はアルトが「ソ」になったり「ラ」になったりします。
つまり、いつも「ド」がスタートなのではなく、「ミ」が分かれば「ソ」も「ラ」も「シ」も分かる、「ソ」が分かれば「シ」も「ド」も「レ」も分かる、と、こうならなくてはイケナイ。
音と音の組み合わせは無限通りあるのです。その無限にある組み合わせに瞬時に対応する力を「基礎基本」と呼びます。
で、そのようなネライで階名で歌いました。
ミーソレーー ドーソファーー ミーミミファソ ラーーソーー
ミーソレーー ドーソファーー ミーソソラシ ドーードーー
レッソソシラソ ミーソドーー ラードレード シーーソーー
これは覚えちゃってください。これだけ頭に入っているだけでも相当にレベルの高い話になります。
ただ「さん ハイ」って歌うだけではなく、ネライを持って取り組むことです。

もう一つは英語で歌うこと。カタカナで良いですから、別にアメリカ人に伝わるような発音でなくても良いから、感覚で歌えるようにゼヒなってください。
理由を一つだけ書いておきます。
歌い出しから5小節目~8小節目だけにします。
日本語は「かわいい花よ」、英語は「エヴリィ モーニング ユー グリートゥ ミー」ですね。
これを3拍子で読んでみましょう。それぞれ1拍目は何でしょう?
日本語では1拍目は「か」「い」「な」「よ」ですね。
「かーわ」「いいは」「なーー」「よーー」です。
英語ではどうでしょう。
「エヴリィ」「モーニングユー」「グリートゥ」「ミー」になります。
もう一度ならべてみます。
「かーわ」「いいは」「なーー」「よーー」
「エヴリィ」「モーニングユー」「グリートゥ」「ミー」
どうですか?英語の方は見事に3拍子と言葉の意味がピッタリ合っています。
日本語は「可愛い」「花」という意味が3拍子に合っていません。
日本語で「エーデルワイス」を歌う時、3拍子を生かして歌うと日本語の意味がメチャメチャになります。「かーわ」「いーは」とかね。それで日本語の意味を生かして歌うと今度は3拍子のリズムがメチャメチャになります。うーん、「メチャメチャ」は言い過ぎだけど、ロジャースが作曲した本来のメロディーとは別のメロディーになることは事実です。

これが、嶋田先生が外国の歌をメッタに取り上げない理由です。モーツァルトでもシューベルトでも「サウンド・オヴ・ミュージック」でも、歌うのなら英語やドイツ語で歌わなくては、作曲者が生み出したメロディーを生かすことはできないのです。
じゃあ合唱団「空」は国際交流はできないのかよぅ…と言うことになりますが、そんなことはしない。だから第26回定期演奏会でも「サウンド・オヴ・ミュージック」を日本語で歌います。
ですが、ここぞって言う部分だけでも良いですから、決めるべきところは英語でキメましょう!!

おっとっと。長くなっちまったな。ごめんゴメン。
この後は「手のひらを太陽に」「グリーングリーン」「きよしこの夜」「ぶどう摘み」を楽しく歌いました。「エーデルワイス」も楽しく歌ったんだけれども、ちょっと詳しく書きすぎたワイ。

さて、今日はせっかく新しい楽譜「ことばあそびうた」を配ったので、9時30分から「かぞえうた」を歌いました。
この「ことばあそびうた」は若かった(無名だった)新実先生の名前を全国に轟かせた傑作中の傑作です。
それまでの日本で、このような形で作曲された合唱曲はなかったのですが、新実先生が全く新しいスタイルを生み出して日本の合唱界に衝撃を与えました。
その新しいスタイルを一言で書くのは無理がありますがカンタンに書くと
○きわめてカンタンな音階(メロディー)を
○拍をズラして重ねることで
○聴く人にはメチャクチャ難しい(複雑な)音楽に聞こえる
ということになりますかな。
滝廉太郎から始まる日本の合唱の歴史の中で、そのレールの上に大中先生や湯山先生が独自の音楽スタイルを作っていました。
そこに新実先生は全く新しいレールを敷いたわけで、滝廉太郎とも山田耕筰ともちがう、大中先生も湯山先生も誰一人考えもしなかった「新実ワールド」を作りました。
そのような意味で「ことばあそびうた」は新実ワールドの原点と言えます。3回シリーズを組む上では絶対に避けることのできない曲でした。
今日はP30~31を歌っただけですが、その不思議な世界の片鱗を響かせることができたことは大成功だったと思います。

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