SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


【令和4年3月5日(土)】
だんだん暖かくなってきましたね。桜が咲くのも間近です。
受験生はくれぐれも万全の体調で本番に臨んでください。祈ってます。

さて、今日は入団希望の見学の子をお迎えしました。
もうちょっと簡単な誰でも知っている曲(たとえば「ドレミの歌」など)を歌えばよかったのですが、勢いで新実先生の「しらかば」を中心とした練習になりました。ちょっと反省しています。

しかし「しらかば」はメンバーも今までにメロディーを1回歌っただけで、ハーモニーを作るのは全員が初めてでした。嶋田先生も初めてでした。
ですからベテランメンバーだろうと見学の子だろうと全員がハンデなしの同じスタートラインでの練習となり、その意味では良かったのかな…と思います。
でも「エーデルワイス」や「ドレミの歌」の方が良かったかなぁ。来週は「エーデルワイス」「ドレミの歌」もやりましょう。

順序が逆になりますが、後半の練習で歌った「しらかば」はとてもよくハモりました。最後の20分がスゴかったですね(笑)。
 全員で最初から最後まで1番も2番も全部、ソプラノを歌いましょう。それで3分。
 次に全員で最初から最後までメゾソプラノの上を歌いましょう。それで6分。
 次はメゾソプラノの下を歌います。メゾは2回になりますが。それで9分。
 そして全員でアルトを歌います。それで12分。
 ここからABCチームに分かれてAがソプラノ、Bがメゾ、Cがアルト。
 次はBがソプラノ、Cがメゾ、Aがアルト。それで18分。
 最後にCがソプラノ、Aがメゾ、Bがアルトを歌ってください。いきまっせ~!
つまり入れ替わり立ち替わりで合計7回繰り返して全部歌ったわけです。年齢も関係ない、在団年数も関係ない、初めて歌うか2回目だろうが関係ない。ただひたすら一人一人が「音感を鍛えよう」ということを目標としたわけです。

何度も書きましたが、このような方法が「普通に」できるところが「空」の強みです。東海メールクワイアーでは絶対に無理です。東海メールだけではなく大人の合唱団では無理だと思います。
なぜかと言うと、大人というものはみんなとは比べられないくらい「合唱の経験値」が高いのです。経験値というのは合唱に投入した時間のことです。嶋田先生もそうですが12才の時から50年近く合唱をやっていると、もう自分はテノールだ…という意識から離れることができません。嶋田先生の場合、二部合唱なら上のパート、四部合唱ならセカンドテナー(上から二番目)という意識から離れることができず、ましてや嶋田先生よりも年上の70才や80才のメンバーはもっとそうだと思います。50年も続けてきたパートはもはや自分の力の全てです。
だから大人は成長することがない。嶋田先生もそうです。嶋田先生があと10年たったらモノスゴク上手になっているなんて有り得ません。東海メールの名誉のために書いておきますが、「空」にできることが東海メールには絶対に無理だというのは、それは「大人だから」です。

逆に言うと、「空」は経験値が少ない。子どもなんだから当たり前です。経験値が少ないということは普通は弱点になるのですが、上手にトレーニングすると経験値が少ないことが逆に強みになります。
一人一人がソプラノもメゾソプラノもアルトもジャンジャン歌う。実際に歌ってみる。そのことによって、それぞれのパートの役割が分かる。頭で分かる…ではなく身体に叩き込む。
同時に、メロディーに対してどのようにハモるか、いっぱいいっぱい経験してみる。メロディーに対するハモり方は無限にあり、「しらかば」でのハモり方と「なまずのふろや」でのハモり方は違います。「空」に10年いたとしても、経験できるハモり方なんてほんの一握り(ひとにぎり)です。
その一握りを二握りにする努力をする。できれば三握りにする。これが素晴らしいことで、同時にとても大変なことです。

藤井聡太君がいつもインタビューに答えているでしょう?
「まだまだ自分は未熟です。もっともっと強くなれると思います」
嶋田先生もアマチュアの五段ですから分かります。藤井竜王は砂浜に立っていて、自分が握っている砂はリュックに入るくらいだ…ということを知っているから、あのような発言になります。
「将棋の神様がいるのなら、ぜひ一度将棋を教わりたい」
とも言っていました。将棋の神様は地球上の砂浜の砂を全部握っている。自分が握っているのはリュックサックくらいだ。だから自分が知らない(握っていない)砂がどんな砂なのか知りたい。ということです。
嶋田先生は藤井竜王よりはるかに弱いですが、将棋の奥深さは分かります。

合唱も同じ。教会音楽から発展したハーモニーというものがパレストリーナからバッハやベートーヴェンに受け継がれ、現代の湯山先生や新実先生につながっています。
それを全部経験することは、海辺の砂を全部つかもうとするのと同じで不可能です。
藤井竜王の砂はリュックサックくらいでしょうが、他のプロ棋士が持っている砂はコンビニの袋くらい。そこが違う。
今までのプロ棋士は、それまでの経験値から、人間が持てる砂の量はコンビニの袋くらいだ…と思っていた。藤井竜王は「いや、僕はもっと持てる」と信じたわけです。
合唱の神様が知っている砂は地球の上の砂全部。
今のあなたが握っている砂がコンビニの袋に入るくらい。
それならば半年後のあなたが握っている砂をリュックサックくらいにしようと努力をする。ここがポイントです。

嶋田先生も東海メールのメンバーも、持っている袋が古いので、もうこれ以上新しい砂は持てません。
みんなは新しい砂をドンドン増やすことができる。子どもなんだから袋が新品です。しかもその袋は、トレーニング次第でドンドン大きくすることができる。なにしろ新品の袋ですからね。

最後に書いておきますが、ここで書いた「合唱」とか「将棋」という言葉を「勉強」に置き換えて考えてみてください。

嶋田先生はもう砂は持てません。だからあとは女にモテるようになるくらいしかありません。
なに? そりゃ絶対に不可能だわ! だと?
うっせぇわ! ガタガタ言ってるヒマがあったら「空」で学んだ「砂」の真実を勉強にも応用してみろぃ!

Comments are closed.