SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


大中恩先生のご葬儀とクリスマスコンサート

7日(金)学校を19時30分ごろ退校して新幹線に乗り、22時30分過ぎに東京・新橋に到着しました。
先週の「空ノート」で、クリスマスコンサートでは新たに「朝の讃歌」と「ハレルヤ」を加えて歌いましょうと提案しました。その3日後に大中先生の訃報を受けた嶋田先生は、急遽クリスマスコンサートの最後に「うたにつばさがあれば」を歌うことを決意しました。その時は当然、自分が午前中の指導して本番に備えるつもりだったのです。
しかし、日が経つにつれ、大中先生のご葬儀に行かなくては…という思いが強くなりました。ご葬儀が月曜日~金曜日であるならば学校があるので諦めも尽きます。ところがご葬儀は土曜日(8日・今日)であるとの報道。しかしその土曜日は「空」がある。しかも午後は本番。3曲も付け加えますよと連絡をしておいて自分が本番前の確認をしなくていいのか?メンバーには何と説明する?
しかし「うたにつばさがあれば」オレンジ楽譜の巻末に書いたとおりの思い出が交錯し、最後の最後に大中先生にお礼を言いたい(心の中で)、霊南坂教会でお礼を言わなければ一生後悔する…という思いが勝りました。
急遽、スタッフに自分の思いを伝え、午前中の練習を何とか切り抜けてほしい…と依頼して東京に向かったのです。
9時過ぎに霊南坂教会に到着した嶋田先生は、正午からの葬儀に備えて受付や献花台の準備がバタバタと進む様子を見て、30分ほど外で佇んでいました。
教会の地下にはご遺族がお見えであると聞きましたが「名古屋から来ました。午後には本番があるので大中先生に会うのは今しかありません。会わせてください」などとは、とても言える状況ではありません。
意を決して誰の許可を得ることもなく教会の中に入り、勝手に祭壇の前に行きました。祭壇場ではオルガン奏者がリハーサルをしていました。そのオルガンが響く中、誰もいない礼拝堂の中で、私はたった一人、花に包まれた大中先生の遺影と対面することができました。
約20分、礼拝堂で大中先生と私との二人だけの時間が流れました。初めてお目にかかって指揮していただいたのが1987年(昭和62年)、東海メールクワイアーで親しくお話をさせていただいたのが1993年(平成5年)、「空」のご指導をお願いしますと手紙を書いたのが1996年(平成8年)、第1回の定期演奏会大成功が1997年(平成9年)、その間に銀座の喫茶店で春口先生を交えて3人でケーキを食べたことも、やはり銀座の寿司屋で大中先生と2人だけでお寿司を食べたこと(緊張していて味は今でも思い出せない)も、「空」の先輩たちとのリハーサルも、その本番(幸いなことに全てがCDとして残っています)も。そしてそして、現在もなお「空」は元気で活動を続けていますという報告も。
準備がバタバタと進む受付でおそらくは一番最初の記帳をさせていただき、霊南坂教会を後にした私は10時33分の「のぞみ」に乗り、名古屋へリターンです。

みんなの顔を見た後、本番のステージで立ち位置とマイクロフォンとの調整を確認しました。「うたにつばさがあれば」も「朝の讃歌」も「ハレルヤ」もOKです。何よりも元気なのが良い。嶋田先生は大中先生への思いからとても元気とは言えないのですが、子どもたちは現在に生きている。子どもたちの「生」と大中先生の「死」との狭間でボンヤリしている嶋田先生でした。
クリスマスコンサートの本番は、ちょっと元気がありすぎるくらいで、速くなりがちなテンポ(ピアノ伴奏が無いから当然速くなります)を落ち着かせるのに精一杯。でも、ピアノ伴奏無しで(つまり音の確認・手助けがまったく無い状態で)あの編曲を歌い切る実力には脱帽です。
「うたにつばさがあれば」になりました。会場で聴いているお客様には何も説明をしません。今日が「うたにつばさがあれば」の作曲者の葬儀の日であることを…。それは歌うメンバーが分かっていてくれれば良いと思っていました。

それにしても、あの時、大中先生から「うたにつばさがあれば」の手書き楽譜を受け取った時、まさか大中先生のご葬儀の当日にこの曲を歌うことになろうとは想像もつきませんでした。
しかし、これは「空」がウタの神様から祝福されているのだと思います。大中先生が天へ昇っていかれるその同時刻に、現在を生きている「空」のメンバーの全身全霊を込めて「うたにつばさがあれば」を歌うことができる幸せ。私が天を仰いで指揮していたのは、そのような思いがあったからです。
今日のクリスマスコンサートは、大中先生に「うたにつばさがあれば」を捧げるために神様が采配してくださったとしか思えない嶋田先生でした。
歌ってくださった子どもたちに大感謝です。

今日は湿っぽい話になってゴメンナサイ。来週からは元気にいきましょう。来週も老人ホーム慰問コンサートですね。バッチリ元気よく「文部省唱歌集」を指揮しますよ。
みなさん、力を貸してくださいね。

歌ってくださった子どもたちに、もう一度感謝を捧げます。本当にありがとう。
そして大中先生、ご指導ありがとうございました。

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