SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


合唱団「空」の総力を結集したリハーサルへ
協力をよろしくお願いします

合宿は多くの成果を残して成功のうちに終わりました。参加してくれた子どもたち、そして設定してくださった父母会担当者の皆様に、心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

さて、今日はフェールマミでの練習でしたが、グランドピアノを使っての声の響きの訓練はしませんでした。時間が無限にあれば絶対にやるのですが、来週は湯山先生がお見えになります。だから、まずは湯山先生の前での子どもたちの不安と緊張をいかに軽減するかを考えました。

9時30分から、いきなり「四国の子ども歌」です。全6曲を確認するのに1時間。合宿での成果が生きています。音は良く入っていて、鍵盤ハーモニカでの補助は1回もしませんでした。

今日、言ったことは、「とにかく明るく元気に、生き生きと歌うこと」です。特に、ゆっくりとしたテンポの「かぜかぜ吹くな」「祖谷のかずら橋」「終曲~子守歌~」が暗くなってしまうことがあるので、何度も「明るく」「明るく」と言いました。

もう少し後にしようと予定していたセリフを今日、吐きました。それは「終曲~子守歌~」についてです。

日本の子守歌は、ほとんどが奉公に出された少女が奉公先のご主人様の赤ちゃんを抱いている歌だということは、これまでに何度も記しました。対極的な存在がシューベルトやブラームスなどヨーロッパの子守歌で、それらは本当の母親が自分の赤ちゃんを抱いている歌です。

奉公に出た少女「ねんね ねんねと ソレ叩いて寝さす」

叩かれた赤ん坊「なんで寝らりょか 叩かれて」

この掛け合い、平成の感覚で思うとメッチャクチャ面白いですね。少女が「早く寝やがれ、このクソ赤ん坊。てめえが寝なきゃ、あたいがクソ親父(ご主人様)に折檻(イジメ)されるんだからよぅ」と思って赤ん坊をぶん殴る。それに対して赤ん坊が「何しやがんでぇ、このクソ女。ぶっ叩かれて寝られるわけ、ねえじゃねえかよぅ」と言い返す。

だから、この悲しい少女の運命を思いやって、悲しく辛く、暗い声で歌うのが正解かと言うとそうではない。

とっておきのセリフとは「明るく歌おう」です。この背景は確かに悲しいものですが、それが成立したのは江戸時代です。江戸時代とは、嶋田先生みたいな男が腰に長いナイフを差して、頭のテッペンにカマボコみたいなヘアースタイルを乗せている時代です。そういう時代から、明治・大正・昭和・平成と時代が変遷する中で、この歌を歌いながら自分の赤ちゃんに「この歌はこういう意味なのよ」と歌って子守りをした母親は、おそらく一人もいないということです。

子守歌とは母親が自分の赤ちゃんをあやす歌です。その時は必ず明るく歌う。歌詞が江戸時代から受け継がれてきたものだとしても、その意味を赤ちゃんに伝える必要はありません。だから、日本の子守歌も、シューベルトやブラームスのそれと同じように、全て明るく歌えば良いのです。

歌い手が知っておくべきなのは歌詞の意味です。そして背景。日本の音楽の土壌は、明治になって滝廉太郎によって急速に発展してきたものです。したがって明治以前の音楽の歌詞をどう歌うかは、実際の子守歌の歌い方や、あるいは合唱の形式でコンサートで歌う場合において、歌詞の内容と表現の実際が矛盾します。

みなさんは「本当は、そうなのか」と知っているだけでよろしい。そして歌い方は、明治以降のお母さんたちが実際に自分の赤ちゃんに歌ってきたとおりに(つまり、あなたのお母さんが、あなたに歌ってくれたとおりに)、明るく優しく歌えば良いのです。

「終曲~子守歌~」の場合、最後の最後P50の3段目3小節目で、明るいドミソの和音(実際はレ♯ファラ)になります。湯山先生が最後にこの和音を持ってきて、この音楽を終結させたのは、「明るく歌う」原則をハッキリと示すためだと思います。

11日は6曲を通して、とにかく明るく元気よく生き生きと歌いましょう。お願いします。

 

「名旋律集」は歌いませんでした。これは来週10日(土)つまり前日の練習で歌いましょう。

 

父母会担当者の尽力でアンコールの楽譜を配ることができました。「あめふりくまのこ」「ヨット」「おはよう太陽」の3曲です。

初見の子も当然います。ですが、音を聴く、楽譜から次の音を予想する、聴いた音は1分以内なら正確に再現するという、これまでの練習の成果で、後半の1時間で3曲を終わらせることができました。

特に力を入れたのは「おはよう太陽」のP28下段の3~4小節目(P30下段~P31上段も同じ)の和音構成です。ここは決め所と言うべきで、あやふやに歌っていてはシマリがありません。時間をかけて理想に近いハーモニーを生み出すことができました。

 

来週10日(土)の練習を踏まえて、11日(日)に湯山先生をお迎えします。まだまだ未完成で、初見の子が多くいることは10日の夕食の場で湯山先生に伝えておきます。初見でも自信がなくてもチャレンジ精神が大切です。そう信じます。

合唱団「空」の総力を結集したリハーサルになることを、切に望んで止みません。協力をよろしくお願いします。

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