SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「音のうねり」と「努力」の話

【令和3年6月5日(土)その2】
先週と今週の練習で電子ピアノCasioSA-46を使って「音のうねり」について話しました。
「ラ」の音は440hzです。
440ヘルツとは何かというと、1秒間に440回波ができるということです。
442hzにすると、1秒間に442回波ができるというわけです。
みんなが(先生も)ノドの骨を1秒間に440回ぶつけていれば、その子は正確な「ラ」の音を出しているということになります。
ところが人間は機械ではありませんから、自分のノドの骨を(自分の肉を?)1秒間に440回動かすなどということはできるはずがありません。
プロだって「このくらいかな?」という感じで(悪い意味ではなく)テキトウにノドの骨を震わせているんですね。

だからプロの声だって、クロマティックチューナーで測れば赤ランプ(音がズレてるよ)がついたりグリーンランプ(正確な音ですよ)がついたり、ビミョーにランプがパカパカ点滅します。
ところが、さきほど書いたように電子ピアノSA-46の音をクロマティックチューナーで測ると、ずうっとグリーンランプなんですね。これは当たり前のことでありまして、電子ピアノSA-46は機械(マシーン)なんです。だから筋肉をビミョーに調整することはない。電気の流れで音を出しているだけなんです。

しかし、機械ではありますが、その音程は100%正確です。それはそれは正確に「1秒間に440回の音の波」を作り出してくれます。

では電子ピアノSA-46を100台用意して、完璧な440回の440hzの音を100台で一度に出したとしましょう。どうなると思いますか?

先週と今週、2台の電子ピアノSA-46を同時に鳴らしました。両方とも同じ440hzにした時どうなったかというと、2台鳴らすと確かに音は大きくなったように感じたと思いますが、音そのものは1台しか鳴っていないように聴こえたはずです。音そのものというか、音色には全く変化がない。1台だけ鳴らしても2台同時に鳴らしても、同じ(440hzの)音であれば、マシーンが増えた効果は見られません。100台同時に鳴らしたって同じことです。
全く同じ(コンピュータで測っても同じレベルの)音だったら、チームもクソもないのです。

しかし「空」はチームです。一人一人が生きている。

この一人一人のメンバーが、自分の耳で必死になって「440hzの声を出そう」とガンバるんです。しかし、だれ一人として5秒間ずっとグリーンランプの声を出すことはおそらく不可能です。だから先生は以前「5秒間グリーンランプができたらランチ10回」と書いたわけです(笑)。
人間が肉でできている以上、マシーンのように正確にはいきません。
ある子は時々441hzになり、となりの子は時々439hzの声になるわけです。もちろん正確に440hzの声にもなるわけなんです。
そうするとどうなるか。

今日も440hzと441hzを同時に出して聴いてもらいました。すると1秒間に1回「音のうねり」ができましたね。
440hzと442hzでも同時に出してみました。この時は1秒間に2回「音のうねり」ができました。
439hzと440hzを同時に出しても1秒間に1回「音のうねり」ができます。
この「音のうねり」が人数分重なると、「音のうねり」と「音のうねり」が人数分重なって、その時その瞬間にしか現れない「響き」が生まれます。
これが「そのチームの声」であり「その合唱団の響き」になります。
同じメンバーが1分後に、さっきと同じように声を出そうとしても、そのレベルでは「さっきと同じ響き」にはなりません。その時その瞬間にしか現れない「響き」とはそういう意味です。すごく人間的な話。そのメンバーでしか出せない「独特の響き」になるんです。

ほぉ~う、そうかい。ほいじゃあアタシは5hzくらいズレててもOKだわねぇ
なんて言って、435hzとか445hzを出したらどうなると思いますか?

今日も440hzと445hzを同時に出して聴いてもらいました。みんなは1秒間に5回、手のひらをヒラヒラ振ってくれましたよね。
だれでも分かるんです。小学生のメンバーだって「分かるよ」って手を上げてくれましたがね。5hz違ったら分かりますよ。

さっき書いた「そのメンバーでしか出せない「独特の響き」」の中に5hz違った声が混ざったら…。
気持ちの悪いことになるんです。今日、恒川先生と嶋田先生の鍵盤ハーモニカを同時に鳴らしたらビミョーに音がズレていて、ほぼ全員が「気持ち悪い」と言ったじゃありませんか。あの現象が起きるんです。
その意味では鍵盤ハーモニカという楽器も全面的に信頼はできません。

【まとめ】
◯ 人間はマシーンではありません。肉です(笑)。
◯ 肉だから、どんなに努力しても完璧な音は出せません(笑)。
◯ だけど、完璧な音を目指して努力するんです。ここが大切です。
◯ そのために「まわりの音をよく聴く」のです。
◯ すると、あなたの声は限りなく正確に近くなります。
◯ ただし、完璧な音にはなりません。
◯ ならないけれど、限りなく正確になろうと努力するんです。
◯ となりの子も同じ努力をしています。
◯ あなたの努力ととなりの子の努力が重なって「独特の音のうねり」が生まれます。
◯ その「独特の音のうねり」が人数分重なります。
◯ そうして合唱団「空」の「独特の響き」が生まれます。
◯ その響きはマシーン100台用意しても決して作ることのできない「空」だけの響きです。

☆ このような「努力をする」ことが何よりも大切なことなのです。その「努力」をした結果、ほんの一瞬5hzズレても10hzズレたとしても、それはそれで「温かみのある響き」になるのだと先生は信じています。

よく読んでくれました。ありがとう。
ムダになる努力はない…というお話でした。今日の練習の最初の20分くらいに話した内容を全部バラすと、こういう話になる。この話を全部フェールマミでしていたら、歌をうたっとる時間なんかなくなっちまうからなぁ。

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