【令和6年5月11日(土)】
今日は嬉しいことに5年生の新入団員を迎えることができました。練習の最初から最後まで一緒に入って歌ってくれました。より多くの仲間と一緒に池辺先生の芸術を表現することができることを大変に嬉しく思います。よろしくね。
さて、先週は「もし、りんごの木になれたら」の表現について少し深めました。音程を正しく、歌詞がよく伝わるように…と歌うだけなら(それは、とても大切で、またムズカシイことなのですが)それなりの練習方法があります。しかし、
たえまなく実をつける りんごの木になりたい
という歌詞を
I pray All People in the Earth, be happy.
(私は祈る。地球の全ての人々が 幸せになることを)
とイメージして歌う時、音楽に「生命」が吹き込まれ、人間だけにしか(合唱団「空」だけにしか)できない「生きた音楽」が膨らむのだと、嶋田先生は思うのです。
で、今日は「もし、天気を決める一番えらい係になれたら」を深めようと思っていました。
この曲は1番が「晴れになれ」と歌い、2番が「雨になれ」と歌います。
1番は、てるてる坊主が「あした天気にしておくれ」と言っているからなのですが、「なぜ天気にしてほしいのか」までは分かりません。
でも2番は具体的です。野原の草木たちが「のどがかわいた 水をくれ」と言っているからで、具体的に「誰の」「どんな願い」なのかがハッキリしていますね。
ですから、1番は「ふんわり」「やわらかく」で良いのですが、2番は「誰の」「どんな願い」なのかをハッキリと意識して歌いましょう。
ですが、問題は3番です。
「雪をしらない子がいたら」「白い雪をふらしてあげよう」と歌うのですが、これを
If there is a child who doesn’t know snow
(もし雪を知らない子がいたら)
I will make white snow fall
(私は白い雪を降らせるだろう)
と歌うのではなく、嶋田先生だったら
If there is a child who doesn’t know a mother’s love
(もし、そこにお母さんの愛を知らない子がいたら)
because his mother gave birth to him and died soon after
(なぜならその子の母は、彼を産んでまもなく亡くなったから)
I want to teach him true mother’s love
(私はその子にお母さんの愛を伝えたい)
と歌いたいと思うのです。べつにお母さんでなくても良くて、
(平和を知らない荒れ果てた国の子どもたちが)
(安らぎのある平和な生活ができますように…)
でも良いし、
「空をとんでる気球には」「やさしい風をおくってあげよう」
を
(自分の目標が分からなくなってしまった子には)
(ほら、こっちを目指してみたら?って励ましてあげたい)
でも良いと思うのです。
大切なことは、歌う「空」のメンバーの一人一人が「自分のイメージを持って」「自分のナットクした言葉に直して」歌えるかどうか…です。
「もし、透明人間になれたら」は、この12曲の中で最もイメージが浮かびにくい曲ではないでしょうか。
なぜなら「誰のために」「どんな願いを持って」「どうしたい」のか、ハッキリと示されていないからです。
「昼と夜の間に 雨のインクで こっそり線をひこう」
「風と手をむすんで どこか遠くへ こっそり旅に出よう」
と、これが「透明人間になれたらどうする」という部分なのですが、村田さち子さんのロマンチシズムに溢れていますね。
だから、この曲は本当に自由に想像を広げて良い。一人一人のハートが大切です。
ヒントは1番が「たそがれ」で2番が「夜明け」だということでしょう。
嶋田先生的には
(透明人間になったら)(コッソリみんなの背中に回って)(がんばれ、負けるな…といつも応援しているよ)
みたいなイメージになります。みなさんはいかがでしょうか。
「もし、動物語がしゃべれるようになったら」は1番と2番がホトンド同じです。でも1番と2番では「主人公(つまり歌う人)の心の動き」がゼンゼン違います。
まず、楽譜の後ろの12曲の歌詞を見てほしいのです。12曲の歌詞にラインを引くか、マーカーで引いてみてください。
どこに引くかというと、「主人公(つまり歌う人)の心のセリフ」に…です。詩の中の主人公が思ったり言ったりしている部分に「 」をつけてみてごらんなさい。
そうすると、1曲目「アフリカ象の耳より…」は歌詞の全てに「 」がつきます。
と言うか、9曲目の「もし、天気を決める…」まで、歌詞の全てに「 」つきます。つまり1曲目から9曲目の歌詞の全てが「主人公が思ったり言ったりしている部分」であって「ここは街です」「空が晴れました」などという説明の部分はいっさいありません。
わずかに10曲目「もし、透明人間になれたら」だけに
「たそがれが静かに翼を広げはじめて」「夜明けがすっかり雨を拭い去って」
というアナウンサーの状況説明があります。いやいや、この部分も「主人公が思ったり言ったりしている部分」のような気がしますねぇ。
ところが一転して「もし、動物語がしゃべれるようになったら」は状況説明ですね。ニュースのアナウンサーが
「臨時ニュースです。今日、名古屋の国際会議場で世界中の動物たちが集まって会議が開かれました。そこではシマウマ・キリン・サルの代表が次のように述べました。」
と言って、テレビの画面にサルの代表が映って
「われわれから森をうばった奴を探せ。そして裁判にかけろ」
などと怒っている。そんなニュースの状況説明です。
「主人公が思ったり言ったりしている部分」は1番も2番も最後の2行だけです!!
1番は、その動物国際会議の中に主人公が入っていきます。ただし、主人公は1番の時点では、まだ自分が人間であることに気付いていません。自分を動物の中の1種類だと思っています。だから
「森をうばったのは誰だ?」という声に対して、会議に出ている人間の代表を指さして
「あいつ!あいつ!あいつが一番悪いやつだ!」
と叫びます。以下
「仲間うばったのは誰だ?」に対して「あいつ!あいつ!」
「自由うばったのは誰だ?」に対して「あいつ!あいつ!」「それは人間だ!」
と好き勝手に叫びます。
ところがP48の3段目の3~4小節目で会場中の動物たちからニラまれて、自分も人間だって気付いたのでしょう。「もし、通訳になれたらゴメンナサイ」というセリフが初めて出てきます。
2番。会議が進みます。次の議題は「強さ」についてです。
「世界でいちばん強い動物は?」
これに対して主人公は調子にのって
「オレだ!オレだ!」
と叫びます。そして
「世界でいちばん賢い動物は?」
にも調子にのって「オレだ!オレだ!」と叫びます。
次の議題をよく聞いていなかった主人公は、またしても調子にのって「オレだ!オレだ!」と叫んだのですが、3番目の議題は「世界でいちばんワガママ動物は?」でした。
主人公は青ざめます。
世界中の動物たちから「それはニンゲン!」「それはおまえだ!」と指を指されて、主人公は泣きながら
「もし、通訳になれたら、ナカヨクシヨウって言えるのに」
おわかりでしょうか?これが音楽の中に込められている物語です。
みなさんは、どんな声で歌いますか?
それにしても「もし、動物語がしゃべれるようになったら」は12曲の中でも際だって異質です。10曲目まで「みんなのために」と歌っていた主人公がコテンパンにやっつけられるのですからね。
そして主人公の中に変化が生まれます。
「みんなのために」「どうするか」
ではなく
「自分自身が」「どうあるべきか」
という変化であり成長です。
そして、その成長が「あこがれ」へと連結していくのです。