本気で真剣に聴く

【令和7年5月17日(土)】
 そろそろ中学校や高校ではテスト期間に入る学校もあるので、今日はちょっと少なめのメンバーです。でも、非常に効率よく、また有意義な練習ができたことを非常に嬉しく思います。
 まず最初に、今日は鍵盤ハーモニカを二つ用意しました。最近買った鍵盤ハーモニカはフェールマミに置いてあるので、今日は家に置いてある少し古い鍵盤ハーモニカを持っていったのです。
 まず鍵盤ハーモニカAで「ゆうやけこやけ」を、次に鍵盤ハーモニカBで「ゆうやけこやけ」を吹きました。
 どちらも吹いている人が上手なので(笑)、とてもキレイに聴こえます。(ホントかよ?)
 ところがAB二つの鍵盤ハーモニカを同時に吹くと、ある音では音が波打つように震えて聴こえました。また他のある音では全く波打つことなく震えもしないで真っ直ぐに聴こえました。
 同じ音を出しているのに音が波打って震えて聴こえるのはなぜか。
 それはAの音とBの音がビミョーに違うからです。たとえば「ラ」の音は1秒間に440回震えているから「ラ」の音になるのですが、鍵盤ハーモニカAが1秒間に440回震えていて鍵盤ハーモニカBが439回震えていたとすると二つの音は波打って震えて聴こえます。
鍵盤ハーモニカBが1回分、音が低いからそうなる。
 まずは、みんなに「この二つの音が波打って震えていることが分かりますか?」と質問しました。すると全員が「分かります」と手を上げてくれます。
 言い忘れていましたが、これが二つの鍵盤ハーモニカだから、まだマシですけれども、十本の鍵盤ハーモニカを同時に吹いて、その十本の音が全部ビミョーにズレていたら、どんな現象が起こるか想像してみてほしいのです。
 で、みんなに言いました。
「鍵盤ハーモニカは機械だから音がビミョーにズレていても直らない。でも、みんなは人間だから、自分の声がビミョーにズレていても、それを聴いて、歌いながら修正することができる。人間なのだから。だから、ね。音を本気で真剣に聴きましょう」
 そこから今日の練習がスタートしたわけです♪

 思うところあって、今日は曲集「七つのあそびうた」から6曲目の「どこまでとどく」と7曲目のこうもりひらり」を中心に歌おうと思っていました。たぶん今までに一度も練習したことがなく、つまり全員が初見(しょけん・初めて見ること)の楽譜です。
 「どこまでとどく」は以下のような構成になっています。
5~20小節目 A
25~36小節目 B
41~56小節目 A´
61~72小節目 B´
77~101小節目 終結部C
 AとA´は少しずつ違うように見えますが使われている和音が全く同じでメロディー兄弟です。その証拠は二つあって、証拠①は二つのグループでAとA´を同時に歌っても大丈夫。「証城寺とカタツムリ」みたいなものです。証拠②は楽譜を見れば分かりますがピアノが全く同じなのです。
 BとB´の関係も同じことです。
 このことを先に説明して練習したものだから(たぶんそのオカゲだと思う)みんなは曲の構成を理解して非常に効率よくアッという間に音取りを完了させてしまいました。
 いや、曲の構成を理解したことも大切でしたが、お互いの声とピアノの音を本気で真剣に聴いて歌ったからかもしれません。

 「こうもりひらり」は13~20小節目を、ソプラノを歌ってメゾソプラノを歌ってアルトを歌って4回目に自分のパートを歌う…という要領で、ハーモニーを作る感覚も大いに高まりました。
 非常に効率よく進みました。実は嶋田先生は、この2曲だけで12時になると予定していたのですが、11時までに「どこまでとどく」と「こうもりひらり」を完了してしまいました。

 休憩の後は、みんなが作ってくれた時間です。ありがたいことです。よっぽど5曲目の「いしっころ」を歌おうか…と思いましたが、5月31日の春日井ゆめいっぱいコンサートがあるので「鳥が」を練習することにしました。
 春日井ゆめいっぱいコンサートは、まがりなりにも響くホールでグランドピアノもありますから、モリコロパークコンサートのように歌うのではなく少し丁寧な歌い方にしたいです。
 やったことは一つだけ。それは「みんなで音を聴き合って正確で美しいハーモニーを作る」ことに尽きました。
 まさしく、練習のスタートでメンバーに言った「音を本気で真剣に聴きましょう」という話が的中した内容でした。
 「トゥララ」の部分を歌い始めて一番盛り上がるところで止めてハーモニーを確認するとビミョーに音がズレてしまってなかなか美しいハーモニーを作ることができません。2回、3回とやり直しても、少しずつ良くはなるのですが100点のハーモニーにはならなかったね。

 しかし、ここで特筆(とくひつ・特別に書いて記録すること)するべき点が二つありました。
一つ目は、何度も何度も繰り返して練習して「う~ん…、まだまだだ。もっと良くなる」「う~ん、80点。まだビミョーにズレてる」と指摘したのに、みんなの顔が少しもイヤがっていなかったこと。マジで同じ練習を5回も6回もシツコク繰り返したのだから、少しくらい「え~っ、またぁ?」などという表情になるのがフツーです。だけど、だれもそんな顔をしていない。嶋田先生が気付いた「ホンの少しのビミョーなズレ」をメンバーも気付いていたからだ…と、今、思っています。
 これは本当に素晴らしいことで、「そういう耳になれ」と口で何回言ってもならない。みんなが「そうなろう」と本気で思わない限り絶対にならないことです。だからとっても嬉しかった。
 二つ目は、小学校の授業が45分であるように「空」の練習時間にも限りがあるわけで、何よりも大切なことは1時間の授業の中で全員が100点になることなんてありえない…ということです。数字はデタラメですが、今日のこの練習は70点、80点、85点、90点という感じで確かにレベルは上がっていきました。それは確かです。ただ、12時までに100点にならなかっただけで、みんなの力は確実に高まりました。確実に。
 1時間の授業でクラス全員が50m泳げるようにしたいけどそれは無理。でも50m達成の子が増えて、20mの子が30mになり、5mの子が7mになれば良い。それが授業だ練習なのだ。
 担任だった時、クラスの子にいつも言っていた話です。
 今日の練習で、嶋田先生は「担任だった時の情熱」を思い出しました。みんながその「情熱」を思い出させてくれたのです。
 嶋田先生にとって本当に久しぶりの「幸せな時間」だったのですよ。ありがとう。

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