【令和6年10月27日(日)】
ありがとうございました。メンバーの子どもたち、父母会のみなさま、サポーターのみんな、内匠先生、今木先生、そして池辺晋一郎先生。
第28回定期演奏会に向けてのプロジェクトに力を添えていださった全ての関係者のみなさまに、心から感謝を申し上げます。
26日(土)の池辺先生リハーサルから27日(日)の本番ステージまでに何が起こったか、改めてノートに書く必要はありますまい。26日の成果は全て27日午前のゲネプロに生かされ、その成果は午後の本番へと完璧に生かされました。
その、完璧に生かされた成果が、どのような「夢と黄金の時間」であったのか、それはステージに立った全てのメンバーと聴いておられた全ての父母会のみなさまの心に深く刻み込まれたことと思います。
しかし、一つだけ記録しておくならば、それは
○「夢と黄金の時間」がなぜ生まれたかというと
○それまでにメンバーが重ねた
○苦しい練習の積み上げがあったから
ということです。
世の中には土曜日の午前中に寝ている子や遊んでいる子がいるでしょう。メンバーだって「空」に入る義務はないし、練習する責任もありません。
それでも「空」のメンバーは何かしらの理由と意思で「空」という空間を選び、相当な時間を投入して相当な練習を積み上げた。
その練習は(いかに嶋田先生が努力をしても)毎回毎回が決して楽しいものであるとは限らず、むしろ苦しい時間の連続であったはずです。
その「苦しい練習」と「苦しい時間」を経験したメンバーにのみ、あのような「夢と黄金の時間」がやってくるわけです。寝ている子や遊んでいる子には決して味わえない時間ですね。
この真実を、メンバーには大人になっても忘れずにいてほしいと思うのです。大人になるまでに、そして大人になってからも「苦しい時間」というのは必ずやってきます。その時に「苦しいから」と言って止めてしまったり逃げ出してしまったりするのではなく、その「苦しい時間の未来」に何があるのか、それを見通す目。
その「未来を見通す目」を持っている子のことを「強い子」「強い人間」と呼ぶのだと嶋田先生は信じます。
あとは付け足し。おもしろい話ですから興味のある人だけ読んでください。
10月12日(土)の練習で「ひらいたひらいた」の練習をしていた時のこと。
P20の4段目、練習番号Fのファの音が決まらない。大学生サポーターのSさんから「ファの音が分からない~!」という悲鳴(つぶやき?)も漏れました。時間が来たので音が決まらないまま練習終了。
翌週19日は今木先生の最終リハーサルだったので「ひらいたひらいた」の練習はなし。
次の20日に池辺先生から「三つのわらべうた」を聴かせてください…とトツゼン言われて、何とか歌い通したものの練習番号Fは撃沈(げきちん)。
26日の午前。池辺先生がお見えになるまでに何をやったか。
これは「空」にとっても嶋田先生にとって歴史に残る「賭け」でした。何を言ったかというと
「子どもというものには「絶対音感」っちゅうものがあるんですよ!!!」
と言い放ちました。「絶対音感」とはピアノの音も何もない時にファならファ、ソならソの音がノーヒントで分かる…という力のことです。
これはプロの音楽家ならたいてい持っている力です。
少しくわしく書くとファの音は349.228ヘルツ。ソは391.995ヘルツ。ラの音が基準で440ヘルツです。ヘルツというのは小学生にも分かりやすく乱暴に言うと「1秒間に何回たたいたか」ということで、1秒間に440回拍手をするとその拍手はラの音になります。
ハチとかカが飛んでくるとブーンとかプーンとかの羽の音がしますが、ハチは1秒間に約200回ほど羽ばたいているので、問題の「ひらいたひらいた」のファの1オクターブ低いソか♯ソあたりの音です。ハチの羽の音って低いでしょ?
正確にファの音を出すためには、みんなのノドを1秒間に349.228回震わせれば良いのです。これが「絶対音感」です。
「子どもというものには「絶対音感」っちゅうものがあるんですよ!!!」
と言い放った嶋田先生の言葉が正しければ、ピアノの音も何もなしで「空」の子は1秒間に349.228回ノドを震わせれることができる…ということになります(笑)
これは賭けでした(笑)。
上手くいけばメンバーは「おおっ」と感激して大きな自信を付けることでしょう。
しかし上手くいかなくて音がハズレたらメンバーはガッカリして自信をなくして、そのガッカリのまま池辺先生を迎えることになります。
「子どもというものには「絶対音感」っちゅうものがあるんですよ!!!」
「さあ、やってみろ!」と言った。
嶋田先生は「おそらくうまくいく」と思っていました。しかしそれは「おそらく」であって、うまくいく確率は8/10くらいと思いました。
うまくいけば大きな自信になります。しかし2/10の目が出て失敗したら定期演奏会が破滅するくらいのダメージになります。
おそらく上手くいくでしょうけれども、ヘタしたら破滅。ここは今までの練習とそれによって高まったであろうみんなの力に賭けました。
「さあ、やってみろ!」と言って、ノーヒントでファの音を出させたのです。
結果はメンバーもご存じのとおり上手くいきました。26日はフルメンバーではなかったので27日当日の朝にも同じことにチャレンジしましたが、上手くいきました。
それで本番での「ひらいたひらいた」が生まれました。
けっこうな賭けでしたよ。すごく勇気が必要でした。
嶋田先生は言うこともやることもアホみたいですが、時々すごく悩んで、すごく迷って、「どうしようか。何をするべきなんだろうか」と苦しむこともあります。
この令和6年10月26日の「ノーヒントでファ」は、今までの「空」の練習で最も迷って最も悩んで実行した「最大の賭け」でした。
定期演奏会の成功のカゲにあった裏話です
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