SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


本当のチームワーク

【令和4年1月8日(土)】
あけましておめでとうございます。
とは言えオミクロンちゃんが心配ですね。特に受験生は大変でしょう。勉強だけではなくコロナにも神経を使い、ご家族の配慮も想像に余ります。
そもそも10月31日が本番だった定期演奏会を1月にやるなんて、「空」始まって以来の変則スケジュールだし(去年は4月4日だったけど受験はもう終わっていた)、だから今日を含めて新実先生の練習日でさえ参加できないことは当たり前です。
受験メンバーが本番で加わった時、どうすればそのメンバーを助けることができるか。そこがポイントになります。
受験メンバーや体調不良の子を助けようと思ったら、自分がしっかりした土台になってあげることです。それしか方法はありません。
自分が土台となって、グラグラしない柱になって支えていく。合唱の言葉で言えば、まわりのメンバーが可能な限り正確な音程となって、まわりのメンバーが可能な限り歌詞を覚えて、まわりのメンバーが可能な限りの美しいハーモニーを作って、それで受験メンバーや体調不良の子を包み込んであげる。
これが本当のチームワークです。
チームワークとは「お互いに支え合う」ことです。
「お互いに支え合う」ということは「支えること」もあるけれど「支えられる」こともあるということです。
「支えること」ができるということは、支えるだけの実力を身に付けなければなりません。支える実力もないのに「支えてあげるよ」なんてのは嘘(ウソ)です。
今日の練習は、もちろん音程や歌詞を確認し表現を確認して参加できたメンバーを高めることが目標でしたけれども、その先を考えていました。つまり参加できたメンバーの高まりを、参加できないメンバーを支えるための土台にできるか。そのことを考えていたわけです。

というわけでラインで回しておいたように、まずは第1ステージの「湯山先生の童謡集」を確認しました。
曲順を確認しておきます。
①歌の広場
②あめふりくまのこ
③地球はひまわり
④夏の日
⑤おはよう太陽
⑥夕やけのうた
⑦いま生きる子どもマーチ
⑧くじらの子守唄
です。急→緩→急→緩という順番になっていますが、特に急の曲すなわち「歌の広場」「地球はひまわり」「おはよう太陽」「いま生きる子どもマーチ」の4曲は躍動感(やくどうかん・跳びはねるような動きのある感じ)が大切です。生き生きと元気よく。
一方、緩(かん・ゆるやかなこと)の曲は明るい声で。決して暗く沈んだ声にならないように。
「くじらの子守唄」は嶋田先生のイメージでは「天国にいるお母さんからの応援メッセージ」なのですが、だからこそ明るい声で「お母さんに答えるように」歌いたい。みんながどんなイメージを抱いているかは分かりませんが、どんなイメージにせよ明るい声で歌い上げたいものです。
そのように歌ってくれれば、久しぶりに歌う受験メンバーや体調不良の子を包み込んであげることができるはずです。

午後は曲集「やさしい魚」の確認。一人一人に「どの曲の」「どの部分の」「何が不安か」を言ってもらいました。
「なんとなく」「歌詞が不安」という答えもありましたが、その時には
作詞:吉川静夫、作曲:渡久地政信で青江三奈という歌手が歌った「長崎ブルース」という名曲を歌ってあげました。

♪逢えば別れが こんなにつらい
♪逢わなきゃ夜が やるせない
♪どうすりゃいいのさ 思案橋
♪丸山せつない恋灯り
♪ああ せつない長崎ブルースよ

まぁ、しかし「どうすりゃいいのさ」とばかりも言っていられない。歌詞が不安なら歌い込むことです。「ジョギングの唄」も「天使」も徹底的に楽譜を見て歌った後で楽譜を見ないで歌うことに取り組みました。
聞いてみたんだけど、楽譜を見ないで歌って「間違えた」という子はいなかった。もう自分の「感覚」を信じて良いと思いますよ、みなさん。
しかし「楽譜を見ないで歌っても歌詞を間違えない」ということは、久しぶりに歌う受験メンバーや体調不良の子を包み込んであげることができるはずです。そうじゃありませんか?

「鳥が」では「歌い慣れているんだけど、だから変なクセがついちゃっていて、楽譜に書いていないのにクレシェンドしちゃう」なんていう「不安」が出てきました。
これはですねぇ、嶋田先生が悪いんですよ。嶋田先生は「イメージ人間」なので「楽譜に忠実に」というよりも「自分のイメージ」で表現を作るってことがあります。以前(第23回定期演奏会)歌った「鳥が」は、良い悪いは別として、まさに嶋田先生の「鳥が」だったわけです。
その表現が「クセ」になっていて…というのは嶋田先生にとっては嬉しいことなんだけれども、作曲家が指揮をするとなると確かにジャマになることでしょう。
まぁ、これは仕方がないよ。指揮者ってのは多かれ少なかれ「自分の感性による表現」で勝負する商売であり、その「自分の感性」が多くの人に受け入れられればその指揮者は一流。名指揮者がベートーヴェンを指揮する時、お客さんが集まるのは「カール・ベームの「運命」が聴きたい」「小澤征爾の「田園」が聴きたい」と思ってお金を払うわけですからね。

「変なクセがついちゃって」と言われた嶋田先生は嬉しかったよ。
だけど嶋田先生は身に染みて知っています。
嶋田先生の学校が初めてNHKコンクールで全国大会に出たのは1989年のことでした。
そして東海メールクワイアーに初めて作曲家・石井歓がやってきたのが1990年、高田三郎がきたのが1991年、大中恩がきたのが1992年だったのです。
それぞれの作曲家の作品を作曲家自身の指揮で歌ってみて、「あっ、こりゃかなわない」と思いました。指揮者として「いかに勉強し研究しようとも、その曲の作曲家本人にはかなわない」と実感しました。
合唱団「空」を立ち上げたのが1996年。その第1回定期演奏会から大中恩先生にお願いしたのも、その経験があったからです。
みんなも身に染みて実感したでしょう?新実先生の作品に関する限り、新実先生と嶋田先生とでは1億倍も100兆倍も面白さが違うってことを。
おっと、また脱線しちまったな。
ここでまた「長崎ブルース」です。♪ど~うすりゃ~いいの~さ♪

まぁ、しかし「どうすりゃいいのさ」とばかりも言っていられない。変なクセがついているなら作曲家自身の指揮をよく見て歌うことができるように歌い込むことです。で「鳥が」も徹底的に楽譜を見て歌った後で楽譜を見ないで歌うことに取り組みました。
聞いてみたんだけど、楽譜を見ないで歌って「間違えた」という子はいなかった。もう自分の「感覚」を信じて良いと思いますよ、みなさん。
しかし「楽譜を見ないで歌っても間違えない」ということは、久しぶりに歌う受験メンバーや体調不良の子を包み込んであげることができるはずです。そうじゃありませんか?

今日の後半でやったことは、みんなが「新実先生の指揮をよく見て歌うこと」ができるように準備をした…ということに尽きます。
もしも、今日のメンバーが「新実先生の指揮をよく見て歌うこと」ができるようになったのなら、それは久しぶりに歌う受験メンバーや体調不良の子を包み込んであげることができる実力が高まったということです。そうじゃありませんか?
それこそが本当のチームワークです。そうじゃありませんか?

Comments are closed.