SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


再び「本当の音楽」

【令和3年11月13日(土)】
学校行事や検査・部活動などご苦労様です。
今日も、練習に来たくても来られない仲間のために、集まったメンバーでガンバリました♪
いやいや、ホントは「自分のために」ガンバっているのですが、「自分のために」ガンバルことが「仲間のために」なるってところが合唱の素晴らしいところです。
合唱というスポーツ(つまり競技または種目)にはレギュラーも補欠もありません。コンクールなどの特殊なケースを除いて、基本的には全員がレギュラーメンバーです。
同じチームの中で二人のピッチャーがいれば、その二人はレギュラーポジションの取り合いになり、つまり同じチームの中でライバル関係が成立します。その「ライバル関係」の成立が悪いことだとは言いませんが、どんなに工夫をしても努力をしても試合で投げるのは(途中で交代することはあっても)一人だけです。
ところが合唱というスポーツは、その二人のピッチャーが(二人のソプラノが)同時にマウンドで投げることができる。二人だろうと三人だろうとオッケーで、多ければ多いほど良い。しかもお互いのフォームの狂い(音程の狂い)や投げるタイミング(発音のタイミング)を聴き合うことで修正し補い合うことができる。これは野球やサッカーには有り得ない合唱だけの魅力ですね。
前置きが長くなりました(嶋田先生の悪いクセだ)。今日も湯山先生の童謡シリーズを確認したのですが、先週とは比較にならないほど響きが安定してきました。音楽が「自分のもの」になってきて、自信を持って歌っているのが分かります。
ただね、楽譜の見過ぎなところはあります。もう少し「自分の頭の中にある音楽」を信じて歌っても良いのになぁ…と感じる部分はありますが、初めて歌う曲があるメンバーもいるので嶋田先生が感じることはレベルが高すぎるのかもしれません。
失敗しても誰も笑いませんし間違えたって誰も怒らない。それが「空」の練習です。歌詞なんか半分くらい覚えていれば十分なので、ドンドン楽譜を見ないで歌ってみてください。
先週と違うポイントは歌う曲順を決めたことです。これは子どもたちではなく嶋田先生が決めました。以下のとおりです。
①歌の広場
②あめふりくまのこ
③地球はひまわり
④夏の日
⑤おはよう太陽
⑥夕やけのうた
⑦いま生きる子どもマーチ
⑧くじらの子守唄
なぜ、このようにしたかと言うと、「白いうた青いうた」がいずれも8曲でセットになっているから、それに合わせるとカッコいいかな…と思いました。そして湯山先生の名曲「コタンの歌」も8曲なのですが急→緩→急→緩という順番に並んでいるので、それを踏襲(とうしゅう・受け継ぐこと)しました。
みんなが曲集「ねむれないおおかみ」と「イルカの翼」からアンケートした上位は7曲でした。「くじらの子守唄」はいずれの曲集にも載っていない曲ですが、ここは湯山先生の言葉を紹介しておきます。

「阪田寛夫さんのユニークな詩による「くじらの子守唄」は、くじらのための鎮魂の歌のような気がして、この歌を私はこよなく愛しています。
子どもの歌は「小宇宙」だと私はいつも思っています。私たちの宇宙が日に日に膨張(ぼうちょう・膨らみ拡がること)を続けるように、子どもの音楽はその膨張を未来にむかって続けるでしょう。私は固くそう信じています。」

作曲者ご自身がこよなく愛する「くじらの子守唄」は曲集「ねむれないおおかみ」「イルカの翼」に載っていないので、曲集からのアンケートという手段を取る限り絶対に選ばれない曲でした。まぁそこは指導者の権限で決定・挿入したということで理解してください。

欠席者からのメールには「今日のソラノートをよく読んで書かれていることを家で練習します」というものもありましたが、注意するべきポイントはありません。今日、メンバーに伝えたことはゼロではありませんが、紙に(ノートに)書いて伝えられることではありません。
では、どうすれば良いかと言うと、先週・先々週も書きましたが「楽譜を見ること」です。楽譜を見ながら頭の中で「音楽を鳴らす」のです。だからこれは、テレビを見ながらでは不可能です。静かな場所で(自分の机に座ってでOK)集中して、頭の中で歌ってみる。するとその表現は、詩人と作曲家と自分だけの表現になります。その表現を嶋田先生は「本当の音楽」と呼びます。
これは前回はカンタンそうに書きましたが、もちろんカンタンにできますが、嶋田先生が家で楽譜を見てやっている作業と同じレベルにするのは大変なことかもしれません。プロのオーケストラの指揮者がベートーヴェンの楽譜と対決するレベルになると、とてつもないレベルの作業になることでしょう。
だから、やってみるのです。自分の能力と感受性の全てを使って。自分にできるかぎりのレベルで。プロの指揮者のレベルでなくても良いから、自分にできる最高のレベルでやってみるのです。
それは、プロの指揮者がベートーヴェンと対決してやっていることと同じ作業ですから、トレーニングの方向性は絶対に正しい方法です。
小学生なら小学生なりに、中学生なら中学生なりに。ただし「自分の能力と感受性の全てを使って、自分にできる最高のレベルで」です。
これができたなら、あなたは「本当の音楽家」です。これは年齢には関係ありません。

おっと忘れるところだった。
今日は非常に効率よく練習が進んだので(「うたにつばさがあれば」と「わたりどり」も歌ったから全部で10曲だ)、内匠先生がごほうびをくださいました。
フランツ・リストの名曲「ラ・カンパネラ」です。これは数あるピアノ曲の中でも最高難度で、「ピアノの魔術師」と呼ばれたリストの最高傑作です。
これをピアノを囲んで、内匠先生の指を間近に見ながら鑑賞しました。コンサートでは有り得ない至近距離で指の動きから響く音を目と耳で直接に聴きました。
内匠先生、ありがとうございました。

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