SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


きっと勉強もハカドルはず

【令和3年7月24日(土)】
夏休みに入りました。コロナの心配は続いていますが、みなさん良い夏休みになることを祈っています。
さて、先々週から決まったパートでハーモニーを作る練習をしています。
どのパートを受け持つか決まっていない状態で全部のパートを歌うという6月までの練習は、いわば「合唱の基本の力」を高めるものです。
受け持つパートが決まっても、もちろん全部のパートを歌うのですけれども、やはり目的地がハッキリしている(つまり自分のパートが決まっている)と、自分のパートを生かすために他のパートを知っておく…ということになります。形は同じことをやっているように見えるでしょうが、「合唱の基本の力」を高めながら「自分のパートを生かす工夫をする」という、2倍の効率になっているわけなんです。
4連休ということもあって今日も欠席の連絡が入っていました。先週も先々週も欠席のメンバーがいます。
先々週・先週・そして今日と、同じメンバーが欠席していれば話はカンタン(その子は困るでしょうけれども)なのですが、当たり前のことですが欠席メンバーは毎回変わります。
したがって、先々週・先週に歌った曲を、先々週・先週に欠席しなければならなかったメンバーのために1回ずつ通しておきます。その後に「今日の曲」を練習する。そうすれば、完全ではないかも知れませんが欠席メンバーをフォローすることができるでしょう。
と言うことは、来週はフォローする曲が増えるわけなんです。再来週はもっと増えます。大変ですけれども、だんだん歌える曲が増えていって面白さが増えていきます。先生にとっても楽しい時間です。

前置きが長くなりました。だから今日は先々週・先週のフォローとして「薔薇のゆくえ」「忘れ雪」「火の粉」「なぎさ道」「とげのささやき」「われもこう」「就職」の7曲を歌いました。1回ずつしか歌わなかったので「もっと歌いたい」と思った曲があるかと思いますが、来週も再来週も1回ずつ歌いますから心配しないでください。
この7曲、もちろん細かい部分には補強(ほきょう)しなければならない部分がありますが、それは日帰り合宿でやります。日帰り合宿を効率良く楽しいものにするために、とにかく歌い込んでおきましょう。歌詞を覚える、自分のパートを覚える、相手のパートを知っておく。これさえシッカリしていれば、日帰り合宿で表現を作ってしまいますから。それを新実先生に聴いていただく!!!!
何だかメチャメチャに「泥縄」ですが、ドロナワができるっていうことはある意味スゴイことです。ドロナワができるための「合唱の基本の力」を6月までに作っておいた…というわけです。
それに、7曲で出てきたサウンドは少年少女が歌っているドロナワにしては上出来って言うか、なかなかのレベルでしたよ。7曲を連続で1回しか歌わないという状況で、鍵盤ハーモニカの補助があるとは言え、なかなかの「新実サウンド」が響きました。
ウソだと思ったら、当番で来てくださっていた父母会のオカアサンたちに聞いてみてください。
「1回だけの7曲連続、どうでしたか?」って。

さて、本日のメイン(フォローではない新しい曲)は「卒業」です。この曲は名曲です。新実先生の代表作と言っても「Nо」と反論する合唱ファンはいないと思います。何と言ってもメロディーが甘くて美しい。
そのメロディーを最初から最後まで受け持つのがソプラノなんですが、今日のソプラノメンバーは耳が鍛えられていて、本能的にメロディーを甘く美しく歌っていました。もっとガンガン歌って良いですよ。元気にバヒョーンと歌いまくりましょう。今は積極的にオールフォルテで歌った方が早く上手になります。なぜかと言うと、ハーモニーが身体で分かるから。
それでもって、どこをどのように甘く美しく表現して歌うか、その練習は日帰り合宿です。
2番に入るとメゾソプラノは最初から最後まで「ライライライ」です。これは伴奏(伴唱という言葉はない)ではありません。非常に甘く美しく、第2のメロディーと言えますね。対旋律(たいせんりつ)あるいはオブリガートと言いますが、新実先生のオブリガートは日本一です。世界一と言っても良い。「卒業」のオブリガートのような「美しいオブリガート」は嶋田先生の知る限り、バッハの数々の名曲にあるだけです。
今日のメゾソプラノメンバーは元気にバヒョーンと歌ってくれました。良かったと思います。そうしてハーモニーを身体に沁み込ませておきます。このオブリガートをどのように歌うか、その練習も日帰り合宿です。
アルトパートは2番も3番もメロディーになったりソプラノとハモるハーモニーを作ったり「ライライライ」のオブリガートになったりと、カメレオンのように色がクルクル変わります。普通のトカゲみたいにずっと同じ色でいるのではなく、場面によって緑色になったり茶色になったりしましょう。
(生物学者がこのソラノートを読むとイケマセンから本当のことを書きますと、実際のカメレオンは色が変わるのではなく、色が薄くなったり濃くなったりするだけなんですけれども)
今日のアルトメンバーも元気にバヒョーンと歌ってくれました。良かったと思います。そうしてハーモニーを身体に沁み込ませておきます。このカメレオンをどのように歌うか、その練習も日帰り合宿です。
ボッティチェルリは今から600年ほど前(15世紀)のイタリア・フィレンツェの画家です。「ヴィーナスの誕生」というウルトラ有名な作品がありますが、卒業と何の関係があるのかは別のソラノートに書きます。

これで曲集「われもこう」を全部歌いました。来週からは毎回、全曲を1回ずつフォローして歌っていきます。

次はよっぽど曲集「ぼくは雲雀」に入ろうと思ったのですが、先に曲集「やさしい魚」に入ることにしました。結果、後半を全部「感傷的な唄」に投入することとなり、今日のメイン(新曲)は「卒業」と「感傷的な唄」の2曲となりました。
ようするに「感傷的な唄」をはじめとして「ジョギングの唄」も「天使」もホイホイと歌える曲ではない。曲集「やさしい魚」から始めたのは賢明な(けんめいな・お利口な)判断だったと思います。
「感傷的な唄」の詩(イメージ)については以前のソラノートで詳しく書きました。また読んでおいてください。
ここでは表現のためのポイントを書いておきます。楽譜にエンピツで書き込んでおくと良いと思います。
◯ 5小節目からのmpは、全力で音程に気を付けて。「信じることができた」まで耳の集中(正確な音程)が必要です。
◯ P8「ふいに思い出す」の「だ」は柔らかく。P9「小鳥の歌に」の「た」も柔らかく。
◯ P10上の段の「Hum.」は大きくならないで。柔らかいp(ピアノ)を保って。
◯ P11「体温計のケースにしのばせて」は大切に歌う。スラーを見落とさないで。
◯ 特に「ケース」が「ケエス」と聞こえないように注意する。
◯ 「手渡そうとした」のmfと「恋文」のmpをハッキリ表現する。
◯ 次のメゾソプラノとアルトの「Hum.」は「恋文はー」の「ー」と自然につながるように。つまり「ァ」と「ゥ」との境目をなくすように。
◎ P12下の段の「とんできた」はトンカツの「トン」すなわち「豚」が「出来た」と聞こえないように。
○ P13上の段の「よく話をしていたし」は絶対に切らない。「よく」「話をしていたし」はダメ。
◯ 「話をしていたし」の「て」を美しく。「思い出す」の「だ」と同じ。
◯ 次のメゾソプラノとアルトの「いたし」の「し」は次の「Hum.」と自然につながるように。つまり「ィ」と「ゥ」との境目をなくすように。
◯ P13下の段の「ベンチには」の「ベ」は急に大きくならないで。クレシェンドしてからmfになるように。
◯ P14上の段の「陽に光っていた」はアクセントを生かしてハッキリと。テンポはゆらめきます。ffからpまでの流れをいかに自然に歌うかが勝負。
◯ P15「死んでしまって 肉体もすっかり滅びても 私のもう此の世のものではない 耳に」はブレス(V)と四分休符で必ず切る。「肉体もすっかり滅びても」は絶対に一息でワンフレーズ。「私のもう此の世のものではない」も絶対に一息でワンフレーズ。ppから「美しい」のffまでをいかに自然に歌うかが勝負。
◯ P16の「美しい歌だけが」は本当に心から丁寧に。たっぷりと歌う。だけど「美しい」と「歌だけが」の間のブレス(V)は必ず守る。
◯ その「美しい歌だけが」からP17の「かなえられ」まではインテンポ。つまり途中で遅くならない。
◯ 「かなえられないだろうか」の「ないだ」でrit(リット)して遅くなってから「ろうか」で最初のテンポにもどる。つまり96のテンポをずっと保って「ないだ」で遅くなってから「ろうか」で126~132のテンポにもどる。このテンポの変化が決まると本当にカッコイイのです。楽譜の作曲者の言葉に書いてあるとおりの現象が起きます。

わおぉ~ん。またたくさん書いちゃった。こんなに◯が多くなるとは…。でもこの◯は全て新実先生がおっしゃったことです。メモが残っている。これを日帰り合宿で練習しましょう。
それから◎の「豚」が「出来た」と聞こえないようにっていう話ですが、団員専用エリアの参考音源が「豚出来た風船」と聞こえるか「飛んできた風船」と聞こえるか、頭を真っ白にして聴いてみると面白いですよ。少年少女合唱と男声合唱が聴き比べになっているはずですが、少年少女合唱はみなさんの先輩の15年前の合唱団「空」で、男声合唱は東海メールクワイアーで嶋田先生が歌っています。
「豚出来た風船」と聞こえるか「飛んできた風船」と聞こえるか、そのようなイジワルな聴き方をしてみるのも、たまには良い勉強になります。夏休みなんだから、宿題をやっている時の休憩の時間にでもやってみると、きっと勉強もハカドルはずです。教師生活37年の嶋田先生が言うんだから間違いない!!!!(ホントかよ?)

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