SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


練習再開 音のウネリ

【令和2年6月6日(土)】
緊急事態宣言が解除され、4月5月と続いた練習自粛を打ち切って待ちに待った練習を再開できることとなりました。
もちろん一人一人の体調不良や、より慎重に状況を見極めたいという思いもあるでしょうから、先生もアセリません。まだまだ時間はありますから、大切なことは「最後に全員でステージに立てれば良い」のだ…と思っています。
2ヶ月ぶりの「メンバーが集まっての練習」で感じたことは、どんなにSNSが進歩しようと、いかにZOOMが発達しようと、電波を通したネットワークシステムで合唱の練習は不可能…ということです。どんなにヘタクソでもどんなに小さな声でも、その空間に今響いた声を聴き合い歌い合わせることで合唱は成立します。この極めて当たり前のことを先生もメンバーも心の底から実感することができました。「みんなといっしょに」って大切ですね。
音楽プラザの入口に置かれたアルコールで手指を消毒し、中リハーサル室に入る前に全員の体温を測りました。中リハーサル室のイスは思いっ切り離して並べ、空調設備はフルパワーで動かし、歌う時にマスクをして、考えられる感染症対策は全て行いました。「まだまだこんなことができるよ」というアイデアがあれば教えてくださいね。プラスになることは何だってやりますから。
音楽の話になりますが、今日はユックリとアセラずに…と思っていました。2ヶ月の練習の遅れを一気に取り戻そうなどとは考えません。これは来週も再来週も同じです。声をトレーニングすることも歌詞を覚えることも大切ですが、それは「音を聴く耳の力」が高まっていて初めて有効になります。つまり一番は「耳」です。だから今日はユックリと「聴く力」を高めることができれば良いと思っていました。
ウッカリ者の嶋田先生は「空」の備品カバンの中に鍵盤ハーモニカを入れておいたか、2ヶ月の間に忘れてしまいました。もし鍵盤ハーモニカが備品カバンの中に入ってなかったら困るので、念のために家にあった鍵盤ハーモニカを持って行きました。ところが備品カバンにはちゃんと鍵盤ハーモニカが入っていましたので、2台の鍵盤ハーモニカを同時に吹く…という荒業を使うことができるようになりました(笑)。
ところが家から持ってきた鍵盤ハーモニカBは音が少し狂っていたのです。備品カバンに入っていた鍵盤ハーモニカAの音は正常でした。
(本当は鍵盤ハーモニカAも極めてわずかではありますが狂っています。そのレベルの話をすると中リハーサル室のピアノだって極めてわずかに狂っていますので、ここでは「鍵盤ハーモニカAは正常である」という話にします)
で、最初に狂っている鍵盤ハーモニカBで「きいろいちょうちょ」を歌いました。何度か歌ううちに歌詞を確認し、音程も正確に(?)なっていきます。
そうしておいて「実はこの鍵盤ハーモニカBは狂っています」と告げた時のメンバーのポカンとした顔は面白かったですねぇ。いやいや、イジワルでやったのではありませんよ。次に正しい音程の鍵盤ハーモニカAで再び「きいろいちょうちょ」を何度か歌いました。この順番の方が話がオモシロイと思ったのです。
Aで歌ってもBで歌っても同じように思えます。ですが、Aで歌った方が良いに決まっている。問題はカワイソウな鍵盤ハーモニカBの「病気になっている部分」を分かってあげられるか、聴き分けてあげることができるか…という話に持っていきました。
鍵盤ハーモニカBのどの部分が病気か、ドか?レか?ミか? クイズの3択です。答えはレの音が狂っていたのです。正解だった人はオメデトウ。当てられなかったメンバーも、微妙な音の違い(狂い)を聴き分けポイントを掴んだはずです。
嶋田先生を含めた合唱指揮者はメンバーに対して「そこんとこ、少し音が低いよ」といった指示をよく出します。これはテキトウのアテズッポウで出している指示かというとそうではない。合唱指揮者は「音のウネリ」を聴いているのです。
「音のウネリ」とは何か。正確な鍵盤ハーモニカAと狂っている鍵盤ハーモニカBとを同時に吹いてみると、ドやミではスーッと響きますがレの音になるとフワンフワンと音が揺らめきます。これが「音のウネリ」です。クイズで当てられなかった子も含めて全員が「そのウネリ、フワンフワン、分かります」と真っ直ぐに手を上げてくれました。これが今日の最大の成果でしたね。
その後、正確な鍵盤ハーモニカAで再び何度か「きいろいちょうちょ」を歌い、その次は鍵盤に頼ることなく人間の力だけで「きいろいちょうちょ」を歌いました。人間の力だけで歌うのが一番良いのです。正確だ正確だと書いている鍵盤ハーモニカAだって、実は100%正確ではないのですから。
事情があって今日の練習に参加できなかったメンバーは「えぇ~!音のウネリって何?フワンフワンって何?アタシも聴きたぁ~い!」と泣き叫ぶことでしょうね(笑)。だから来週も鍵盤ハーモニカBを持っていきますね。ついでに来週は、400円のリコーダーと1000円のリコーダーと86000円のリコーダーを持っていって、それで同じ曲を吹いて聴き当てるクイズでもやりましょうか。いわば「一流芸能人」のリコーダー版ですなぁ。

「きいろいちょうちょ」の後は「鮎の歌」「べんとう」「臼搗き歌」などを歌いました。ノンビリ、ユックリです。感染症対策に気を配りつつ、ユックリとペースを戻していきましょう。
今日は、みんなに会えてうれしかったです。大感謝の一日でした。

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