SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


聴く力を高める講座⑨「わさび田」のイメージ

【令和2年5月14日(木)】
いやぁ、部屋の掃除(そうじ)は するものですねぇ。以前の空ノートに記した(4月7日・聴く力を高める講座②)わさび田のビデオテープが出てきたのです。聴く力を高める講座②では次のように記しました。
………「苗を別ける 手をさす(刺す)針は 水の針」は、少年がワサビの苗を田に植えようとした時、あまりの水の冷たさに驚く様子です。「手の甲に 虹 虹 虹がはしる」は、思わず水の中から手を抜いた少年の手の甲に残った水滴が放つ虹色の輝き。
嶋田先生は昭和63年(1988年)の夏休み、奥さんと伊豆のワサビ農園へ見学に行き、そこで実際に田の中に手を入れてみました。夏のことでしたがさすがに富士山の雪解け水、その冷たさに驚きました。残念ながら先生の手の甲に虹は走りませんでしたが、ハンノキの木漏れ日は確かに嶋田先生を包んでくれました。………
この時に撮影したビデオテープです。カメラを止めて水の中に手を入れ、また撮影してカメラを止めて苗を触ってみました。撮影している後ろには奥さんがいるのですが、「お願いだからカメラを回している時はシャベラずに待っていてくれ」と言って、全部で20分ほどは撮影した記憶があります。
その20分のテープを4分ほどにまとめたのが水の音だけが入っている映像です。その映像に東京放送児童合唱団(みんなが持っている参考CD)の「わさび田」の歌声を重ねてコピーしました。出来上がった映像プラス歌声のビデオテープを合唱部の子供たちに見せたのが昭和63年。そしてNHKコンクール愛知県大会で1位となり、東海北陸大会で2位になった思い出があります。
このビデオテープが存在することは分かっていましたから、これまで合唱団「空」が何度か合唱組曲「鮎の歌」に取り組んだ時に、けっこう真剣に探していたのです。みんなの先輩に見せてあげたいなぁ…と思って。
しかし、どこをどう探しても見つかりませんでした。何度か引っ越しもしていますし、捨てた覚えはないのですけれども、どこにあるのか分からなくなっていました。
そのビデオテープが掃除というか部屋の整理をしていたら出てきたのです。ついでに出てきたのは小学校6年間の通知表(亡くなった母が残しておいてくれました)と4年生と6年生の時の日記帳でしたが、それは関係ないですね(笑)。
さっそくHP担当のSさんのスタジオにテープを持ち込んで団員専用エリアにアップしていただいたわけです。

今日、約30年ぶりにその映像を見ることができました。嶋田先生の「わさび田」のイメージは、ほぼ全部がこの映像です。修善寺口からタクシーに乗って、運転手さんに「どこでも良いから、とにかくワサビ田に行ってみたい。連れて行ってくれ」と頼んで、観光旅行者向けのワサビ農園ではなく、ホントに誰もいないワサビ農園の入り口に降り立ちました。だから映像が、どこのワサビ田なのか全く分かりません。もう一度同じ場所に行くことは不可能です。
それだけに自然のままの100%本物のワサビ田です。この時の体験が私の「わさび田」のイメージを作りました。ここに男の子がいてワサビを育てているわけです。
木々の葉の間からこぼれ落ちてくる太陽の光を映してからユックリとカメラを下げてワサビ田を映しています。紫の花を接近して映せばピンボケになりますが、そこからカメラを引いていくとピンボケの紫が花だということが分かって、さらにカメラを引くとハンノキの木陰のワサビ田だと分かる。こんな工夫をして撮影したんだなぁ…と我ながらビックリしました。さすがにチョウチョをバッチリと捉えることは失敗していますね(笑)。
そう。一面に映っているのがワサビの葉っぱなのですが、その間に映っている細い木がハンノキです。夏は木陰になって強い日差しを遮り、冬は葉を落として弱い日差しが全部ワサビに降り注ぐようにするためです。「わさび田はハンノキの影 ちらら日がこぼれていた」という歌詞をイメージするためには最高の映像だ…と言ったらサスガに自分で自分をホメ過ぎで恥ずかしくなりますが、この映像を口で説明することは無理だということは分かってもらえると思います。
一番良いのは、自分で伊豆のワサビ田に行ってみることです。でも、それを叶えるのは時間もお金もたくさんかかります。
ぜひ一度、見てみてください。今度会った時に感想など聞かせてくれたら本当に幸せです。

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