SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


みんなから命をもらった「鮎の歌」

【令和2年2月22日(土)】
今日は、みなさんから命をもらいました。先週のノートに記したとおり、今日は名古屋市小中学校合唱フェスティバルが予定されていて、嶋田先生も実施委員の一人なのでそちらに行く予定でした。ところがコロナウイルスの影響でフェスティバルは中止となり、予定が狂った嶋田先生は「空」の練習に行くことにしました(笑)。
練習に行くことは恒川先生にも浜田先生にも父母会にも、誰にも伝えませんでした。今日は透明人間になって、恒川・浜田両先生が立ててくれていた予定どおりの練習を見学しようと思っていました。練習場に入った嶋田先生を見て、みんなビックリしていましたが、その様子を見てトッテモ嬉しかったです。
もっと嬉しかったのは見学の子が来てくれたことで、いっしょに歌うことができました。来週も来てくれるといいなぁ。心から願っています。
練習は「鮎の歌」でした。5曲目の「鮎の歌」です。結論から記すと、恒川先生が進めた「鮎の歌」の練習は見事なものでした。初見の子が多いので、一からスタートさせる必要があります。生まれて初めて「鮎の歌」の楽譜を見て歌う子に対して、どこからどのように音を示していくか、どのように歌い、どのようにハーモニーを作っていくか。「あっ。ここは全員で歌うと良いな」「あっ。ここは順番に交代してハーモニーを作ると良いな」「あっ。もう一度くりかえして歌うと良いな」などと心の中で思ったことが、思った次の瞬間に全て実際の方法として提示され、嶋田先生が「こうなると良いな」と思ったとおりの歌声が響き渡りました。嶋田先生は単なる第2鍵盤ハーモニカ担当として黙って音を出していただけです。ですが、約80分で「鮎の歌」を全部、全員が全てのパートを歌った上で、ほとんど完璧なハーモニーを響かせることができました。部外者の合唱関係者が見たら「初見のメンバーを含む初めての曲の練習だとは信じられない」と言うであろう運びでした。
それ以上に驚いたことは、メンバーの反応の鋭さです。「こうしてください」「次はこうしましょう」という指示が全部通って歌声として表出される、リハーサルとしては非常にハイレベルな反応でした。指揮者が言ったことが全部歌声となって実現される、授業として考えると理想的な教室空間の反応でした。このことは、横で聴いておられた当番の父母会の方々が証人になってくださいます。みなさんに命をもらいました。今日は嶋田先生にとって予定されていなかった本当に幸せな時間となりました。ありがとうございました。

休憩の後、ご自身のレッスンのために早退しなければならない恒川先生に代わって指揮を取りました。何を歌うか迷いましたが「いちごたちよ」を歌うことにしました。これも多くのメンバーにとって初めて歌う曲です。まずはソプラノのメロディーを最初から最後まで全員で歌い、その上でハーモニーを作っていきます。全曲を通してハーモニーを作ることはできませんでしたが、これは嶋田先生の責任です。音とハーモニーの話に集中すれば「いちごたちよ」を最初から最後まで、全員が全部のパートを歌い切ることはできたと思いますが、途中で嶋田先生のスケベ心が出てしまいました。
それは歌詞に対するイメージです。「いちごハウスのイチゴたちとは何か。それはチャンとした服を着て、朝ごはんを食べて、夜は布団の中に入って寝ることができる、あなたたち。みなさんのことですよ」と言ってしまいました。そして「野イチゴとは、着る服もない、ごはんも食べられない、夜は固い地面の上で寝ている、世界のどこかの国の子供たちのことです」と。
ですが、そんな発展途上国の子供たちの方が知っています。日本の恵まれた子供たちよりも。
満天に輝く星の輝きを。木の葉と風とが囁く会話を。渓流に歌うカジカ蛙の歌声の美しさを。
経済的に恵まれ、三度の食事に事欠かないがゆえに、みなさんが見失ってしまうかもしれないものがある。それは「生命の本質」です。そのことを「いちごたちよ」は歌っています。
みんなの歌声を聴いていて、初見の段階であるにもかかわらず、そんなイメージの話をしてしまいました。ですが反省はしていません。前回「空」が「鮎の歌」を歌った時、湯山先生は

「今まで、いろんな合唱団が「鮎の歌」を歌ってくださったけれども、「鮎の歌」に関する限り今回の合唱団「空」の歌声が最高です」

と言ってくださいました。当時のメンバーの何人かは覚えていると思います。それは、その時のメンバーが、作曲者の心をも震わせるほどの豊かなイメージを持っていたからに他なりません。
今回は当然、前回の「鮎の歌」を凌駕する史上最高の表現を目指します。その第一歩として「いちごたちよ」のイメージを伝えたことは、スタートラインであったからこそ有効であったと信じています。

今日は多くのメンバーが参加してくれて意義深い練習でした。命をもらいました。本当に感謝しています。音楽をやっていて良かった…と思える一日でした。

追伸。「コタンの歌」のCDを配布しました。素晴らしい演奏が二つ並んでいます。聴いた感想を教えてください。楽しみにしています。「

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