SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「マリモの歌」は「空」の声に合っているなぁ

【令和2年2月15日(土)】
来週(練習会場はフェールマミ)は名古屋市小中学校合唱フェスティバルがあり、どうしてもそちらの仕事を欠かすわけにはいきません。ですから来週の練習を浜田先生・恒川先生に「小さな目」と「鮎の歌」を歌ってくださいとお願いし、今日は「コタンの歌」に専念することとしました。
「コタンの歌」は当然のことながら「空」が初めて取り組む曲であり、浜田先生はピアノを弾いたこともなく、恒川先生も歌ったことがありません。嶋田先生はウィーンで(湯山先生の指揮で)歌ったことがあり、何よりも大学生の時から知っている曲なので、練習スタートの現段階では嶋田先生が中心にならざるを得ません。
しかし「小さな目」と「鮎の歌」は浜田・恒川両先生とも経験値は十分。湯山先生の指揮でも嶋田先生の指揮でも歌い、ピアノを弾いておられます。この2曲の経験値と表現のツボの熟知度に関する限り、日本中を探してもこの両先生を凌駕する指導者はそうカンタンには見つからないはずです。安心して任せることができます。むしろ、嶋田先生とは違った視点からのアプローチも期待できることと思います。みなさん、力を貸してくださいね。
というわけで「コタンの歌」。まずは先週取り組んだ「船漕ぎ歌」と「マリモの歌」の復習から入ります。今日も何度も言いましたが「船漕ぎ歌」や「マリモの歌」の表現を練り上げるための練習ではありません。「船漕ぎ歌」と「マリモの歌」を使って「合唱力」を高める練習です。その練習の貯金が多ければ多いほど、パートを決めた後の表現の練習をロケットスタートさせることができるのです。
「船漕ぎ歌」の最初の5小節「アイヨー アイヨホ」は全員で、アルトを歌ってメゾソプラノを歌ってソプラノを歌って、それで3回ハモらせて歌います。つまり3つのグループに分けて各パートを交互に歌っていくわけです。この部分のハーモニーはソプラノとアルトが常に不協和音になっている独特なもので、このような和音感覚を養っておくことは極めて大きな力になります。P8の「ホーマイコ ヤンクル コタンヨ」も常にどこかのパートがブツカッて不協和音となっており、経験したことのない新鮮なハーモニーが響いて、とても面白いと思いました。
この未知のハーモニーを何の戸惑いもなくスラスラとハモらせてくれるメンバーに感謝です。嶋田先生の頭の中にあるハーモニーがスパッと響いてきて気持ちの良いことこの上もありません。しかし声の色は違います。またまた書きますが声が柔らかくて美しく、キレイすぎるのです。「ホーマイホー」はアイヌ語で「よいしょ よいしょ」というくらいの意味で、早い話が船を漕いでいる掛け声です。まぁ今の段階でイメージのことをあれこれ言っても仕方がありません。今は音をキチンと理解し、合唱力を高めてくれればOKなので、「もっと力強い声でね」とお願いするに止めました。
「マリモの歌」は合唱団「空」に合っている曲だと思います。柔らかい声が曲の世界に合っていて、長いフレーズの歌い方も言葉の発音も高いレベルです。やはり不協和音になる「清らかさを生きている」「静けさの中にいる」の部分も全員が全てのパートを経験しながらキッチリとブツカッた音をハモらせてくれます。名演奏になる予感がします。
「熊の坐歌」は初めて歌いました。「トイマ ペトゥン ぺ チシテ」の部分はアルトがずうっとソの音を継続させます。これに対してソプラノはド・レ・ソの3音(変イ長調の場合)でメロディーを作ります。
アイヌ民族の歌の音階は3つしかありません。ハ長調で言えばド・ファ・ソの3つです。日本古来の音階はド・レ・ミ・ソ・ラの5音(この5つの音で「春の小川」のほとんどを歌えます)、沖縄の民族音階はド・ミ・ファ・ソ・シの5音です。そんな話も興味深く織り交ぜました。この曲も音程に対する抵抗感はほとんどなく、音取りは速い速い。まさに1回聴けば歌えるようになる…というレベルでした。むしろ大変だったのは「コル エペレ ホプ二 ナー」「ヘオ リムセ ヘチュ ヤン」というカタカナ歌詞で、こいつぁドイツ語よりもムズカシイ(笑)。先生、どういう意味なんだよぅ?と言われても困るんです。しかしアイヌ民族には引き据えた熊の頭を大ナタで切り落として神(カムイ)に捧げるという儀式があったことは事実で、想像ですけれども熊の魂を慰める言葉であると思います。
来週の練習で「コタンの歌」の音源CDを配布します。今日はそのデータCDを持っていましたので、急遽1000円払って中リハーサル室の音響機器を使わせてもらうこととしました。「船漕ぎ歌」「マリモの歌」「熊の坐歌」の3曲を聴いて、直後にCDに合わせて歌う…という場を設けました。
「コタンの歌」は混声合唱ですから、女声パートを受け持つ合唱団「空」がいかにレベルの高い練習をしても、男声パートが無い限り完成した響きにはならないのです。どこまで練り上げても半分の完成度。100%の響きを味わうためには東海メールクワイアーとの合同練習を待つしかありません。
3曲ともなかなか正確なハーモニーを響かせてくれたので、集まっているメンバーに男声パートが入った音を聴いてもらい、その響きに合わせて歌ってみるのもアリかな…という判断でした。
通常、CDに合わせて歌うなどという方法は有り得ない方法で、合唱団「空」が始まって以来の練習でした。普通なら絶対にやりません。
しかし、練習がスタートした今の段階で、半分のパート(女声パート)だけで練習する意味を分かってもらうことは大きいのではないかと思いました。つまり完成したハーモニーがどのようなものなのかを捉えておいて、その上で女声パートのハーモニーを作っていく練習をする意味を理解してほしかった。ゴールをみんなで覗いてみた…というわけです。

「ムックリの歌」も美しく響きました。これはCDではありません。人間だけでのハーモニーです。ムックリというのはアイヌ民族の伝統的な民族楽器です。北海道に旅行に行けばお土産屋さんで売っています。このような抒情的な曲は「空」は上手ですね。合唱団がチームとして持っている声と音楽性が「マリモの歌」や「ムックリの歌」には合っていると思います。

来週はごめんなさい。「小さな目」か「鮎の歌」か、どちらが中心の曲になるかは集まったメンバー次第だと思います。いちおう「コタンの歌」の楽譜も持ってきてくださいね。恒川先生・浜田先生よろしくお願いいたします。みなさん、力を貸してくださいね。

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