SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


湯山先生の快復を願う究極の歌声

【11月2日(土)3日(日)】
湯山先生から「体調不良」との第1報が携帯電話に入ったのは実は1日(金)の朝8時過ぎでした。そんな時間は普段は電話に出られないのですが、1日は東海北陸の教頭会があり、会場の国際会議場(白鳥)に向かう道中のことでした。本当にラッキーなことでした。普段ならもう学校に到着して様々な業務に奔走する時間なので、おそらくは着信に気付くのは給食の時間になっていたことと思います。出張が入っていて本当にラッキーでした。
「2日の夕方に行く予定だったが行けるかどうか分からない」とのことで、すぐに総務に連絡して2日のホテルや夕食・新幹線の駅へのお迎えなどを全てキャンセルしてもらいました。予定通り2日に来られることが分かった時点で再びホテルの予約を取るつもりでした。
結果的にはこの迅速な対応でわずかなキャンセル料に収まり、最低限の支出で押さえることができました。その後の6回に及ぶ電話連絡を経て、湯山先生は3日の練習は控えて大事を取り、9日に備えていただくということになりました。3日の朝、そのことをメンバーに伝えた嶋田先生も辛かったですけれども、メンバーもガッカリしたことと思います。しかし、まずは父母会の臨機の対応に大感謝です。
次は「災い転じて福と成す」を実現させるための手腕が嶋田先生に問われていました。メンバーのガッカリを満足と自信に変えることができるか。大きな命題でした。
結論を記すと大きな成果を上げることができたと自負しています。それはメンバーの協力があって初めて成立したものでしたが本当にホッとしています。
2日(土)。まずはアンコールから。「くも」の表現に徹底的に取り組みました。そして「おはよう太陽」に「あめふりくまのこ」。次は「月のうさぎ」の表現の練り上げ。そして「うたにつばさがあれば」全曲と「白いうた青いうた」。
どのような練習をしたかについて、ここに記す必要がないことをメンバーに感謝します。なぜ記す必要がないかと言うと、ほぼフルメンバーであったからです。
記録として書いておきます。「くも」の中のメロディー「くもがきれいだから」は2種類あります。レシソ♯ファミーソ♯ファーミーレー」を元にしたハーモニーとアルトパートに記されている「ドラドソ♯ファーミ♯ファーレーシー」です。前者は「お母さん見て見て。積もった雪みたい」「お母さん見て見て。霧が上がっていくみたい」「お母さん見て見て。誰かが絵を描いたみたい」という発見の喜び。ワクワク感。元気よく明るく、ウワーっと高らかに歌い上げましょう。
2番に入って再びレシソを元にしたハーモニーが響きます。Dの3小節目です。ここでは次に「お母さん見て見て。虹が膨らんでいくみたい」とか「花が開いていくみたい」とかいう発見を伝えようとしたのでしょう。その瞬間、見えてしまったのです。おばあちゃんの笑顔が雲になって自分を見つめていることが…。その瞬間にドラドで始まる二つ目のメロディーが歌われる。
この構成、まさに天才的な曲作りと言えましょう。あるべき音が全て配置され、不必要な音が1音たりとも無い、シンプルの上にもシンプルに磨き上げられた究極の歌曲と言い切れます。
どんな声で歌いますか?メンバーの感性の膨らみと集中力に期待します。
3日(日)。メンバーに「湯山先生不在」と連絡した後、しかし予定通りに「イルカの翼」全曲を通し、「くも」を含めたアンコール3曲を確認し、「月のうさぎ」を確認したところで午前の練習を終了。
午後は大須太鼓保存会のメンバーを迎えて「ちょうちん囃し」を完璧に仕上げ、返す刀で「海と祭りと花の歌」を全て歌い上げ、楽譜を見ないで再度全曲を歌いました。
その後は「白いうた青いうた」と「鳥が」を歌い上げ、最後の15分で「うたにつばさがあれば」を全曲通しました。
この2日間でプログラムにある全ての曲を1~2回さらうことができました。さらっただけではなく、かなりハイレベルな表現を要求しました。まるで宿泊のない合宿のような2日間でした。湯山先生が不在というメンバーの「ガッカリ」を、湯山先生が不在であったからこそ「満足」と「自信」につなげることができたのではないか、災い転じて福と成すことができたのではないか…と自負しています。
しかし、この自負は「嶋田先生の手柄」ではありません。集まってくれた「メンバーの手柄」です。フルメンバーが集まると素晴らしい美しさのハーモニーを響かせることができることを証明できました。それは2日間にわたって合計8時間30分にわたる強烈練習に耐えて歌い上げてくれたメンバーが証明したのです。
それは湯山先生の快復を祈るメンバーの魂の響きであったと言えます。湯山先生には電話で報告しておきます。みなさん、ありがとう。
2日間の練習で一人一人にどんな不安が残ったのか、それを嶋田先生が知る術(すべ)はありません。ちょっと楽譜を見るなり、CDを聴き直すなり、各々の鋭意努力に期待します。
次回9日(土)は奥様が「私が夫を連れていきます」と言ってくださいました。午前は音楽プラザ中リハ、午後は5階の合奏場(名フィルの練習場所)で湯山先生をお迎えします。みなさん、力を貸してくださいね。

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