SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


得意なことを伸ばすより、弱点を克服する

【令和元年8月3日(土)】
今日から来週10日(土)、17日(土)までフェールマミでの練習が続きます。その次は合宿。楽しみにしています。みなさん、力を貸してくださいね。
さて、フェールマミでの練習はグランドピアノが使えますから、例のピアノの弦を使う発声練習をするつもりでした。ですが、いろいろと思うところがあり、「白いうた青いうた」は配布してある楽譜の12曲を全部、定期演奏会で歌う決断をしました。
合宿の折に学級会(?)などを開いて9曲程度に絞るつもりだったのです。が、最近「白いうた青いうた」を歌い込むうちに、「歌わない曲を選ぶのは酷(こく)だなぁ」と思うようになりました。みんなが楽しそうに歌ってくれる様子を見ていて、そして12曲とも非常に魅力的なので、あえて3曲カットする必要もなかろう…と考えました。
そのかわりキチンと覚えなくてはならない曲が増えるので、みんなの負担も増えます。ですが12曲ともこの半年間でソコソコ練習を積み上げていますから「大丈夫だろう」との判断でした。
というわけで、まずは12曲を全部歌いながら発声練習につなげようと思ったのです。
結果としてこの選択は正しいものとなりました。「壁きえた」の第一声から柔らかい声が響きます。「柔らかい声」と言うと聞こえは良いのですが(そして非常に大きな武器になりますが)、逆に言うと「エネルギーの無い声」と言うこともできます。下手って言ってんじゃないですよ。「柔らかい声」は武器です。
これは学校教育に対する疑問です。今の学校は「得意なことを伸ばす」「その子の良さを引き出す」ことに重点を置き過ぎです。「得意なことを伸ばす」ことも「その子の良さを引き出す」ことも非常に重要なことですが、今の学校教育には「苦手なことを克服する」「その子の悪さを更正する」という勇気に欠けています。得意な国語を伸ばすことは大切ですが、それは苦手な算数に対する努力をしなくても良いというロジック(理論)にはならないのです。おっと、また脱線しちまったな。
「空」は激しい声やパワフルな声を出すことが苦手です。「柔らかい響き」や「温かみのある声」は「ゆうやけこやけ」などを歌う時には力を発揮しますが「壁きえた」には不向きです。「壁きえた」は戦争によって引き裂かれていた家族が、真の平和の訪れを待って再会できた喜びと幸せを歌う曲です。だから「柔らかい声」からスタートして一気に「パワフルな声」にもっていかなくてはなりません。「ちいさな法螺」や「ライオンとお茶を」などに至ってはその最たるもので、怒鳴り散らすような「勢いのある声」が必要です。だって、そういう曲なんだもの。
前半の1時間は「白いうた青いうた」と「鳥が」に取り組むことによって「声の多様性」を実践する時間となりました。「激しい声」「パワフルな声」「痛みのある声」「乱暴な声」「爆発するような声」などなど。
この発声練習は、かなりキツイ時間だったと思います。みんなは必死になって「どのように声を出すか」を試行錯誤してくれました。本当にありがとう。しかし、まだまだ十分ではありません。歌う曲に最もふさわしい声を出せるようにする取り組みはずっと続きます。それはメンバーの「表現力」を高めることに直結していくことになります。

休憩の後は「海と祭りと花の歌」から「ちょうちん囃し」を確認しました。コーラスは上手に歌えています。今日やりたかったのは「ちょうちん囃し」の手拍子です。歌いながら手拍子をするわけですから、楽譜を持って歌うことはできません。すなわち暗譜が前提となるわけです。
まずは通して最初から最後まで歌いました。笑い声はトモカクとしてハーモニーは合格です。とても上手。次は巻末P78~79の歌詞を見て歌ってもらいました。
これはどういうネライなのかと言うと、楽譜には「むかし よみちに つかわれて いまじゃ ようなし ぶらじょうちん ようなしとのさま たいくつで」とヒラガナばかりが並んでいるわけなんですけれども、巻末には「昔 夜みちに 使われて 今じゃ 用無し ぶらじょうちん 用無し殿様 退屈で」と漢字が並んでいる。すなわち意味がダイレクトに書いてあるわけですね。意味がダイレクトに書いてあるということは、歌詞の意味と話の流れをとらえることとなり、つまりは「覚える」ことに直結します。
その上で手拍子を打ってみました。欠席者は楽譜を確認すればすぐに分かります。同じパターンが4回繰り返される。その最後に「スっパンパン」と締める。この繰り返しです。1カ所だけ注意点があります。それはP44の178~179小節目なのですが、ここだけ「わかったね」というリズムを打ちます。「わかったね」というリズムとは何なのか、それは文章で説明することはムズカシイのですが、今日の参加者は爆笑物で分かっています。合宿で確認しましょう。早く知りたい子は出席者にラインか何かで聞いてください。まぁ、ラインで説明することもムズカシイでしょうけれども(笑)。
とにかく今日の「ちょうちん囃し」の練習は、音を正確にすることでもなければハーモニーを整えることでもありません。ひたすらリズム打ちの確認です。何しろ9月14日(土)には和太鼓奏者との合同練習がありますから、その準備を整えた…という話です。
これは今日参加できなかった子もスグに取り戻すことができます。CDを聴いてくれれば手拍子のリズムは分かります。ただし、その気になって聴かなければダメですよ。「手拍子をつかむぞ」と思って手拍子だけに集中して聴くのです。
しかし、実際に手拍子を打ってみるのは面白いですね。生身の人間が実際に出す音はビミョーにズレていたりして、そこが何とも楽しくて面白い。頭で理解する音楽ではなく、身体で楽しむ音楽です。

旅行や部活の試合での欠席はドンドンOKなのですが、この暑さのゆえでしょう「体調不良で」「夏風邪で」という連絡は残念ですね。みなさん、体調管理には十分に気を付けてください。また来週お会いしましょう。

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