SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「月のうさぎ」2回目

【令和元年7月6日(土)】
先週配布した「月のうさぎ」を再度確認し、先週参加できなかったメンバーに「月のうさぎ」の概要を伝えることができれば今日の練習は成功…と考えていました。嬉しいことに見学に来てくれた子がいて、先週は参加できなかったメンバーも何人かいて、予定通りに行こうかと思いましたが、パートの人数バランスが良くなかったので急遽、予定を変更しました。
2部合唱であれば、ソプラノとメゾソプラノ上、メゾソプラノ下とアルトという分け方になり、人数の少ないパートをカバーすることができます。
こんな時、湯山先生が助けてくださいます。「イルカの翼」は2部合唱の曲が何曲かあって、人数が少なくても楽しく美しくハモらせることができます。しかし2部とは言ってもイイカゲンに歌うことはできないように作曲されていて、発声練習にも和音感覚を磨くためにも有効な練習を行うことができます。大中恩先生亡き後、このような作曲家はもう出現しないような気がします。滝廉太郎から山田耕筰、中田喜直、大中恩、湯山昭という系譜を受け継ぐ作曲家を嶋田先生は知りません。
「海をみていると」「イルカの翼」「かげとわたし」「ありありきえた」「ゆりがさいてる」と、2部合唱をキレイにハモらせていきます。「おはよう太陽」は3部合唱ですが、ゲーム感覚で楽しく歌い飛ばしました。
続けて「ひとつの地球」「ヨット」「うみのこもりうた」まで、1時間あまりで8曲を復習しました。メンバーが揃ったら細かい表現を整えますが、その表現整理のための準備としては最高の時間となりました。つまり、今日集まったメンバーが非常に有効な復習をすることができたということです。

休憩の後は予定通り「月のうさぎ」です。今日が初見となるメンバーに合わせて、丁寧に丁寧に音を確認していきました。何度指揮しても本当に良く書けている曲だと思います。たとえばP27下段の「たき火の中に身を投げて」の2小節を、全員でソプラノを歌い、全員でメゾソプラノを歌い、全員でアルトを歌ってから4回目に自分のパートを歌ってハモらせる…という練習をしたのですが、高い音から低い音までの発声練習もできるし、和音の勉強にもなるし、合唱力を高める教材としては最高レベルです。続く「おじいさんに自分の身体を捧げました」の部分はもっと効果的で、♯ファとラと♯ドを重ねると(P28の3小節目のことです)こうなるんだよ…などという理屈っぽい説明を一切しなくても、歌い込んでいくうちに自然にハーモニー感覚が養われていくことが実感できます。そのように実感させてくれる「空」のメンバーの歌いっぷりにも拍手ですが、そのように曲を作る才覚は嶋田先生の力では考えても考えても到底及ばない領域であって、脱帽と尊敬の念しか残りません。

数えたことはありませんが実は嶋田先生は「月のうさぎ」の音源を20近く持っており、大中先生ご自身が指揮されたものからCBCコンクールの愛知県地区予選(小学校の部のラジオ放送)まで多種多様です。つまり、発声が不十分な小学生の演奏からプロに近い日本でも有名な女声合唱団の演奏、そしてその年のコンクールで日本一を勝ち取った小学校合唱部の演奏まであります。合唱団「空」の音源も2つ(両方とも大中先生ご自身の指揮)、嶋田先生が指揮した小学校のCBCコンクール中部日本決勝大会の演奏も2つあります。最近はYouTubeでもいくつかの音源が公開されていますが、ピンからキリまであるそれらの演奏は、等しく同じ表現を作っている部分があります。それはP29から終結部までの表現なのですが、この部分で嶋田先生は今回、これまでに誰もやったことのない新しい表現をしてみたいと考えています。大中先生も嶋田先生も、コンクールで日本一を取った学校の先生も、誰もやったことのない表現。メンバーには2種類の参考音源(両方とも指揮は大中先生)を配りましたが、そのいずれにもない新しいアプローチを考えています。
嶋田先生にとっても23年ぶりの指揮となる「月のうさぎ」です。その間に大中先生ご自身からご指導をいただき、「空」を指揮していただく様子を真剣に勉強することができました。大中先生の指導と指揮を見聞していても「オレだったらこう表現するな」と思う部分はあるのです。
その誰もやったことのない表現。これに挑戦できるかどうか、今日の練習で決断することができました。結論はGOです。やってみたいと思います。ただし、それは合宿以降の練習で。

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