SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


スプリングコンサートは大成功 6月合唱祭は「雪はりんりん」

【平成31年4月13日(土)】
朝9時30分に南文化小劇場に集合。リハーサル室に入って最初にやったことは「となりのカンタロウ」の九官鳥の声の処理です。
先週の練習では「うたにつばさがあれば」に取り組んでおらず、先々週3月30日に1回だけ伝えた方法です。それは、メゾソプラノ下とアルトに音程を付けて2回ずつ「おはよう」「おかえり」「あそぼ」歌ってもらい、ソプラノとメゾソプラノ上に音程を付けた声と音程を外した声とで交互に歌ってもらう…という方法です。
3月に原曲の楽譜を手に入れて分かったことなのですが、原曲では人間の声が「♭シドレ」「ラ♭シド」「ソラ♭シ」という音程で「おはよう」「おかえり」「あそぼ」となっています。これに対して九官鳥は「ソラ♭シ」「ファソラ」「♭ミファソ」という音程で応答します。これは考えてみれば当然のことで、歌手がコンサートで演奏する場合は人間にも九官鳥にも音程が必要です。でなければ歌えません。
作曲された後に録音されたCDでは、大中先生ご自身が録音現場に立ち合っておられ、九官鳥の応答を大中先生が担当することになりました。この時に大中先生は音程を外すという方法を採用されたのです。これは大中先生から直接聞いた話で、嶋田先生は大中先生が録音当日にマイクに向かっておられる写真も持っています。
その後に大中先生は合唱用にアレンジするにあたって、原曲では高音(人間)と低音(九官鳥)に分かれていた音を合体させてハーモニーを作り、これを人間の声としました。そして九官鳥の声から音程を外してカタカナで表記するだけとし、これを嶋田先生にくださったのです。みなさんが持っている楽譜です。
大中先生が指導してくださり指揮してくださって「空」の先輩たちが歌った「うたにつばさがあれば」は全てこの形で、九官鳥は「嶋田さんがやってください」という作曲者の言葉に従っていました(笑)。その後に嶋田先生が指揮した演奏では、メンバーの一人が九官鳥を受け持って、合唱用アレンジの形を受け継いできたわけです。
今回、原曲の楽譜を手に入れて、原曲の「全て音程あり」の形と合唱アレンジの「九官鳥だけ音程なし」の形をミックスさせた表現方法を取ることとしました。長々と書きましたが、この方法をメンバーは10分もかからずに確認し体得してくれました。大感謝です。この新しい方法で、11月10日の定期演奏会と2月2日の大中先生追悼コンサートに立ち向かっていきましょう。
「うたにつばさがあれば」全曲、そして「あしたうまれる」「盲導犬S」「南海譜」「鳥が」「ヨット」「エーデルワイス」「ドレミの歌」と完璧なリハーサルが続きました。「文部省唱歌集」もとてもキレイにハモります。

お客様をお迎えしたスプリングコンサート本番は、危ないと思ったことは1度もなく、伸び伸びとした歌声が響きました。熱があったのに本番には駆けつけてくれた子、午前中の学校を済ませて本番に駆け付けてくれた子、リハーサルで気持ち悪くなって休んでいた子も本番ステージに乗ってくれました。まさに全員の力を総結集したと言えます。聴衆参加型にした第4ステージでは何人の子がステージに乗ってくれたのかな。ぶっつけの子が20人近く加わってもハーモニーが崩れることはなく、気持ちよく歌い上げることができました。「このグループに入って歌ってみようかな」と思ってくれた子がきっといることでしょう。
第2回スプリングコンサートは大成功となりました。ありがとうございました。

以下は報告です。
会場には東海メールクワイアーの都築会長、鈴木副会長、牧副会長、東海主婦のコーラス連盟の矢代マミ子さんが聴きにきておられ、コンサート終了後に2月2日(日)の大中先生追悼コンサートの打ち合わせを行いました。
〇コンサートタイトル 「大中恩追悼コンサート」
〇令和2年2月2日(日) 愛知県女性総合センター ウイルあいち
〇13時30分開場 14時開演
プログラムは
〇第1ステージ 合唱団「空」 「うたにつばさがあれば」全曲(10分)+「   」(5分くらい)
〇第2ステージ 豊田市民男声 「おなかのへるうた」「すっからかんのかん」「おうむ」「バナナを食べる時の歌」「バスの歌」(合計15分)
〇第3ステージ 東海主婦のコーラス連盟 「愛ゆえに」全曲(18分)
休憩
〇第4ステージ 東海メールクワイアー 「走れ我が心」(20分)
〇第5ステージ 合同演奏 「わたりどり」「海の若者」「秋の女よ」「草原の別れ」「いぬのおまわりさん」「サッちゃん」
〇アンコール 「じゃあね」
合同演奏とアンコールの指揮は「白いうた青いうた」「鳥が」の作曲者・新実徳英先生です。

〇合同演奏の楽譜は別途販売(300円くらい)
〇コンサート参加費は一人4000円(新実先生謝礼20万円・会場費15万円など)
〇総合会計は矢代マミ子さん
〇プログラム・チラシ・チケット作成は東海メールクワイアー

これを受け、打ち上げ会場に入った嶋田先生は恒川先生・高倉先生・浜田先生に上記の報告をし、「うたにつばさがあれば」全曲に続く「もう1曲」について相談しました。各団体の演奏時間は15分~20分で「うたにつばさがあれば」の10分だけでは短いからです。これについては、これまでの「空ノート」で「いぬのおまわりさん」か「サッちゃん」あたりを…と記してきましたが、それは合同演奏の曲目となりました。「おなかのへるうた」は豊田市民男声が歌います。残る「こどものうた」は「ドロップスのうた」や「なめくじとでんでんむし」などがありますが、「うたにつばさがあれば」に加える1曲としては少し弱い感じがします。
大中先生の作品に限ったことではありませんが、嶋田先生としては乾坤一擲の、必ず後世に残る曲をメンバーに歌ってほしいし知ってほしい。で、合唱組曲「月と良寛」から「月のうさぎ」を付け足すことを提案し、三人の先生から意見の一致を取り付けました。
「月のうさぎ」は間違いなく大中先生の最高傑作です。あまりに傑作すぎて、NHKコンクールでは中学校の部や小学校の部で歌われ過ぎて、「月と良寛」と言えば「月のうさぎ」というイメージが先行し、大中先生は「残りの4曲ももっと歌ってほしいんだけどなぁ」と嘆いておられました。
だから合唱団「空」は第1回定期演奏会と第8回定期演奏会で「月と良寛」全曲に取り組み、「月のうさぎ」だけを歌うことはしませんでした。しかし今回は、さすがに「うたにつばさがあれば」全曲+「月と良寛」全曲…というわけにはいきません。2月の追悼コンサートのプログラムは、そっくりそのまま第23回定期演奏会の第1ステージとなるからです。
「月のうさぎ」。出典は「今昔物語」にあります。新しい元号の「令和」は「万葉集」から採られましたが、「万葉集」と並ぶ日本の古典は「古事記」と「今昔物語」です。
「今昔物語」は「日本説話」「中国説話」「インド説話」などに分かれており、「月のうさぎ」の物語は「インド説話」の中の一説です。その物語は以下のような内容です。
猿・狐・兎の三匹が山の中で倒れているみずぼらしい老人に出会います。三匹は老人を助けようと考え、猿は木の実をたくさん集め、狐は川で多くの魚を捕ってきて、それぞれを食べ物として老人に与えました。しかし兎だけは、どんなに力を尽くしても何も捕ってくることはできませんでした。自分の力の無さを嘆いた兎は、何とか老人を助けたいと考えたあげく、狐と猿に頼んで火を焚いてもらい、自分の身体を食べ物として捧げるべく、炎の中に飛び込みます。その姿を見た老人は帝釈天(たいしゃくてん)として正体を現し、兎の捨て身の慈悲(じひ・思いやり)を後世にまで伝えるために兎を月へと昇らせます。月に兎の姿が見えるのは、この時から始まった…という物語です。
これだけの内容を約4分の楽曲にまとめ上げた大中先生の手腕は驚くべきもので、コンクールにこの曲を取り上げる指導者の気持ちは当然であり、かく言う嶋田先生もCBCコンクールで2回取り上げました。今振り返ると、嶋田先生にとっても指揮をしていて自制心を失う数少ない曲の一つであり、大中恩の女声合唱曲としては間違いなく第一番にランクされる傑作中の傑作です。
ステージではまず「月のうさぎ」を歌い、その後に一息入れて「うたにつばさがあれば」全曲を歌う形しかないでしょう。つまり、第23回定期演奏会でも大中先生追悼コンサートでも、「月のうさぎ」がコンサートの開幕の曲となり、開幕にこれ以上ふさわしい曲はないと断言できます。みなさん、力を貸してくださいね。

もう一つ報告。
6月の愛知県合唱連盟合唱祭は「海と祭りと花の歌」から「雪はりんりん」を歌います。三人の先生と話し合った結果、それしかない…という選択です。

今回のスプリングコンサートでは「うたにつばさがあれば」と新実先生の4曲に目途が立ち、「ヨット」もかなりのレベルです。ここで6月の時点で「雪はりんりん」を歌えるようになっていれば、以後の練習スケジュールに大きな余裕が生まれます。
スプリングコンサートに力を尽くしてくれたメンバーと父母会の皆様に改めて感謝の意を捧げます。そして「雪はりんりん」と「月のうさぎ」に、また力を貸してください。よろしくお願いいたします。

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