SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


第22回定期演奏会 総括

第22回定期演奏会は素晴らしい成果をあげて大成功となりました。
湯山昭先生と団員のみなさん、浜田先生、恒川先生、高倉先生、野々垣先生、サポートメンバーのみなさん、そして父母会の皆様方に、深い感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
技術面のことを記しますと、理由はよく分からないのですが(みんなが集中してくれたからでしょうね)、非常に美しくハーモニーを響かせることができ、ダイナミックな力強い表現から統制のとれた柔らかい表現まで、幅広く表現することができました。
まだ録音を聴いていないので、冷静かつ正確な分析ではありませんが、湯山先生の感想にもあるようにアカペラ(無伴奏)のハーモニーが美しかったと思います。嶋田先生が「好きな曲」という贔屓目(ひいきめ)はあるかも知れませんが、特に「さくら」が出色で、楽譜を手渡した時に想定していたレベルをはるかに凌駕(りょうが)する演奏だったと思います。嶋田先生の合唱人生の中でも特筆すべき快心の演奏でした。あのような「さくら」をもう一度やれ…と言われても、ちょっと自信がありません。子どもたちに大感謝です。
同様に、演奏会のスタートとなった「夕やけこやけ」がよくハモりました。今は鬼籍に入られた若松正司先生に聴いていただきたかった名演です。
この「夕やけこやけ」から「春の小川」のピアノ前奏に至るつながりが絶妙でした。調性が合っていたのは偶然です。2年生の曲から3年生の曲へとつなげただけなのですが、この2曲がまるで一つの曲であるかのような錯覚を覚えました。前奏に続く「春の小川」のコーラスが「夕やけこやけ」の星空の世界から輝く朝になったような表現であったことも絶妙でした。
本格的な合唱アレンジの合間に入れた「茶つみ」と「おぼろ月夜」の教科書版も結果的には大成功でした。互いの声をよく聴き合って自分の声を全体の響きに埋没させるという基本を押さえることと、指揮を見てみんなで表現を統一させるということを、ステージの途中で振り返り意識し直すことになったのでは…と分析しています。この2曲の教科書版が、単なるオマケに留まらず深い表現を醸し出す効果を生み出しました。
曲間に聴衆から思わず拍手が沸き上がったのも(我田引水になりますが)ナットクできるところです。
「サウンド・オヴ・ミュージック」は一週間前に湯山先生に聴いていただいた時にはサンザンの傷だらけ…と言ってよく、ハモりも今イチ、声は乱暴、言葉も揃わず、みんなの「歌おう」という意欲だけが空回りしている感じでした。正直なところお手上げ…という思いで、この表現で本番を乗り切る以外に方法はないと思っていました。
ところが前日から当日の朝にかけて、(理由はよく分からないのですが)みるみる表現が練り上げられ、美しく響くようになってきました。「ハレルヤ」の終結部のソプラノの最高音を「できるだけ柔らかく」「天国から響いてくるように」と要求したことに対して、最大限の努力をしてくれたおかげでしょうか、まず「ハレルヤ」の響きが変わりました。それが「朝の讃歌」のアカペラにも派生し、冒頭の3曲が美しくまとまりました。
この「まとまり」にプラスして、一週間前の荒っぽい表現から「元気さ」と「生き生きした感じ」だけが残って加わり、一気に終曲まで持って行くことができました。
湯山先生の曲は「ねむれないおおかみ」と「向日葵の歌」をそれぞれ全曲で、アンコールを合わせて25曲となりましたが、コンパクトにまとまった曲だったので1曲1曲を丁寧に歌っていけば自然に曲集(ステージ)としてまとまるものでした。
何よりも湯山先生のアレンジが自然でフレーズが非常に歌いやすく、「空」のメンバーの表現力をうまく引き出してくれました。これが昨年の「北陸の子ども歌」のような大曲であったなら、おそらくは違った結果(うまくいかない)になったことと思います。
並べて歌った(指揮した・指導した)のでよく分かりましたが、湯山先生の楽曲は非常に自然な作りで歌いやすい。これに比べると「サウンド・オヴ・ミュージック」のアレンジは非常に硬質で、歌い手の力量を考えずにアレンジ作りが先行している感覚があり、編曲の巧拙を問えば湯山先生の足元にも及びません。
「サウンド・オヴ・ミュージック」の曲は素晴らしいのですが、はばかりなく本音を言えば編曲には問題がありました。もう少し楽譜を探す段階で努力するべきでした。その意味で、「サウンド・オヴ・ミュージック」はよく頑張ってくれたと思います。その頑張りが生きたのは、前後に文部省唱歌集と湯山作品の優れた編曲があって、メンバーがその優れた点(丁寧に歌うと表現が生きる)を生かしてくれたことに尽きます。
トータルとして考えると、今回の演奏会は22回に及ぶ「空」の歴史の中でも最高の出来であったと(全ての演奏会に関わった者として)断言できます。選んだ曲目が互いを生かし合い、またメンバーがよく異なる楽曲の良さを生かして表現することができました。

最後になりますが、やはり演奏会の実現のために奔走努力してくださった父母会の方々に、最大限の謝意を捧げたいと思います。
本当にありがとうございました。

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