SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「ひとりぼっちの羊飼い」がんばろう!

【7月7日(土)】
先週は「向日葵の歌」の1~5曲目を中心に練習しましたから、今日は6~10曲目を…という予定を立てていました。
これ、本当はベストな方法ではないことは分かっています。先週に前半、今週は後半という方法は、集まったメンバーが同じであることが前提です。でなければ意味がない。しかし、学校の部活動とは異なる「空」の活動は、みんなスケジュールをやりくりしての練習参加ですから、2回連続で全く同じメンバーが集まることは極めて難しい。
分かっていても敢えてその方法を強行するのは、「空」全体のチーム力を測るという意味があります。サッカーと同じで試合をしている個々のメンバーは昨日とは違うけれども、チーム全体としてどう機能するか…ということですね。
約90分で、「海とかもめ」から「砂の王国」までの5曲を、全員が全てのパートを一通り歌ってからハモらせる…といういつもの方法で通してしまいました。実に効率の良い時間の経過です。
各曲についての細かい部分については次の機会に譲ります。5曲を歌って感じたことは、金子みすゞという詩人の感性への共感の不足です(みんなの責任ではありません)。
どんな音楽でも同じですが、とくに合唱の場合は詩の世界をどうイメージするかが大切です。音符の下に印刷されている平仮名を歌声にしているだけのステージがいかに多いことか。
これは「空」のメンバーでも同じで、金子みすゞについては5年生の時に国語の授業で触れてはいるものの、彼女の詩集を読みこんだ…という子は少ないことと思います。
だから、今回は「砂の王国」について記しておこうと思います。
「私は今、砂のお国の王様です」と詩は歌います。「砂の王国」とは「ちっぽけな命」と置き換えられます。「黄金の国の王様」だとか「石油の国の大統領」であれば、トランプさんやプーチンさんを引き合いに出すまでもなく、世界が注目する人生です。
みすゞは小さな日本という国の、下関のちっぽけな家に生まれた普通の女性です。それは私たちと同様に、世界の誰にも注目されない「ちっぽけな人生」です。しかし、詩は続きます。
「お山と、谷と、野原と、川を、思うとおりに変えてゆきます」と。砂場で遊んでいる幼稚園児のイメージだけでは足りません。「お山」とは「どこの高校を受験するか」という意味です。「谷と」は「誰と結婚するか」と思えば良い。「野原と」とは「どこの会社に就職するか」という意味ですね。つまり、人生の節目のことです。
人生の節目は、みなさんの未来に重要な分かれ道として必ず訪れます。その時に「いや~ん、どうしよう」とか「ねぇ、ママぁ。あたし、どうすれば良いのかしら?」とか、ついつい人に頼ってしまいますよね。まぁ、頼ることのいる人を持っていることも幸せなことと言えなくもないですが、みすゞは問いかけています。「自分の人生を決めるのは、たった一人、自分自身だけなのだ」ということを。誰かの意見を参考にすることは大切ですが、しかし最終決定は自分自身で決断しなければなりません。人の命とはそういうものなのです。
自分自身の人生を切り開こうとする強い意志ですね。
このようなイメージを持っていると、歌声は力強さを帯びてきます。楽譜巻末の詩を読み込んでくださいね。

さて、後半は「ひとりぼっちの羊飼い」を歌いました。冒頭「ひとりぼっちの羊飼いレイオドゥレイオドゥレイオー、高い山から声限りレイオドゥレイオドゥロー」を全員で練習し、嶋田先生の独唱を聴いてもらいました。その独唱はハチャメチャなもので(全力を尽くしたのですが)とても人に聴かせられるものではありません。
次に一人一人に歌ってもらいます。音程はかなり正確な子もいますが、高いドと低いドを両方とも十分に響かせることのできる子は現時点ではいません。そりゃ無理だぜ。そんなトレーニング、ぜんぜんしていないもんね。
楽譜だけならカンタンです。楽器で演奏することも簡単。リコーダーなら4年生のレベルでしょう。しかし、この跳躍音を人間の身体で響かせることはドエリャー難しい。そのことをまず知ってもらいたかった。音は全員が分かっています。その音を響かせるためには、すごくレベルの高い身体のコントロールとフットワークが必要となるわけです。
合宿に向けての課題が見えてきました。
しかしですね、練習番号Dから先も難しいのですが、練習していくうちにソコソコ歌えるようになってしまうわけなんです。感心しました。
最後のソプラノにある「オドゥレイオドゥレイオドゥレイ」も短い時間でかなりレベルアップしました。たいしたもんだと思います。

気付いていた子がいたかも知れませんが、今日の嶋田先生は体調不良で38℃ほどの熱がありました。元気がなくて申し訳なかったです。実は、このノートを書いている今も熱があり、頭がボンヤリしています。
今日はこのあたりで報告終了。体調不良でも、みんなから元気をもらった嶋田先生でした。ありがとう。

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