SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


毎年開催の価値がある…

【4月21日(土)】
北文化小劇場で開催したスプリングコンサートは143名のお客様にご来場いただき、これに父母会関係者も客席にあって、けっこう客席が埋まりました。
そして演奏ですが、やりたい表現は全部できて、嶋田先生的には「完璧」と思っています。ステージに立ってくれたメンバーとロビーやフロントのセットからステージの裏方まで支えてくださった父母会の方々に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

文部省唱歌集は「春の小川」から「ふるさと」までを学年順に(しかも教科書に出てくる順に)並べたのが良かった。何が良かったかと言うと、おおむね難易度(難しさ)順になり、易しいものからだんだん本格的な合唱になっていったので、歌うメンバーの意識が音程からハーモニーへと自然に移行していったことが挙げられます。これは聴いているお客様にも同じことが言えます。授業で言えば導入、落語で言えば枕の部分で「春の小川」と「茶つみ」は最適な曲でした。途中に無伴奏の「さくら」が入ったのもインパクトがありました。しかも「さくら」1曲の中で「斉唱」「混沌」「転調して合唱」という流れが凝縮されていて、客席を「合唱の世界」に引き込むことができた。そこまで計算して曲順を決めたわけではないのですが、結果としては最善に近かったと思います。

そんな反省と分析ができるのは、メンバーが完璧に歌ってくれたからで、練習で練り上げた表現を歌い切ろうとする集中力が見事だったと、リコーダー席で聴いていて思いました。リコーダー席は指揮者の動きも歌うメンバーの表情も聴いている客席の反応も全てを見渡すことができて、非常にオトクな座席でした。嬉しかったですよ、聴いていて。

指揮の恒川さんとピアノの浜田先生には細かい反省があったようです。「冬景色」と「おぼろ月夜」のリタルダンドとピアニッシモを「もう少し十分にやりたかった」「テンポが速かったかもしれない」「リハーサルの時の方が良かったかも」などと話しておられました。リハーサルと本番の違いは指揮している人とピアノを弾いている人と歌っているメンバーにしか分からないと思うのですが、微妙な違いがあったようです。しかしそれは熱量が違うから仕方がない。熱量とは、リハーサルの時と本番の時の精神状態とかボルテージといったもので、人間ですからリハーサルと本番で同じ熱量であることは有り得ません。どうしたって本番の方が熱量は上がる。逆に言うと、リハーサルの方が本場より熱量が高かったなんていう人はいない。

で、この話(恒川さんと浜田先生の反省)が何を意味するかと言うと、みんなの表現がそれだけ質の高いものであったということになります。ただ歌うだけだったのなら、こんな反省は出てきません。音楽プラザでの練習の時から直前のリハーサルまでに、みんなには周到に用意され準備された理想の表現があり、その理想の表現100ポイントに対してリハーサルは98ポイント、本番は96ポイント…そういう微妙な話です。そういう微妙な話は100だとか98だとか96だとかを争うレベルにあるから出てくるのであって、40だとか50だとかのダラダラとただ歌うだけのレベルでは決して出てこない話です。

嶋田先生も「さくら」の方が「ふるさと」より良かったと思うし、つまり「ふるさと」はもっと豊かに歌えたかも…と反省していますが、では、どう歌えば良かったのかを記すことはムズカシイ、とても高度な話になります。みなさん、良い表現だったと思いますよ。お家の人や友達たちは何と言っていましたか?

「愛唱曲集」もほぼ理想的な演奏をすることができました。昨年度、大高イオンや老人ホームで歌った時よりも表現は練り上げられており、メンバーの中にも「こう歌いたい」という思いがかなりの純度で高まっているので、力強い表現ができました。嶋田先生的には「未知という名の船に乗り」が良く、どこに出しても誰に聴いてもらっても恥ずかしくない、水準の高い演奏だったと思います。「花は咲く」にトーンチャイムを入れたことには賛否両論あるでしょうが、お客様の耳には心地よく響いたものと思います。

アラカルトステージですが、嶋田先生が深夜に帰宅した時、奥さんが言った第一声は「あの子たち、すごいね」でした。「あなたが教えたんじゃないわよね」とも。まだ奥さん以外の人から感想を聞いていないのですが、合唱のコンサートにギターとヴァイオリンが入ったことはバラエティーが豊かになって良かったと思います。嶋田先生は客席の後ろから全てを聴いていましたが、けっこう楽しく聴くことができました。実はエントリーが2組だけだったので、3組目として自分がリコーダーで「コンドルは飛んで行く」あたりを演奏しようかな…と思っていたのですが、演奏水準から考えて「止めておいて良かった」と思った…というのが正直な話です。エントリーしてくれた二人とお兄さんお母さんに感謝と大拍手です。

「みんなに伝えたい」のステージも元気があって良かったですね。「世界の約束」以外の3曲は歌詞が分かりやすく青春っぽいので、メンバーの共感も楽譜を渡した時点でかなり高いところにありました。本番は自信を持って堂々と歌うことができました。

嶋田先生的には「世界の約束」が好きになりました。自分の新しいレパートリーに加えることができたのは、選曲に関わった子どもたちのおかげだと感謝しています。どうやら嶋田先生は、バーンと直接的なエネルギーを伝える曲よりも、「世界の約束」のような歌詞を読み込んで歌詞の世界の登場人物の心情を表現する曲の方が好きなようです。これは好みの問題なので、良い悪いではなく嶋田先生はそういう性格だということです。自分の性格が良く分かった(笑)。

今回のコンサートの最大の収穫は、定期演奏会から離れた発想でプログラムビルディングを行い、実行に移すことができたということです。一人の作曲家の芸術を追求することは非常に意義深いものであると考えますが(なぜなら学校では決して不可能だからです。学校で可能なことは学校でやれば良いのです)、そこから離れて新しい方向性を打ち出すことができたことは非常に大きい。その意味では、このような形のコンサートは毎年開催する意義が十分にあると考えます。

まあ、実現に向けては克服する課題も多いものと思いますが、克服する課題を出して論議の場を設ける土俵を作ることができたわけです。メンバーの感想と父母会の感想を、また聞かせてください。「やろうよ」という意見も「やめようよ」という意見も、どちらも「空」の将来を考えたものであることは間違いがないので(だって、スプリングコンサートに参加したメンバーとその父母なんだもの)、どちらの意見も非常に重要です。よろしくお願いいたします。

繰り返しになりますが、このコンサートに関わった全ての皆様に、あらためて深い感謝を捧げます。ありがとうございました。

来週28日(土)は「サウンド・オヴ・ミュージック」と「向日葵の歌」と「ねむれないおおかみ」の3冊の楽譜を持ってきてくださいませ。

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