SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


一人一人が生きていた

【11月19日(土)】
今日は湯山先生のスケジュールの関係で嶋田先生が自由に使えることとなったフィオリーレでの一日練習です。浜田先生は御父上の49日法事ですのでピアノは無く、しかしその事情はあらかじめ分かっていましたから、練習計画を立てる時間は十分にありました。
考えてきた作戦は、導入の発声練習で湯山先生の音楽とは全く異なるハーモニーを作ろう…というものでした。
リチャード・ロジャースの「サウンド・オヴ・ミュージック」から「朝の讃美歌」と「グレゴリオ聖歌」です。「朝の讃美歌」は4声に分かれる無伴奏の曲で、普通なら20分や30分でまとまる音楽ではありません。しかし、力が高まっている現在の「空」と、フィオリーレの素晴らしい残響を利用して、

〇互いの声を聴き合い

〇自分の声を相手の声に対応させる

というハーモニーの大原則を、湯山先生の音楽とは全く異なる角度(着想あるいは発想)から経験しておくことは、決して無駄にはならないと考えていました。
ラテン語のカタカナを読むことには戸惑いがありましたが、出てきたハーモニーは素晴らしいものでした。さすがだと思います。倍音がビンビンと鳴って、素晴らしい響きでした。
ちなみに「サウンド・オヴ・ミュージック」は来年11月4日(日)の第22回定期演奏会で歌う予定の曲で、まあ、いわば予告編のような意味合いもありました。「サウンド・オヴ・ミュージック」には他に「エーデルワイス」「ドレミの歌」「ひとりぼっちの羊飼い」「全ての山に登れ」などの曲があります。

その後、力を入れたのは「北陸の子ども歌」です。
楽譜の上では休符になっている(つまり歌わないことになっている)部分で隣のパートを歌い、人数の少なさを互いにカバーし合う部分を確認しました。
そして「眠らせ歌」では「朝の讃美歌」で確認した「ハーモニーの力」を使って美しい和音を味わうことができました。
「北陸づくし」は元気よく。共感やイメージを必要としない気楽な遊び歌です。「でんでんがらも」とはカタツムリのことだし、「ちょっと来て、ちょっと来て。お茶々のキツネさん」と「お馬が招いている」のですが、あるいは「たんぼ(トンボ)たんぼ、止まれ。飴を買ってやるから」とか「ヤチャチャの婆さん」とか。このカタツムリやキツネや馬やトンボやババアが、その後に重要な役割を担ったり大活躍をしたりすることはなく、深く考えるだけ脳ミソの無駄です。楽しく元気よく気楽に歌えばよろしい。

「童謡歌曲集」は一人で4小節ずつリレーで歌っていく方法で歌詞を確認しました。よく覚えている子がいて感心しました(ちなみに嶋田先生が歌ったら、おそらく「空」の子の半分以下で、間違いなくドべ争いのトップに立つことでしょう)が、しかし8曲全部パーフェクトだという子は一人もいません。嶋田先生も自信が無いのですから、これは当然です。
半分くらいしか覚えていない…70%くらいしか自信が無い…という子がいても不思議ではありません。
本番で楽譜を持つか持たないかは、極端に言えばステージに移動する5分前に決めます。で、仮にその5分前に「楽譜を持たない」という選択になった時、半分の子や70%の子は役に立たないのかというと、そうではない。その子は「半分は友達を助けることができる子」であり「10回のうちの7回は全体の役に立つ子」なのです。
合唱という種目を選んだ「歌い手」つまりみなさんは、「歌い手」「歌手」としてはレベルの低い、いわば「できそこないの歌手」です。100%完璧な「歌い手」であるならば、テレビに出る歌手になったり、カラオケバトルの番組に出演したりすれば良いのです。嶋田先生を含めた「空」の子は(東海メールクワイアーのメンバーだって)パーフェクトには程遠い。
合唱で大切なことは、友達を助け仲間を支えることのできる「自分」にどれだけなれるか…ということです。70%歌えるということは、10回うちの7回支えることができる…ということです。あとの3回は助けてもらう必要がありますけれども(笑)。
だから、人間として知っておいてほしいのですけれども、「半分の自分」なら「半分以上の自分」になろうとする子、「70%の自分」だと思った時に「72%の自分」になりたいと思う子、そんな子になろうとすることが大切なんですよ。先生はそう思いますし、世界中の子供たちにそのことを実感してほしいから合唱団「空」を続けているんです。
で、「あと一週間、残された時間で、70%の子が90とは言わないから、72%になるようにしておいで」と言いました。
しかし、この「一人で歌うリレー練習」で感じたことは、全員の声が非常によく響き、伸びのある声になっていた…ということです。半年前とはダンゼン違います。本当に成長している。一人一人が生きています。だから、互いをカバーし合って全員の声が一つにまとまった時、その響きはとてつもないパワーを生み出すはずです。とても嬉しかった。個人の伸びが「空」というチームを支える原動力となっているのは確実です。それは一週間後に証明されます。

午後は4ステージ全部、楽譜を見ないで通しました。1ステージ100回ずつ間違えても良いから積極的に歌ってみて、と言いました。
ピアノの伴奏がありませんから、ところどころ止まってしまう細切れで、楽しい…というには程遠い時間だったと思いますが、よく歌ってくれて感謝しています。

あと、ゴメンナサイです。「うたにつばさがあれば」の練習をするのを忘れました。しまったぁ…と気が付いたのは帰りの地下鉄の中でした。本当にごめんなさい。

来週の土曜日は本番の前日ですが、小学生を中心とした「個人をカバーする練習」とします。中学生や高校生は月曜日からの期末テストに備えて勉強してください。小学生でも「どうしても外せない用事がある」という子もいるでしょう。かく言う嶋田先生も、その日は港区PTA卓球大会の担当教頭として一日中、港区の稲永スポーツセンターに釘付けです。練習は浜田先生・恒川さん・高倉さんにお願いをしておきました。
中学生・高校生の中には、午前中に「空」で歌った方が頭がスッキリとして午後からの勉強がはかどる…という子がいるかも知れません。そんな子を追い返したりはしませんが、先生いては期末テストが心配です。どうかどうか、がんばってくださいね。

それでは本番の日の朝に会いましょう。充実した一週間となりますように…。

Comments are closed.