SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「北陸の子ども歌」を絶賛してくださいました

【9月24日(日)】
予定通り「北陸の子ども歌」からスタートした湯山先生とのリハーサル。結論を記せば、湯山先生から絶賛をいただくことができました。「これほど歌い込んでいてくださるとは予想していませんでした。素晴らしいです。ありがとう」とのお言葉でした。その後の電話でも、「これまで8回、演奏会のために名古屋を訪れましたが、最初のリハーサルとしてはこれまでの8回で最高でした」と繰り返されました。
実は「北陸の子ども歌」は、姉妹編として同じく「わらべうた」を素材として作曲された「四国の子ども歌」に比べて演奏回数は少ないのです。全国に存在する優秀な合唱指導者たちが見逃してきた「隠れた名曲」なのです。実は嶋田先生も、取り上げるのは初めてなのです。「鮎の歌」や「駿河のうた」なら10回以上も指揮してきた嶋田先生が「初めて」と言うくらいですから、その演奏頻度は想像していただけると思います。

これは作曲者にとっては非常に残念なことです。だから今回、合唱団「空」が「北陸の子ども歌」を取り上げることは、湯山先生にとっても「北陸の子ども歌」の演奏史としても「空」の歴史にも、非常にメモリアルなことだと思うのです。

しかし、4曲目には注文がつきました。音程が定まらない部分もあり、鍵盤ハーモニカで補助します。スローテンポなので呼吸を上手に使って長いフレーズに対応し、互いの音をよく聴き合ってハーモニーを安定させる必要がありますが、それは次回の練習でカバーしましょう。

しかしながら、主力の高校生や大学生が欠けた中で、非常に質の高い響きを生み出すことができていたと思います。

「童謡歌曲集」は上手く歌えました。斉唱なので、みんなでカバーし合うことができます。声がよく響いていてメロディーの美しさを十分に引き出していました。以前に書いた「斉唱の難しさ」はクリアできていたと思います。あとは、歌詞の世界・音楽が描く情景をいかに豊かにイメージし、みんなの心の共感を高めていくか…です。その時間は十分にあります。

「駿河のうた」は「湯山テヌートを十分に」という指摘をいただきました。「湯山テヌート」とは何か。この部分はタップリと思いを込めて本当に気持ちを込めて歌ってほしい…という作曲者の思いがある部分に付けられたテヌートのことです。でも、このような「思い」を譜面に記そうとしても、使える音楽記号はテヌートしか無いのです。だからテヌート記号が付いている。歌うみなさんや指揮をする先生は、その特別な「湯山テヌート」と普通のテヌートとを見分け、見破らなくてはならないわけです。それを見破ることができなかったのは先生の責任です。

具体的には「みかんの花はかおり」の「若い夏の若い胸を甘いしずくでぬらした」の「むねを」です。同じフレーズが2番と3番にもあり、「実る夢を風に告げて真昼静かにほほえむ」の「つげて」、「父と母の遠い歌が花の中から聞こえる」の「うたが」が「湯山テヌート」ということになります。

ここは、算数・数学的に切り捨ててしまえば「ゆっくりと遅くなる」ということになります。そのような物理的な処理ではなく、先に書いたとおり「思いを込めて情感豊かに」歌いたいものです。つまり、歌う人の心の共感が求められます。

「うなぎの子守唄」はピアノとコーラスとの音量のバランス、ソロとコーラスとの音量のバランスが問題になりましたが、これは大丈夫。フィオリーレという響きの良い空間で、合唱団と湯山先生との距離も至近距離です。その条件でバランスを考えても意味はありません。本番はウイルあいちという空間であり、合唱団と客席との距離も離れます。その上でのバランスを考えていきます。本番の朝にしかできないことですが…。

「ドミソの歌」は最高でした。すごく楽しい音楽でした。湯山先生が「ドミソの歌」を指揮されたのは1975年の9月14日の記録が残っており、おそらくはその時以来の42年ぶりの指揮であろうと想像できます。「あっ、こんな響きだったのか」「ちょっと待ってください。確認したいです」と何度か指揮を中断され、楽譜とにらめっこ。「空」のみんなが湯山先生をリードしているみたいで、ほほえましかったです。42年前の「ドミソの歌」とは、みなさんに配ってあるCDの音源なのですが、42年ぶりに作曲者に指揮をさせてしまう…というか、42年間どこの合唱団も実現できなかった「作曲者自身が指揮するドミソの歌」を実現させている今年の定期演奏会。これは、ある意味、日本の少年少女合唱の歴史に残るイベントであるとも言えると思います。

父母会の方々が10人ほど「聴衆パート」を歌ってくださったのも大きかった。声に厚みが加わって、フィナーレの部分は感動的な響きでした。本番では500人のお客様が歌うことになりますから、しっかりと暗譜して、迷いがないように自信を持って歌うことができるようにしましょう。

湯山先生は本当に晴れ晴れとした表情で、とても嬉しそうに帰りのタクシーに乗られました。これは「空」の子どもたちの力です。セットしてくださった父母会の方々と合わせて、最大限の感謝を贈ります。ありがとうございました。

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