SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


信じられない時間でした!

信じられない時間でした。「いぬのおまわりさん」「サッちゃん」「おなかのへるうた」、そして「うたにつばさがあれば」の作曲者、大中恩先生が「空」の練習を訪ねてくださいました。そして、もっと信じられないのは、「空」の子どもたちの頑張りでした。

一週間前に定期演奏会を終え、団歌になっている5曲目の「うたにつばさがあれば」だけが、子どもたちが知っている大中先生の曲です。それ以外は全く初見の状態で、作曲者をお迎えするなどというシチュエーションを誰が想像したでしょうか。

もちろん大中先生には、そのことはお伝えしてありました。お断りしても良かったのですが、嶋田先生にとっても、おそらくは死ぬまでに二度と訪れないチャンスです。無謀なことは承知の上で、「空」の練習を聴きにいらしてください…とお願いしたのです。

9時25分、集まっているメンバーだけで「元気のヒミツ」の練習を開始します。これは反則です。こういうことをやると、9時30分にきちんと来た子が「遅刻した」という罪悪感を抱いてしまいます。約束した時間はきちんと守らなければなりません。だから21年間、フライングで練習をスタートさせたことは一度もありません。9時に始めたいのなら、総務さんにきちんと伝えて、事前にメールなどで連絡してもらいます。それをフライングしてしまったのは、嶋田先生の焦りにほかなりませんでした。9時半に入って来てくれた子たちに謝らなくてはなりません。ごめんなさいね。

しかし、その後の時間は奇跡的でした。何と、約50分で、「元気のヒミツ」「あめとひまわり」「となりのカンタロウ」「きみとぼくと地球のうた」を通してしまったのです。

1997年、第1回の定期演奏会で「うたにつばさがあれば」全曲を初演したのですが、その時には全5曲を通すのに2ヶ月かかりました(もっとも当時は第2第4土曜日が休みで、2週間に1回の練習でしたけれども)。

それが、50分で初見の4曲を通してしまった。しかも全員が揃っているわけでもなく、学校行事などの事情で多くのメンバーを欠いている中で、本当に奇跡のような時間でした。

もちろんそれは、その場かぎりの粗削りな表現です。しかし、まがりなりにも全部のパートが音を取って歌うことができました。今の「空」の子に、音を聴く力、聴いた音を声で再現する力が育っているからこそ、実現した離れ業でした。

10時20分、大中先生が入ってこられました。瞬間、嶋田先生は涙が溢れました。「うたにつばさがあれば」の楽譜の後書き「限りない感謝を込めて」に書いた思いが一気に溢れました。

そして、大中先生に「うたにつばさがあれば」全曲を聴いていただく夢の時間がスタートしました。しかし、白状しておきますが、嶋田先生の予定は「元気のヒミツ」と「となりのカンタロウ」に5曲目団歌を加えるというものだったのです。全曲を歌うことができたのは、前述したとおり、みなさんの頑張りと集中の成果です。

しかも思いがけないことに、大中先生は途中で演奏を遮って、お言葉をかけてくださいました。もう、先生は、その言葉をほとんど覚えていません。ですが覚えているのは「きみとぼくと地球のうた」の「れんげを摘んだ春 海で遊んだ夏 どんぐり拾った秋 おしくらまんじゅうの冬」の部分です。

「想像を拡げてください。どんな景色なのか、どんな情景なのか、どんな気持ちなのかという想像を拡げて歌うのです。ボクたち作曲家も、「海で遊んだ夏」という詩に作曲する時、実際に海に行くわけじゃないんだよ。海の情景を想像して作曲するんだよ。歌う人も同じなんだよ。想像力が大切なんだよ。」(文責・嶋田)

他にも、いっぱいいっぱい言葉をかけてくださいました。脳細胞が飛んでいて全部報告できないことをお許しください。

あっ、「となりのカンタロウ」のセリフについても、お言葉がありましたね。「楽しく歌ってください。ヘタでもいいんだよ。楽しいことが大切なんだよ。」(文責・嶋田)

そして5曲目「うたにつばさがあれば」は感動的な響きでした。「きみとぼくと地球のうた」あたりから嶋田先生は指揮をするのを止めて、「大中先生の顔を見て歌って。歌詞なんか間違えてもいい」と言いました。そこからは大中先生の指揮で歌ったといっても良い演奏となりました。

こんなことってあるのでしょうか。朝、集まって、初めて歌う曲を練習し、その1時間後に作曲者を迎え、その指揮で歌う…。これって、ホントの話ですか?ウソじゃないの?いいえ、今日おこった本当の話なのですよ。

11時40分には歌うのを止めました。大中先生は、メンバー全員にサインをくださり、記念写真を撮らせてくださいました。全員での集合写真を撮り、お送りする時には「いぬのおまわりさん」を歌いました。

信じられない時間でした。みなさん、ありがとう。本当に感謝します。そして、嶋田先生は大中先生に「ホテルを取りますから、来年もまた来てください」と言いました。実現すると良いですね。

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