SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


内容を聴く人にイメージさせるにはどんな表現が必要か
それを想像することはきっと力を高めることになる

明けまして,おめでとうございます。今年もすばらしい1年となりますように…。よろしくお願いします。
1月3日には久我山の湯山先生のお宅に伺って,第20回定期演奏会の詳細について相談し,全ての曲目と曲順を決めました。そして,第4ステージの楽譜もいただいてきました。その中には,最新作の「ちっちゃな手」と「さかみちのてじな」もあります。

2016年の歌い初めは,「さかみちのてじな」にしました。まだ初演も楽譜出版もされていない文字通りの最新作品で,みんなに手渡した楽譜は,出版社から湯山先生に送られてきた出版校正用のFAXのコピーです。
湯山先生らしい自然な流れのメロディーです。武鹿悦子さんの詩は,着眼点が奇想天外。発想がユニーク。それだけに,聴く人に内容を伝えるためには,かなりの表現力が必要だな…という印象を受けました。

さかみちのてじな
    武鹿悦子 作詩

さかみちのてじな
かおからひとがうかんでくる
ずんずんずん・・・・・・
「あらわれましたらおなぐさみィ」
ともいわないで

さかみちのてじな
あしからひとがしずんでいく
かたが・・・・・・
あたまが・・・・・・ずん きえた
「きえましたならごかっさい!」
ともいわないで

坂道を上ってくる人を見ていると,顔から見えてきますよね。そして胸,お腹,最後に足という順番で見えてきます。
逆に,坂道を下っていく人を見ていると,足からだんだん沈んでいくように見えますね。そして最後に見えなくなるのが頭。まるで手品みたい。
この内容を一発で聴く人にイメージさせるためには,どんな表現が必要か,想像してみてください。その練習は,きっとみんなの力を高めることになるでしょう。良い教材をいただいたなぁ,と感謝しています。

さて,本格的な練習は「葡萄と風と赤とんぼ」です。この曲の1番は完全なユニゾンであることは以前にも書きました。そして,このメロディーは非常に基本に忠実であり,かつ起伏に富んでいます。なので,正確に歌うことは非常に難しく,また練習することによって大きく力を伸ばすことができます。
まず,全員で一緒に歌います。もう一度,全員で歌ってから,3回目は一人で歌ってもらいます。つまり,浜田先生は20回近く,連続して伴奏を弾くことになります。
一人で歌うってのは,とても勇気がいりますね。しかし,一人で歌うと確実に上手になります。勇気にはレベルとか上手下手というものはありません。でも,歌にはレベルも上手下手もあり,ちょっと勇気を出すだけで歌唱力が高まるなら,これはお得な取り引きです。

全員に共通して言えることは,軽すぎる…ということです。ていねいに歌おうとすることはとても良いことです。ていねいに,しとやかに,軽く,ふわっと,力まずに。これは全て◎です。良いことなんですよ。
ですが,メッチャクチャ極端な言い方でバッサリ切ると,「聞こえなければ歌ってないのと同じ」ということになります。
もう少し中間の言い方をすれば,きれいな声で軽く歌うよりも,ドラ声でも良いからエネルギッシュに歌うことの方が大切…というか,力が付きます。
この練習は当分の間,毎回続けていこうと思っています。10行くらい上に書きましたが,高校生といえども完璧な音程ではありません。下手だと言っているのではないぞ。「葡萄と風と赤とんぼ」は難しいのです。先生だって自信はない。つまり,一人で歌ってもらうことによって,みんなの得意な点や弱点を知ることができるのです。

○ 誰がどの部分で音程が怪しくなるか
○ 誰がどの音域で良い響きになり,どの音域で乏しい響きになるか
○ 誰がどのような声をもっていて,どんな発音をしているか
○ 一口に言えば,その子に最も向いているパートはどこか

こういったことを探り,考えながら鍵盤ハーモニカを吹いていました。
そうこうしているうちに,2番のハーモニーの部分に進み,3番の4声に分かれる部分もきちんとハーモニーを作ることができました。しかも,いつもそうですが,全員が全てのパートを経験しながらですから,効率の良い練習です。
最後は,自分で歌いたいパートを選んで,みんなで合わせましたが,きれいなハーモニーで歌うことができました。楽しかったです。

とても良い練習ができました。最先の良い「歌い初め」となりました。大感謝です。

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