SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


和音を聞くだけでメロディーが聴こえてくるような感覚
これこそが耳で聴いて育つ、真の「音楽の力」です

 12月20日(日)の中部国際空港セントレアでのクリスマスコンサートの練習からスタート。まずは童謡。定期演奏会での充実した響きを12月まで継続させるために、全ての曲を1回ずつ通しました。これは問題なく進みます。時々で良いですから、CDを聴いていてください。

次に「きよしこの夜」の資料を配りました。楽譜と英語の歌詞とその意味と、英語の読み方をカタカナにしたものです。
カタカナさえふってあれば、先生がとやかく言わなくても、きれいな英語に聞こえるからたいしたものです。フォスターの成果と言えるかもしれませんね。
ですが、「きよしこの夜」での練習は、発音や音程を含めて、ある「ねらい」を持っていました。それは、目が見えなくても音楽ができる…という力です。
だから、「できるだけカタカナの歌詞を読まないように」と指示しました。サイレントナイト、ホーリーナイト、オールイズカム、オールイズブライト、ラウドヤン、バージンマザー、アンドチャイルド、ホーリーインファントソー、テンダーアンドマイルド、スリープインヘブンリー、ピース。これで全部です。これくらいなら頭に入っていても損はない。英単語のボキャブラリーを増やすのにも多少は役立つことでしょう(笑)。かなりしっかりと覚えている子が増えていることは確かな手ごたえとして感じます。

英語っていうものは、目で読んで、手で書いて、ということも大切ですが、もともとは会話。聞いて話す力です。赤ちゃんが日本語を覚える時、最初に書き始めるか…。最初は聞くことのはずです。次は話すこと。みんなだって、そうだったはずです。
同じことが音楽にも言えます。楽譜を見て、それを読む力はもちろん大切です。ですが、音楽することの根源的な力は、「聴くこと」であるはずです。

メロディーを確認した後、ピアノで和音を弾きます。C(ドミソ)、F(ドファラ)、G7(ソシレファ)の単純な構成ですが、この和音を聴くだけでメロディーが聴こえているような感覚になると良いのです。「どう?メロディーが聴こえる?」と聞くと、みんな「聴こえる」と答えてくれます。本当に聴こえているかどうか、耳の穴をほじくって確かめるわけにはいきませんが、「聴こえる」と言うのだから間違いないでしょう。
その「聴こえる力」。これこそが「音楽の力」です。「音楽の力」とは目で見て育つものではない。耳で聴いて育つものです。

メゾソプラノの音とアルトの音。みんな初めて見る楽譜です。これを和音だけを聴いて歌っていきます。けっこうできるものです。けっこう…と言うより、ほぼ完全に、音をとることができました。
先生の本音を言えば、今の「空」の子が、そのくらいのことができる力を持っていることは分かっているのです。この練習では「そのような力が自分たちにあるのだ」と実感してもらうことをねらいました。そして「その力をもっと高めたい」と思ってくれれば、とても嬉しい。大成功となります。

3声に分けて歌うときれいでしたね。またやりましょう。しかし、本番は飛行場のロビーですから、その場の判断で全員ソプラノのメロディーのみ…と指示するかもしれません。
どちらでも対応できるようにしておく。これほど楽しく、面白いことはありません。

湯山先生の合唱組曲「鮎の歌」の楽譜が届いています。先週は「雉」をやりました。だから後半は「いちごたちよ」を歌うことにしました。
先生が歌って聴かせる。それを聴いていて、すぐに自分たちで歌う。聴いた旋律を、すぐに歌う。その繰り返しで、全員が3つのパートを、最初から最後まで通すことができました。音楽は「聴く力」が全てです。
浜田先生にピアノ伴奏を弾いてもらいます。それを聴いて、歌う旋律が聴こえてくるかと確かめてもらいます。「聴こえる」という答えが返ってきます。
このように全てのパートを歌っていくことで、全員がどのパートになっても対応できる力を付けるようにする。これも大きなねらいです。

なかなかに充実した練習をすることができました。月曜日から期末テストになる人たち、健闘を祈ります。がんばってください。では、また来週。

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