SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


柔らかい声、ハモる声、破裂した声、躍動的な声
背景を表現するための武器を増やす

今日は武器を増やす…ということから練習が始まりました。以前にもこの欄に書いたかもしれませんが、今日は特に意義深い練習ができたと思います。武器を増やす…とは、歌う曲によって、歌い方・声・表現を変える…ということで、楽しい曲も悲しい曲も、全て同じ歌い方・声・表現でやっていてはダメ、ということです。

具体的には「へい!タンブリン」と「荒城の月」に相応しい、それぞれの声…となったのですが、「荒城の月」が出てきたのは流れであって予定していたことではありません。というのは、「へい!タンブリン」を歌うには相応しいとは言えないのですが、同じ声で「荒城の月」を歌ってみたところ、それはそれは見事な表現で、あんな表現は嶋田先生にはとてもできない…という声があったからです。来年は「荒城の月」をプログラムに入れようかな~。

しかし、今、目の前にある曲は「へい!タンブリン」です。なかなか相応しい声になりません。「空」の持っている武器、柔らかい声・ハモる声に加えて、破裂した声・躍動的な声をいかに育んでいくかなぁ…。これからも嶋田先生の格闘は続きます。

休憩をはさんで、「東北の讃歌」から「鮭の大助」です。

冒頭の「鮭の大助 今のぼる~最上川」までを、怒りを込めて、荒っぽく、激しい声で…と要求します。これは意外なほど上手くいきました。前半の練習が生きたのでしょうか…。

次に、なぜ、そのように歌うのか、説明します。これ、山形県の伝説なんです。鮭の大助とは、いわば一種の妖怪であって、毎年、秋になると、「鮭の大助、今のぼる」と自分で自分の名前を名乗りながら、川をさかのぼってくるんだそうです。ただいま参上っていうわけですね。しかも、その「鮭の大助、今のぼる」という声を聞いた人は、その3日後には必ず死ぬという、恐ろしい伝説です。では、なぜ川をさかのぼってくるかというと、川で鮭を捕っている漁師さんたちに、「やい!!てめえら。この俺様の兄弟たちを捕まえて、どうしようっていうんでぇ!」ってなことを言いに来るわけです。だから、冒頭部分は大助のセリフです。なので、荒っぽく、怒りを込めて…というわけです。

次に、漁師の子供たちが出てくるわけです。「大助さん、違うんだよ。お父さんたちは、大助さんの兄弟を殺してるんじゃないんだよ」っていうわけですね。だから、安楽城わらべ唄になるわけです。ここは、だから、うんと優しく歌わなくてはなりません。優しい歌い方は「空」の十八番ですから、すぐにクリアです。

いったん納得して、落ち着いたかのように見えた大助でしたが、また怒りがこみ上げてきます。それがP51。再び「鮭の大助、今くだる(のぼるではない)」と、怒りの表現です。

そして、ここが嶋田先生の一番好きな部分なのですが、「しぼる卵は、かわいい鮭に育てて返すよ、この川へ」「子供の鮭は、またいつか、最上の流れをくだって行くだろう」「鮭の大助よ。心配するなよ。里の子守唄でも歌って祈れ」ここは、本当に優しく温かく、思いを込めて歌ってほしい。「空」の子たちは、こういう部分は本当にうまい。

そして、集結部。再び安楽城わらべ唄。「エンヤマカ、ゴエン」。だんだん遠ざかっていく感じも見事です。

曲の背景を知り、その背景を表現するために相応しい声を追求する。2時間で、10時間分くらいの密度でした。

あたしゃ、疲れたよ。でも、とっても楽しかったです。みなさん、ありがとう。

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